ストールの修正作業と女の度胸



2012年8月11日(土)

昨日、山梨県西桂の武藤さんにお邪魔した。
9月に出展するギフトショーの、打ち合わせのためだ。

シルクカシミヤのストールの色や、
それぞれの製品納期のことなどを打ち合わせた。
電車で行くと2時間かかってしまうが、
それでも、電話やメールでは伝わらない細々したことがある。
やはり、顔と顔を突き合わせて打ち合わせをしなければならない。

それに、百聞は一見にしかず。
この猛暑の中、職人さんは額に汗して働いている。
それが、東京で冷房の中にいると、想像しきれない。
実際に目の前でその作業を見ると
本当に頭が下がる。

これは、最終工程に近い、修正の作業場面。
どんなに素敵なストールも、傷や汚れがあっては商品の価値が出ない。
だが、織ったり染めたりする過程では、糸にキズが付くことが多い。
柔らかいストールなら、その確率が格段に高くなる。
そこで、修正の作業が必ず必要になる。

この作業は、効率化できない。
眼と手で一つ一つ違った状態のキズを直していく。
とても緻密な作業だ。
ベテランでも時間がかかる。

ストールを作るための工程は
糸を染め、糊を付け、たて糸を用意し、
糸を機械にかけ、織り、洗い、
乾燥とプレスを施し、
一枚一枚のストールに切り分け、
畳み、ネームと下げ札を付け、
袋に入れて、出荷、となる。
その工程のどこかで、何か問題が起こると、
時間が少しずつずれ、しわ寄せがどんどん最後の工程に来る。

お客様から言われている納期には間に合わせなければならないが、
さりとてこの修正を疎かにするわけにはいかない。
丁寧に確実に、しかも急いで仕上げなければならない。
とてもストレスのかかるセクションである。
責任感と忍耐力、
そして度胸が備わっていなければ、
なかなかこなすことができない。
迫る納期のプレッシャーの中で、
確実に丁寧に仕事をこなすには、
どれだけこの度胸が必要か。

写真の女性は加藤さん。
熟練の職人さんである。
生地のままのストールを一枚一枚切り分けることから、
袋詰めまでを担当している。
ストールづくりというと、織っている場面や染めている場面ばかり思い起こすが、
加藤さんの作業がなければ、本当の商品にはならない。

加藤さんの眼と手を経て、様々なブランドのストールが世の中に出る。
時々、加藤さんに聞いてみる。
「今のトレンドは、どんな感じですか?」
加藤さんは遠慮がちに答える。
「えー、私なんかには良くわからないけど、
でも、今こういうのが多いですね。
感触もこんな感じが多いみたい。」
加藤さんに聞けば、流行が分かる。

この間は、房の長さを決めてもらった。
房の長さ、まとめ方にも流行がある。
困ったときは、加藤さんに聞け、である。
私はとても頼りにしている。


武藤さんの会社では、このセクションは加藤さんを始め、
すべて女性が担当している。
みなベテランで、頼りがいがある。
武藤さんのところだけではなく、
どんな工場も、このセクションは大概女性が行っている。
責任感、忍耐力、度胸。
女性には三拍子そろっているのだ。

世の中の男性諸氏。
とは言っても、
最後のしわ寄せを女性にばかり任せてばかりいては、
そのうち痛い目にあいますよ。
充分お気を付け下さいね。
女性には、いざとなったら
とんでもない『度胸』がありますからね♪




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