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2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.6



2018年12月7日(金)

(No.5より続く。 最終回)
(No.1 はこちらをクリックして読みください。)

暫くして、2回目のサンプルが送られてきた。

最初のサンプルの時より、
もっとドキドキしている。
少し開けるのが怖い気もした。
それでも、勇気を持って開けてみる。

柔らかいか。
どうだ。
どうなんだ。

んー。
世の中それほど甘くない。
あれほど柔らかかった糸が、
編むとこんなになるのか。

でも、と気を取り直す。

最初のサンプルを引っ張り出してきた。
これと比べれば、ずっと柔らかい。
ベターじゃないか。
落ち込むな。
何とかなる。
何とかしよう。
何とかできる。
ぐっと気持ちを引き上げる。

早速工場さんに相談する。

「今度の方が最初よりいいのですが、
 でも弊社の求める物はこれではないのです。
 もっとふわっと、うわぁ気持ちいい!と
 思わず声が出るような。
 そんな肌触りを求めているんです。」

「んー、そうですねぇ。
 少し仕上げ加工を工夫してみましょうか。」
「ぜひお願いします。」

3度目のサンプルを待つ。
今度はかなり良くなってきた。

「もうあと一歩、もう少し柔らかくなりませんか。」
「度を甘くしてみましょうか。」

度を甘く? 編み目のサイズを変えること?
 
「型崩れしませんか?」
「いや、それほどは甘くしません。
 ほんのちょっとです。型崩れしない程度です。」
「それなら、ぜひやってみてください。」

そして私は4枚目のサンプルを待つこととなった。

いつ発売と確定せずにスタートしたサンプル作り。
工場さんは、多くの顧客の注文をこなしながら、
機械が空いている少しの隙に
harukiiのサンプルづくりを差し込んで下さる。
なので、すぐに出来上がることはない。

気長に待つ。
これぞというタイミングに、
ベストのサンプルが出来あがってくるはずだ。
そう信じて待った。

数か月後、4枚目のサンプルが出来上がってきた。

もう、わくわくはどこかに忘れてしまった。
ただドキドキするだけ。
柔らかくなっていてくれ。
そう祈るのみ。

本当に、有難たいことに、
そのサンプルはふんわりと
私の心に寄り添うように、
柔らかい風合いを持って
私を包んでくれた。

あぁ、やっと出来あがった。
これなら、harukiiのマフラーとして世に出せる。
有難う。
すべての人に有難う。
すべての物に有難う。

---------------------------

あとで知ったことだが、
このシルクの糸の表面の毛羽は、
なんとカシミヤの1/2の太さ。
7.5ミクロンだとか。
※1ミクロン=1000分の1ミリ


そして、シルク原糸の中でも最上級の
A1というランクのものを使っている。
※ランクには、A1、B2、C3、D4、E5とあり、A1が最高。

愛知県の工場では、超高性能の機械を使って、
原糸のチェックをしている。
節や結び目、ゴミを徹底的に除去し、
なめらかな糸にしている。


ここで学んだ、もう一つの大切なこと。

原料の持つ力は、最後まで失われない。
そして、途中での誤魔化しは効かない。

---------------------------

もう一度、サイズを見直し、
最終サンプルが出来あがった時
すでに今年の秋が始まっていた。

すぐに本発注に入った。

発売を12月初めに設定した。
すでに秋冬物としては遅い発売だ。
でも、このシルク100%のマフラーは、
楽しく胸躍る季節に出したい。

色は「新春」をテーマにした。
クリスマスが終わると、
日本は次の日からお正月のムードが高まる。
お正月から、春一色。
それに続いてバレンタインデーやホワイトデー、
お花見、引越し、入学、入社。
新しい生活にわくわくするシーズン。

そんな新春をイメージして、
5つの配色を選んだ。
色名はすべて春の植物から付けた。

 ◆沈丁花(じんちょうげ)

  ◆福寿草(ふくじゅそう)

  ◆蕨(わらび)

 ◆土筆(つくし)

 ◆勿忘草(わすれなぐさ)

春らしい色目のマフラーが出来あがった。
今は冬だけど、
私には明るい春の到来である。

---------------------------

こちらの商品は、以下で販売しております。

 ・harukii オンラインショップ >>>
 ・ストール専門店 harukii - はる希(楽天店) >>>
 ・STYLE STORE(スタイルストア) >>>
 ・lizm(リズム) >>>

---------------------------

このストールが、
皆さまを温めるのにお役に立つことを
願ってやみません。

harukii
髙橋裕子


2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.1

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.2

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.3

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.4

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.5

ご家庭での洗い方: ふんわりシルクWフェイスマフラー

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.5



2018年12月7日(金)

(No.4 より続く)

それからしばらく時間が経った。
最初のサンプルは、箱に戻されたまま。
行きも戻りもせず、
ニットマフラー作りは棚上げになっていた。

2017年のニットの展示会に足を運んだ。
例の工場さんに会うためだ。
マフラー作りをどうにか進めたいと思っている。
私は「どうしたらいいでしょうね」と投げかけた。

「うーん、そうですねぇ。糸は変えたほうが良いかも。」

やはりそうか。でもどんな糸がいいのだろう。

会場を回ってみた。
マネキンに人集りがしているブースがある。
愛知県の糸の専門会社だ。

こちらも、業界では有名。
上質で個性的な糸を次々に開発している。
harukiiもすでに織物のストールで、この会社の糸を使わせて頂いている。

ブースに入り、社員の方に
「柔らかくて肌触りの良い糸を探しているんですが。」と、聞いてみる。

「じゃぁ、これがおススメです。」

その人は、私を人集りがしていたマネキンに案内し、
「触ってみてください」と、セーターを指差した。

なんと!
とろけるような柔らかさ。
なんだなんだ!?

「この糸、何ですか!?」
「シルクの糸です。」

「シルク? シルク100%ですか?」
「はい、シルク100%です。他に何も混ぜていません。」

なんと!
シルク100%でこのふんわりした暖かさは何だろう。

「簡単に言えば、糸の表面を毛羽立たせてあり、
 それでふわっとした感触になるんです。」

これだ! この糸だ!
この糸だったら、あのマフラーができるかもしれない!

「ちょっとちょっと、来て下さい。」
早速ニット工場さんをブースに引っ張ってくる。

「この糸で、マフラー編めますか?」
「あぁ、編めると思いますよ。」

あぁ、この糸なんだ。
やっと見つけた!

びっくりマークがたくさんついてしまったが、
この糸に出会ったときの私の頭の中には、
もっとたくさんのびっくりマークと、
それ以上のハートマークが並んでいた。

その場で色を決め、糸を発注し、
2回目のサンプルづくりをスタートした。

(No.6・最終回) に続く)


2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.1

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.2

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.3

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.4

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.6

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.4



2018年12月7日(金)

(No.3 から続く)

工場がきまった。
糸も選んだ。
あとはサンプルを待つばかり。

しばらくして、工場さんから箱が届いた。
待ちに待ったサンプルである。

少しドキドキしながら箱を開けた。
サンプルを広げる。
ん、少し重いか。

デザインは、とりあえずまあまあ。
きさも、こんなものだろう。
肝心の肌触りは。。。

ん? なんだ?
期待していたのと違う。あまり柔らかくない。
柔らかいけど、展示会で触った程の感動がない。
これはどうしたわけか。

ウール100%の商品としては、とても柔らかい方だろう。
全く悪くない。

でも、harukiiらしいか。
いつも「あぁ柔らかい」と感動して下さるお客様に
同じ感動を与えられるか。

なんど肌に当てても、
私の顎の下は「ノー」と言う。

だめだ。
製品にできない。

どうしよう。

どうしようもなにもない。
これは没である。

でも、どうしてなんだろう。
サンプル帳の生地はとても柔らかいのに。

そこで学んだこと。

編み方、編み目の大きさなど
さまざまな条件によって糸の風合いは変ってくる。
糸の良さを出すには、
それに合った条件を見出さなけれならない、
ということ。

これはニット製品に限ったことではなく、
これまで作ってきた織物製品でも同じだ。
編み物でも同じなのだと、認識を新たにした。

工場さんに相談する。

「もっと柔らかくするにいはどうしたら良いでしょうか。」
「うーん、それは編地をぐっと甘くするしかありませんね。」

編地を甘くする。
つまりもっとざっくりと大きな目で編めば、
柔らかくなるというのだ。
糸の使用量も少なくなり、全体に軽くなる。

「でも、甘くすると型崩れしますよ。」

それは困る。
harukiiの製品は、長い間お使い頂くことがセールスポイントだ。
使えば使う程肌に馴染み、使い手の心強い味方になる。
そんな製品を目標に作っている。
一シーズンだけで形が崩れたりされては困る。

展示会で数多くのサンプルの中から、
この編み方を選んだのは、
上品な表情でありつつ、編地がしっかりしていて
型崩れしなさそうだったからだ。

この糸は使えない。
糸を変えなければならない。
せっかく魅力的な糸なのに。
良い糸なのに。

はぁぁ~~。
振り出し近くに戻った。

(No.5に続く)


2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.1

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.2

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.3

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.5

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.6

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.3



2018年12月7日(金)

(No.2 から続く)

この展示会には、糸の専門会社も出展していた。
山形県にある会社で、独特な糸を次々に開発していることで有名である。
アメリカの前大統領の就任式で、
新ファーストレディが着用した黄色いドレスに
その会社の糸が使われていたということで、
当時テレビで何度も取り上げられていた。

社長の髪の色がそのドレスと同じ色、ということで
記憶されている向きもあろう。
harukiiにとっては、いつかは取引したい憧れの会社である。

その会社のブースに入り、聞いてみた。
「柔らかい糸はありますか?」

最初に提示された糸は、
当然かもしれないが、カシミヤの糸だった。

サンプルの編地を顎の下に当ててみる。
少しザワッとする。

「これより柔らかい糸はありますか?」

それなら、これはどうでしょう、
と言って差し出されたサンプル。
これも顎の下に当ててみる。

柔らかい。
先ほどより柔らかい。
痛くない。

「これは、カシミヤですか?
「いえ、これ、実はウール100%なんです。」

ウール100%?
で、この柔らかさ?

「わが社の特別な技術で、この柔らかさを実現したんです。
この糸でしたら、カシミヤに引けを取らず、
その上、単価も安いんです。」

うわ。願ったりかなったり。

早速、先ほどのニット工場のブースに戻る。

「あの、あそこの○○繊維さんの糸を使って、
早速サンプルを作りたいんですけれど。」

こういう時、事は早く進めたほうがいい。

「編み方は、このジャケットに使われている編み方と同じで。」

初めて出会った工場さんに、
その日のうちにサンプルを発注した。

数日後、糸のサンプル帳が送られてきた。
糸の色を決め、サイズを指示して、
いよいよサンプル作りが始まった。

(No.4 に続く)


2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.1

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.2

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.4

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.5

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.6


2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.2



2018年12月7日(金)

(No.1から続く)

ニットの工場が集まって、毎シーズン展示会を開いている。
そこに参加しているある会社を知人に紹介してもらった。

「今年こそいよいよマフラーを作ろう!」

2年前のことである。

何社か参加している展示会ではあるが、
私はすでに紹介してもらった工場さんに決めていた。

知人に
「細番手(細い糸)を編んでいる工場。
 生真面目に仕事をする会社。」
それだけを条件に選んでもらった会社である。

技術がいいとか悪いとかは問わない。
というより、そもそも日本の工場でこの時代に生き残っているなら、
技術力が高いに決まっている。
それより、技術力以外の所、
つまりスケジュール管理など、体制がしっかりしている。
問題が生じたときに、すぐに連絡してくれ、対処が早い。
そういうことが一番重要で、長く付き合える会社と私は考えている。

展示会で初めてその会社の社長さんと名刺交換をした。
「○○さんに紹介して頂いたはる希と申します。」
話は通じていた。

商品をいろいろ見せて頂いた。
婦人服のミセスものを中心に作っている。
丁寧な仕事が際立つ。
一目で高級品と分かった。

残念ながら、ストール、マフラーの類は作っていないとのこと。
しかし、問題はない。
巻き物は言ってみればただの四角の生地で、
単純な製品である。
これだけきちんとした洋服を作る会社なら、
harukiiの商品を発注するのに、安心してお任せできる。
やはり製品を見て、安堵した。

さぁ、工場は決まった。
あとは素材だ。


ニット工場の風景

 ▼高機能設備の整った編工場。掃除が行き届いている。
 
 ▼検品工程。製品を一枚ずつチェックする。

 ▼修正工程。検品によって発見されたキズなどを一つ一つ丁寧に修理する。

(No.3 に続く)


2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.1

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.3

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.4

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.5

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.6

ご家庭での洗い方: ふんわりシルクWフェイスマフラー

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.1



2018年12月7日(金)

harukiiを立ち上げたとき、
巻き物専門店を標榜するなら、
首に巻く基本的な商品はすべて揃えたいと思った。

もちろん、将来的な目標として。

で、巻き物の基本とは何ぞや?

男性用、女性用。
シニア用、壮年用、若者用、学生用、子供用。
春物、夏物、秋物、冬物。
大きいもの、小さいもの。
厚いもの、薄いもの。
華やかな物、落ち着いたシックな物。
余所行きの物、普段の物。
慶事用、弔事用。

挙げればきりがない。
切り口はいくらでもある。
範囲を広げれば、身体に巻ける形状のものはすべて「巻き物」と言えるか。
すると、ペットのタマも仲間に入れるか。
実はタマが一番暖かい。

話を戻そう。

夢は大きいが、創業まもないharukiiが
一度にあらゆる商品を開発できるわけはない。

2012年の創業以来、目標は頭の片隅に持ちつつ、
とりあえず今できる事、今お客様に届けたい物。
それを一つずつ形にしてきた。

6年も経てば、かなりの商品を生み出してきたことになる。
それでも、まだ作ったことのない物。
そして、ずっと作りたいと思ってきた物がある。
それは、ニットのマフラーである。

ニット=編み物

数年前、
まだ「ストール」という商品名が一般的ではなかった頃、
寒い季節に首に巻くものは「マフラー」だった。

毛糸の手編みのマフラーに思い出のある方も多いだろう。

ニットには素朴な温かみがある。
瀟洒な表情にはならないが、
身体の丸みに沿って巻きついてくれる素直さ、優しさがある。

何といっても昭和、平成の時代、
(いや、おそらくもっと前から)
寒い季節に首を温めてくれたマフラーは、
巻き物屋の店先に並ぶ商品として、
基本のキではないか。
マフラーを売らないで、
どうして巻き物専門店として名乗れよう!

と、ここで皆さまの疑問が聞こえて来る。

ストールとマフラーは、どこが違う?
ショールやスカーフも含めて、その定義は?

そうですよね。
仰る通り。
何が違う?
どこが違う?

これは、実を言うと私もはっきり分からない。
明確な定義分けがされていないようだ。

日本では、その呼び名の変遷として
襟巻き、または首巻き
ショール、肩掛け、スカーフ、ネッカチーフ、
マフラー、ストール
そして最近は「スヌード」「ネックウォーマー」なるものまである。

※スヌード=マフラーの端をなくし筒状にしたような形状の、首に巻くものを指すことが増えた。(ウィキペディアより)

かのウィキペディア様まで
「指すことが増えた」という表現で濁している。

私の憶測だが、おそらくその時代その時代で、
小売業の大手、つまり百貨店さんなどが
呼び名を新しくして、新鮮味を出していたのではないか。

そして、いまは「ストール」という呼び方が
一般的になりつつある。

そこで、
harukiiは独断でこんなふうに分類をしている。

マフラー
幅50㎝前後、またはそれ以内。
長さは1m以上。
細長い。
織物、またはニット。
厚みがある。

ストール
マフラーより幅が広い
長さは1m以上
織物、またはニット
薄い。

ショール
ストールと同じサイズ。
婦人向け。
肩掛けとしても使用できる。
織物、またはニット。

スカーフ
一辺が1m前後、またそれ以内の正方形。
織物。
薄い。

スヌード
筒状のニット。
サイズは特定しない。

あくまでもharukii独自の分類。
そしてそれぞれの境界は、
限りなくぼんやりしている。

。。。。なかなか本題に入れない。

とにかく、私は
harukiiの商品にニットのマフラーを加えたいと、
ずっと考えていました。

(No.2に続く)


2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.2

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.3

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.4

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.5

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.6

ご家庭での洗い方: ふんわりシルクWフェイスマフラー

【お知らせ】シルクカシミヤ大柄ペイズリージャカードストールの動画を作りま した。



2017年7月13日(木)

山梨県都留市で織っている
【シルクカシミヤ大柄ペイズリージャカードストール】。

ジャカード織機で織っているところの動画を作製しました。
4分強の全編に流れる織機の規則正しい音が
とても心地よいです。

ぜひご覧ください。



harukii
髙橋裕子


2017秋冬 シルクカシミヤ大柄ペイズリージャカードストール Ⅰ



2017年7月13日(木)

自分の個人的な持ち物にはないけれど、
心惹かれて止まない柄。

ペイズリー

まが玉模様とか、植物や虫を元にした図案だとか、
名称の由来はスコットランドの市の名前だとか、
「ペイズリー」でインターネット検索をすると、
多くのサイトにとても詳しい説明が載っている。

文様というのは、発生当初は
祈りとか願いとかの意味が込められている。
日本で発見されている土器などにも装飾は施されている。
単純な形が時を経て、いろいろな文化に触れ、
それでも廃れ
ることなく残るのは、
それに込めた思いが連綿と引き継がれているからではなかろうか。

植物や虫が元になったペイズリーの図案は、
ヨーロッパの裕福な貴族たちにもてはやされ、
更に複雑に優美に洗練されていった。
そのころには、祈りや願いといった意味は消えていたのかもしれない。
しかし、戦後日本にペイズリー柄が入ってきて、
あっという間に人気を得、広まり、
そして、今では大昔からあった柄のように定着している。

そんな力が、この曲線で構成された図案に秘められているのだ。

私がペイズリー柄に触れたのはいつだったろうか。
バンダナの柄だったかもしれない。
または、雑誌で見たスカーフだったかもしれない。
それほど気を留めても来なかった柄だが、
いつのまにか私の細胞の中に浸み込んでいたようだ。

harukiiというストールブランドを初めてすぐに、
私はペイズリー柄のストールを作りたいと思った。
それも、オーソドックスなペルシャのショールのようなもの。
糸を何色かに染めて、ジャカード柄で文様を浮き上がらせるもの。
そんなショールを作りたかった。

すぐに機屋さんに相談し、
一釜物のストールのサンプルを作ることにした。
最初のサンプルが上がってきたは、
harukiiを立ち上げて一年ぐらい経った頃だった。


シルクカシミヤ大柄ペイズリージャカードストール







2016秋冬 カシミヤコットン変りギンガムストール #4



2016年11月13日(日)

低速織機が動いているところの動画です。
ゆっくり織られているところをご覧ください。
※音が出ますので、ご注意ください。



商品の開発にまつわるエピソードや、
工場の写真については、
ぜひこちらも併せてお読みください。

↓↓↓

2016秋冬 カシミヤコットン変りギンガムストール #1

2016秋冬 カシミヤコットン変りギンガムストール #2

2016秋冬 カシミヤコットン変りギンガムストール #3




2016秋冬 カシミヤコットン変りギンガムストール #3



2016年11月13日(日)

生産に入ったら、
織機が動いている様子を写真に撮らせてほしい。

そう頼み込んだのは、
サンプルが届いてから、仕上げ加工について何度かやり取りをし、
本発注を済ませた後だった。

「いいですよ。
 では、糸の準備ができたらご連絡します。」

快諾を受け、待つこと一か月半。

「これから織りに入りますので、
いつでもいらして下さい。」

何日間織りに掛かりますか?

「一日に織れるのが、6枚ぐらいですから、、、」

ああ、そんなに遅いのか。
古いタイプの織機で、ゆっくりゆっくり織る。
スピードが遅い分、糸にかかる負担が軽減される。
そうすると、繊維本来の復元力を損なわないため、
生地がふっくらと仕上がる。

約束の日を決め、
愛機のNikonを持って、いそいそと出かけて行った。


 harukiiの新作の糸が掛けられている織機は、入口から一番近いところにあった。
これが古いシャットル織機。低速でゆっくり織る。

 当たり前だが、整然と並ぶたて糸、まっすぐに織られるよこ糸。

 織機を横から見たところ。こちらの端から向こうの端までよこ糸を入れた杼(ひ)が行ったり来たりする。

 織り上がった生地がどんどん巻き取られていく。
機械メーカーの名前が書いてある。『TSUDAKOMA』 100年続く金沢の老舗企業だ。もちろん現在では最新型織機を製造している。

 よこ糸を巻いた管(くだ)。出番を待っている。

紺色がカシミヤ糸、グレーが綿糸。
  
これがよこ糸を巻いた管を入れる杼(ひ)。たて糸の間を縫って、左右に飛ぶ。

  
よく見ると、杼の内側に毛皮が貼ってある。
これは、よこ糸がツルツルと出過ぎないようにスピードを抑えるためのもの。
 
杼の先にも糸のスピードを遅めるための妨害棒が何本か仕掛けてある。 

そして、裏側から見ると穴もある。糸の性質を見極めて、棒や穴を使ってよこ糸が出ていくスピードを細かく調整しているのだ。
こういう細工がしてあるのは、初めて見た。 

これは、よこ糸が無くなったことを感知するセンサー。 仕組みは、

 よこ糸の管には、このように穴が開いている。よこ糸がたくさん巻かれると、この穴は完全にふさがれてしまう。
 杼の裏側。杼自体にも穴が開いている。
巻かれているよこ糸が少なくなると、センサーの光が管の穴も杼の穴も突き抜ける。
簡単に図に表すと、こんな仕組みだ。  

センサーの光が反応したところで杼の動きは止められ、よこ糸が充分に巻かれた管に交換される。
この交換は人の手だ。

 これは、よこ糸が切れたときのセンサー。よく見ると、下から金属の棒が4本出ている。
通常はよこ糸がこの棒を抑え込んでいるが、糸が切れるとこの棒が上に飛び出してきて、杼をストップさせる。
このように、いろいろなところに糸が切れたときのセンサーが仕込まれている。

 これは、模様をたて糸に伝えるためのパンチカード。
この穴に複数の情報が盛り込まれていて、柄がきちんと織り上げられる。

織機の向こう側に回ったところ。これから織られるたて糸が一本交互に上下に分かれている。
この間をよこ糸が通るわけだが、これを『綾(あや)』と呼ぶ。
そして、綾を保持する棒が綾棒。軽くて表面が滑らかな竹が使われている。
鉄の大きな機械に竹の棒と荷造り紐がなんとも温かい味を醸し出している。

そして、こちらは別の機械。
先ほどのパンチカードを作る機械。
これも古くて、昔のタイプライターのように一つずつキーを押して穴を開ける。
人動だ。左横についているバーを手で回す。
機械を動かす仕組みは円でできている。いつまでも見ていたい気がする。

********

やはり、生地が織られているところを見ることができてよかった。
人も機械も一生懸命動いて互いに連動して、
一枚の生地が出来あがっている。
それを見ると、いろいろなことを大切にしなければと改めて思う。

(続く)


2016秋冬 カシミヤコットン変りギンガムストール #1

2016秋冬 カシミヤコットン変りギンガムストール #2

2016秋冬 カシミヤコットン変りギンガムストール #4




2016秋冬 カシミヤコットン変りギンガムストール #2



2016年11月13日(日)

酷暑が明けたと思ったら、秋は駆け足で過ぎていき、
町の木々が色づく前に冬が来てしまった。

そのあと、申し訳なさそうに戻ってきた
秋のような穏やかな日々。
今は秋なのだろうか、冬なのだろうか。
こんな日はあと何日続くのだろうか。

そんなことはどうでもよい。
優しい陽射しの元で、
温かい飲み物を飲みながら、
好きな音楽を流し、この時を楽しむのが、
自然への一番の感謝であろうと思う。

そんなことをつらつらと思いながら、
この文章を書いている。

なんであったろうか。
何を書くつもりであったか。

あ、そうだ。
前回の続きだった。
新作の【カシミヤコットン変りギンガムストール】のことだ。

*********

今年こそ商品化しようと思い立ち、
借りていたストールを基に、
意匠と規格をharukiiらしく改め、
色やら何やら機屋さんとやり取りをし、
サンプル作製を依頼した。
それは今年の真夏。
異常気象と言われるような気温が続いている頃だった。

ここ毎年異常気象と言われているため、
暑いのには驚かないが、
しかしそれにしても暑すぎる。
30℃が涼しいと思われるような日々だった。

最初のサンプル生地が届いた。
想像していた以上に、普通だ。
普通を目指していたので、それでいいのだが、
実際に目にすると、「売れるのだろうか」という心配がよぎる。

早速生地にはさみを入れ、
ストールに仕立てる。
いつものようにLサイズ、Sサイズ、Miniサイズと、
三つのサイズ展開。
どれも使い勝手がよさそうだ。

一番気になる肌触りは。。。

これは、最高。
間違いない。
優しくて安心感がある。
仕上げ工程で

「本当に、出来るだけ柔らかくしてほしいんです。
 それも、繊維をいじめるような薬剤を使うことなしに。
 カシミヤやコットンが持つ、生来の柔らかさを
 損ないたくないんです。」

そう何度も念を押した私の要求に、
機屋さんの若い担当者さんは辛抱強く応えてくれた。

今回使ったカシミヤもコットンも、
上質な糸を選んだ。
どちらも確かな伝統と技術を持つ
日本国内の工場で紡績されている。

(紡績=繊維から糸をつくること)

カシミヤの方は、アラシャンカシミヤという高級種で、
貴重な繊維だ。
染色も綿の段階で施されているため、
確実に柔らかい。

コットンはスーピマという種類の超長綿使ってあり、
とても滑らかだ。

先日あるバイヤーさんに、
「どうしてカシミヤとコットンを組み合わせようと思ったのですか」と聞かれた。
その時私は、
「お肉やお魚を食べると、野菜も欲しくなるでしょう。
 やはり日本人は農耕民族。
 タンパク質だけでは生きていけない。
 植物繊維を摂ることでバランスが取れるのだと思う」
と答えた。

その時咄嗟に出た言葉だったけれど、
今更ながら本当にそうだなと思う。

身体に優しいもの、必要な物として
内臓が欲するものと皮膚が欲するものは、
同じであって何ら不思議はない。
むしろそれが自然だと思う。

アジアの農耕民族の血の中に受け継いでいるバランス感覚。
それが私にカシミヤとコットンを同量使った生地を
「安心する、心地よい」と思わせているのだと思う。


作業を終え、
さんざんサンプルを首に巻いたり、
肌に押し付けたりして、
その肌触りを確認したあと、
生地の切れ端を膝に置きながら、
パソコンで事務作業をしていた。

膝のあたりが何だか温かい。
それはもちろん、小さいながらも
カシミヤコットンの生地を置いているからだ。
冷房を効かせた室内での事務作業。
そこで感じたのは、
優しい温かさだった。

猫や犬を飼っている人は
いつもこういう温かさを感じているのではないかしら。
ご主人の仕事中に、その膝の上に乗っかって
気持ちよさそうに目を細め、うずくまっている猫や犬。
その体温によって飼い主もペットも両方癒されている。
会話なく、お互いが別のことに関心を寄せつつ、
しっかりとお互いを確かめ合っている。
そんな光景を写真やテレビで
何度も見たことがある。

私の膝の上にある小切れは、
大げさかもしれないけれど、
愛玩するペットが与えてくれる
無償の優しさに似ている気がしてならなかった。

残暑真っ只中の肌には
まだそのストールの暖かさが正しく評価できなかったが、
「この優しさがあれば、大丈夫。」
そう信じられたひと時だった。

そうだ。
普通で良いのだ。
普通で、大げさでなく、
どこまでも信頼できて、優しくて、
いつもそばにいてほしいと思う。
そんな愛犬、愛猫のような存在。
そんなストールを作りたかったのだ。

▲ネイビー

▲グレー

 ▲ワイン


(続く)



2016秋冬 カシミヤコットン変りギンガムストール #1

2016秋冬 カシミヤコットン変りギンガムストール #3

2016秋冬 カシミヤコットン変りギンガムストール #4





2016秋冬 カシミヤコットン変りギンガムストール #1



2016年10月20日(木)

一年ほど機屋さんに借りたままになっていたサンプルがある。
その社長さんがなさっていたストールが、とても優しい肌触りで、
一度触らせて頂いて忘れられずにいた。
それが、2014年の早春だったと思う。

そして、その後半年ぐらいずっと頭の片隅にあった。

その秋、そのストールを借りてみることにした。
どうにかして商品化したい。
どんな商品にしたら良いだろうか。

使ってあるのはカシミヤとコットン
お互いの素材がお互いの良さを引き立てていて、
何ともいえない柔らかさだ。

動物性の素材と植物性の素材。
それがほぼ同率に使ってある。
その組み合わせが醸し出す、なんとも言えない安心感。
私はそのストールに魅了されてしまった。

でも、いろいろな理由が重なって、
なかなか具体的な商品化に進まない。
いつか商品にしたいのだけど、
そのタイミングがつかめない。

そうこうしているうちに、月日がずるずると経っていき、
借りたサンプルはそのまま、
借りっぱなしになっていた。
機屋さんに申し訳ないと思いながら、
「近いうちに商品化するのだから」と自分に言い訳し、
そのまま何も言わずにサンプル箱の中にしまってしまった。

そして、2年も経とうかという今年の初夏に、
「今年こそ」と
私の頭と手と足と目とが一斉に動いた。

(続く)


2016秋冬 カシミヤコットン変りギンガムストール #2

2016秋冬 カシミヤコットン変りギンガムストール #3

2016秋冬 カシミヤコットン変りギンガムストール #4




栃木県茂木町に行ってきた。



2013年1月25日(金)

昨日、栃木県の芳賀郡茂木というところに行ってきた。
ここにある縫製工場を訪問したのだ。

harukiiのストールには、現在のところ縫製という工程はない。
まつり縫いやかがり縫いといった処理もない。
なぜ縫製工場かというと、
来月少しまとまった量を納品するストールがあり、
その検品、袋入れ、そして検針を行ってもらうのだ。

検品は一枚一枚丁寧に行ってもらう。
サイズが間違っていないか。
色が合っているか。
汚れやキズはないか。
糸が途中で切れていないか。
他の製品の糸が飛び込んでいないか。

検品して合格した製品だけが袋に入れて封をされ、
最後に検針器に掛けられる。

検針器というのは、文字通り、針を検知する機械である。
縫製という工程は無くても、もし工場内に針があれば、
何かの拍子にストールに混入しないとも限らない。

もちろん、工場さんは各工程でそのようなことが起こらないように、
細心の注意を払っている。
ところが、思わぬところで、予想もしないようなタイミングで
針が入ってしまうかもしれない。
そういうことは、ないとは限らない。
だから、最後に一枚一枚検針器に掛けて、
針が混入していないか確かめるのだ。

とても面倒くさい工程で、なおかつ時間がかかる。
そして一番大切なのは、当たり前だが、
検品をする人が厳しい目を持たなければならない。
そこで、検品、検針の工程のみ別の工場さんにお願いした、というわけである。

この茂木にある縫製工場さんとは、以前の仕事でお付き合いがあった。
とても正確に、そして美しく商品を仕上げる工場さんだと、常々感心していた。
なので、今回数量が多い納品が決まった時に、
真っ先にこの工場さんが頭に浮かんだ。
ぜひ最終の工程をお任せしたいと思ったのだ。

やはりここでも、最終の工程は女性が担っている。
仕事の丁寧さと迫る納期のせめぎ合い。
女の責任感と忍耐力と度胸は、最終工程で存分に発揮される。


茂木という土地は、『もてぎ』と読む。
茂木駅は、真岡鐵道(もおかてつどう)の終着点。
栃木県の最東端の駅だそうだ。


私が茂木に行ったルートは次の通り。
 1) 渋谷から湘南新宿ライン快速に乗り、小山駅で下車
 2) 小山駅から水戸線に乗り換え、下館駅で下車
 3) 下館駅から真岡鐵道に乗り換え、終点茂木で下車
約3時間の旅である。

どこかちょっと遠くに行くたびに、にわか鉄子になるのだが、
今回は特にそうならずばおられまい。
だって、真岡鐵道は週末には本物のSLを走らせているというではないか。
昨日は木曜日だったので、SLの姿は見られなかったが、
なんとなくその匂いを嗅いだような気がする。

通常はこのようなレトロっぽいデザインの一両電車が走っている。
モオカ14形気動車
ふんふん。
え? 1988年から?
以外と若いのね。
少し調べたら、真岡線は一度廃線の危機に見舞われたそうだ。
そこで第三セクターを作り、SLを再度走らせることにした。
それが、1988年のことらしい。
たしかに平日の昨日は乗客もまばらだった。
けれど、沿線には高校があるのだろう。
学生が多く利用していた。
なくなると困るだろうな。

そして、終点の茂木駅にあるのが、これ。
拡大してみよう。
SLが方向転換をするための、転車台。 Hoooo!

実際にSLが方向転換するときは、多くの見物客でにぎわうそうだ。
私にも見える気がする。
SLの黒い車体がゆっくりと蒸気を吐きながら、
ぐわーんと回る様子が。
あれ? 回るときは蒸気を吐く必要があるのだろうか?
誰が回すの? 人力? それとも電気?
自力の蒸気?
本物の鉄子ではないので、そこまでは分からない。

茂木には『ツインリンク』というサーキット場もある。
鉄道ファンかカーレースファンが集う街。
鉄の動く箱の町、茂木。

まったく何の情報も持たずに、工場さんとの打ち合わせに出かけた茂木。
遠い旅だったが、なんだか得をした気分になって帰ってきた。


帰りの車窓から見えたのは、鉄の神の降臨だろか。
鈍色の雲が、厚く空を覆っていた。




山梨県南都留郡西桂へ行って来た Ⅱ



2012年8月27日(月)

土曜日、山梨県西桂に行ってきた。
展示会前の最終確認のために。

ニューヨークの展示会サンプルから、染色の修正を加えたもの、
ワンポイント刺繍を施すことにしたもの、
そして、まだ一度も見ていないサンプルもある。
それらの納期確認。

今、工場さんは秋冬物の商品の生産で、最後の追い込み中だ。
機械はそのためにフル回転。
職人さんたちも、額に汗して、フル回転。
そんななかで、展示会のサンプルを作って頂いている。
こちらとしては少しでも早くサンプルの顔を見たいが、
職人さんたちのスケジュールはきっちり埋まっている。
出来上がってくるのが、展示会直前になるものもありそう。
焦らない、焦らない。
私が焦って何ができるという。
じっと待とう。
任せれば、きっといいのが上がってくるはずだ。

まだ一度も見ていないサンプルが、テーブルの上に織り上がって
次の加工を待っていた。
まだ糊が付いていて、ガチガチに固い。
でも、艶がとってもいい。
来週早々整理加工して
(洗って、プレス乾燥して、一枚一枚に切り離して、畳んで)
私の手元にやってくる。
すごく楽しみだ。

ここへ来たもう一つの目的は、
工場や職人さんの写真を撮ること。
撮って、展示会のブースで流す。
私が生産背景を言葉で説明するより、
工場や職人さんの写真を見せたほうが、
何倍も分かりやすい。

この忙しさだから、仕事の邪魔になってはいけない。
武藤さんに電話でお願いして頂いて、
二人の職人さんがOKして下さった。

まず、ジャカード織の工場。

昔ながらのパンチングした型紙が
カタカタと上っていく。
織機はスピードの緩い、シャットル。
杼が左右に飛ぶ。

シゲさん。
極々細い絹糸を扱う。
薄物、繊細なものは、シゲさんに任せておけば安心。
キズがない、本当にきれいな生地が織り上がる。
harukii のジャカードストールもシゲさんの手による。
大きなジャカード機の前で、
シゲさんは生地の表情を確かめる。

シゲさんの工場の前に流れる桂川。
富士山の水を集めて、山中湖から流れてくる。
水が美しい。
きっとすごく冷たいはずだ。

照れるシゲさん。
でも、実はカメラには慣れているという。
ほんとう?

次は小野田染色。
絹糸を枷(かせ)で染める工場さん。
これは、絹紡の糸の染色前。
少量の糸を染めるための機械。
さっきテーブルの上で見た、織りあがったばかりのサンプルは、きっとこの機械で糸を染めてもらっているはず。

多くなると、機械は大きくなる。

糸を捌く、鉄ちゃん。
なかなかのハンサム・ガイ。
鉄ちゃんを捕まえるのは、ムズカシイ。
染色を制御するコンピュータも、チラ見している。
チョットコッチヲミテクダサイ。

小野田さんの前にも、美しい川。

富士山の水がこんこんと湧き出してい。

西桂で織物が盛んになったのは、
この美しい水がふんだんに使えるからなのだろう。
羨ましい土地だ。

工場の目の前の田んぼでは、稲がたわわに実り、
もうほんのり黄色く色づいている。

収穫の季節も近い。

最後は、もちろん武藤さんの最終工程ガールズ。
今日も静かに、せっせと手と鋏を動かしている。

 加藤さんは、ちょうどシゲさんの織った
harukii のジャカードの最終加工をしているところだった。

いつもながら、確かで無駄のない動き。
鋏は必ず右手縦にまっすぐ置き、
取るときは見ない。


作業台の上は、すっきり。
糸くずを整理してから。

作業の邪魔をしてはいけないので、
カメラを向いて頂くことはできなかった。
急がせてごめんなさい。
お蔭で、今日持って帰れます。

展示会まで、あと10日。
大丈夫。時間はまだある。
みなさん、身体に気を付けて。
美味しい水をたっぷり飲んで、熱中症にならないように。
いつも、本当に、有難うございます。