2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.6



2018年12月7日(金)

(No.5より続く。 最終回)
No.1 はこちらをクリックして読みください。)

暫くして、2回目のサンプルが送られてきた。

最初のサンプルの時より、
もっとドキドキしている。
少し開けるのが怖い気もした。
それでも、勇気を持って開けてみる。

柔らかいか。
どうだ。
どうなんだ。

んー。
世の中それほど甘くない。
あれほど柔らかかった糸が、
編むとこんなになるのか。

でも、と気を取り直す。

最初のサンプルを引っ張り出してきた。
これと比べれば、ずっと柔らかい。
ベターじゃないか。
落ち込むな。
何とかなる。
何とかしよう。
何とかできる。
ぐっと気持ちを引き上げる。

早速工場さんに相談する。

「今度の方が最初よりいいのですが、
 でも弊社の求める物はこれではないのです。
 もっとふわっと、うわぁ気持ちいい!と
 思わず声が出るような。
 そんな肌触りを求めているんです。」

「んー、そうですねぇ。
 少し仕上げ加工を工夫してみましょうか。」
「ぜひお願いします。」

3度目のサンプルを待つ。
今度はかなり良くなってきた。

「もうあと一歩、もう少し柔らかくなりませんか。」
「度を甘くしてみましょうか。」

度を甘く? 編み目のサイズを変えること?
 
「型崩れしませんか?」
「いや、それほどは甘くしません。
 ほんのちょっとです。型崩れしない程度です。」
「それなら、ぜひやってみてください。」

そして私は4枚目のサンプルを待つこととなった。

いつ発売と確定せずにスタートしたサンプル作り。
工場さんは、多くの顧客の注文をこなしながら、
機械が空いている少しの隙に
harukiiのサンプルづくりを差し込んで下さる。
なので、すぐに出来上がることはない。

気長に待つ。
これぞというタイミングに、
ベストのサンプルが出来あがってくるはずだ。
そう信じて待った。

数か月後、4枚目のサンプルが出来上がってきた。

もう、わくわくはどこかに忘れてしまった。
ただドキドキするだけ。
柔らかくなっていてくれ。
そう祈るのみ。

本当に、有難たいことに、
そのサンプルはふんわりと
私の心に寄り添うように、
柔らかい風合いを持って
私を包んでくれた。

あぁ、やっと出来あがった。
これなら、harukiiのマフラーとして世に出せる。
有難う。
すべての人に有難う。
すべての物に有難う。

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あとで知ったことだが、
このシルクの糸の表面の毛羽は、
なんとカシミヤの1/2の太さ。
7.5ミクロンだとか。
※1ミクロン=1000分の1ミリ


そして、シルク原糸の中でも最上級の
A1というランクのものを使っている。
※ランクには、A1、B2、C3、D4、E5とあり、A1が最高。

愛知県の工場では、超高性能の機械を使って、
原糸のチェックをしている。
節や結び目、ゴミを徹底的に除去し、
なめらかな糸にしている。


ここで学んだ、もう一つの大切なこと。

原料の持つ力は、最後まで失われない。
そして、途中での誤魔化しは効かない。

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もう一度、サイズを見直し、
最終サンプルが出来あがった時
すでに今年の秋が始まっていた。

すぐに本発注に入った。

発売を12月初めに設定した。
すでに秋冬物としては遅い発売だ。
でも、このシルク100%のマフラーは、
楽しく胸躍る季節に出したい。

色は「新春」をテーマにした。
クリスマスが終わると、
日本は次の日からお正月のムードが高まる。
お正月から、春一色。
それに続いてバレンタインデーやホワイトデー、
お花見、引越し、入学、入社。
新しい生活にわくわくするシーズン。

そんな新春をイメージして、
5つの配色を選んだ。
色名はすべて春の植物から付けた。

 ◆沈丁花(じんちょうげ)

  ◆福寿草(ふくじゅそう)

  ◆蕨(わらび)

 ◆土筆(つくし)

 ◆勿忘草(わすれなぐさ)

春らしい色目のマフラーが出来あがった。
今は冬だけど、
私には明るい春の到来である。

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こちらの商品は、以下で販売しております。

 ・harukii オンラインショップ >>>
 ・ストール専門店 harukii - はる希(楽天店) >>>
 ・STYLE STORE(スタイルストア) >>>
 ・lizm(リズム) >>>

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このストールが、
皆さまを温めるのにお役に立つことを
願ってやみません。

harukii
髙橋裕子


2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.1

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.2

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.3

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.4

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.5

ご家庭での洗い方: ふんわりシルクWフェイスマフラー

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.5



2018年12月7日(金)

(No.4 より続く)

それからしばらく時間が経った。
最初のサンプルは、箱に戻されたまま。
行きも戻りもせず、
ニットマフラー作りは棚上げになっていた。

2017年のニットの展示会に足を運んだ。
例の工場さんに会うためだ。
マフラー作りをどうにか進めたいと思っている。
私は「どうしたらいいでしょうね」と投げかけた。

「うーん、そうですねぇ。糸は変えたほうが良いかも。」

やはりそうか。でもどんな糸がいいのだろう。

会場を回ってみた。
マネキンに人集りがしているブースがある。
愛知県の糸の専門会社だ。

こちらも、業界では有名。
上質で個性的な糸を次々に開発している。
harukiiもすでに織物のストールで、この会社の糸を使わせて頂いている。

ブースに入り、社員の方に
「柔らかくて肌触りの良い糸を探しているんですが。」と、聞いてみる。

「じゃぁ、これがおススメです。」

その人は、私を人集りがしていたマネキンに案内し、
「触ってみてください」と、セーターを指差した。

なんと!
とろけるような柔らかさ。
なんだなんだ!?

「この糸、何ですか!?」
「シルクの糸です。」

「シルク? シルク100%ですか?」
「はい、シルク100%です。他に何も混ぜていません。」

なんと!
シルク100%でこのふんわりした暖かさは何だろう。

「簡単に言えば、糸の表面を毛羽立たせてあり、
 それでふわっとした感触になるんです。」

これだ! この糸だ!
この糸だったら、あのマフラーができるかもしれない!

「ちょっとちょっと、来て下さい。」
早速ニット工場さんをブースに引っ張ってくる。

「この糸で、マフラー編めますか?」
「あぁ、編めると思いますよ。」

あぁ、この糸なんだ。
やっと見つけた!

びっくりマークがたくさんついてしまったが、
この糸に出会ったときの私の頭の中には、
もっとたくさんのびっくりマークと、
それ以上のハートマークが並んでいた。

その場で色を決め、糸を発注し、
2回目のサンプルづくりをスタートした。

(No.6・最終回) に続く)


2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.1

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.2

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.3

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.4

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.6

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.4



2018年12月7日(金)

(No.3 から続く)

工場がきまった。
糸も選んだ。
あとはサンプルを待つばかり。

しばらくして、工場さんから箱が届いた。
待ちに待ったサンプルである。

少しドキドキしながら箱を開けた。
サンプルを広げる。
ん、少し重いか。

デザインは、とりあえずまあまあ。
きさも、こんなものだろう。
肝心の肌触りは。。。

ん? なんだ?
期待していたのと違う。あまり柔らかくない。
柔らかいけど、展示会で触った程の感動がない。
これはどうしたわけか。

ウール100%の商品としては、とても柔らかい方だろう。
全く悪くない。

でも、harukiiらしいか。
いつも「あぁ柔らかい」と感動して下さるお客様に
同じ感動を与えられるか。

なんど肌に当てても、
私の顎の下は「ノー」と言う。

だめだ。
製品にできない。

どうしよう。

どうしようもなにもない。
これは没である。

でも、どうしてなんだろう。
サンプル帳の生地はとても柔らかいのに。

そこで学んだこと。

編み方、編み目の大きさなど
さまざまな条件によって糸の風合いは変ってくる。
糸の良さを出すには、
それに合った条件を見出さなけれならない、
ということ。

これはニット製品に限ったことではなく、
これまで作ってきた織物製品でも同じだ。
編み物でも同じなのだと、認識を新たにした。

工場さんに相談する。

「もっと柔らかくするにいはどうしたら良いでしょうか。」
「うーん、それは編地をぐっと甘くするしかありませんね。」

編地を甘くする。
つまりもっとざっくりと大きな目で編めば、
柔らかくなるというのだ。
糸の使用量も少なくなり、全体に軽くなる。

「でも、甘くすると型崩れしますよ。」

それは困る。
harukiiの製品は、長い間お使い頂くことがセールスポイントだ。
使えば使う程肌に馴染み、使い手の心強い味方になる。
そんな製品を目標に作っている。
一シーズンだけで形が崩れたりされては困る。

展示会で数多くのサンプルの中から、
この編み方を選んだのは、
上品な表情でありつつ、編地がしっかりしていて
型崩れしなさそうだったからだ。

この糸は使えない。
糸を変えなければならない。
せっかく魅力的な糸なのに。
良い糸なのに。

はぁぁ~~。
振り出し近くに戻った。

(No.5に続く)


2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.1

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.2

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.3

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.5

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.6

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.3



2018年12月7日(金)

(No.2 から続く)

この展示会には、糸の専門会社も出展していた。
山形県にある会社で、独特な糸を次々に開発していることで有名である。
アメリカの前大統領の就任式で、
新ファーストレディが着用した黄色いドレスに
その会社の糸が使われていたということで、
当時テレビで何度も取り上げられていた。

社長の髪の色がそのドレスと同じ色、ということで
記憶されている向きもあろう。
harukiiにとっては、いつかは取引したい憧れの会社である。

その会社のブースに入り、聞いてみた。
「柔らかい糸はありますか?」

最初に提示された糸は、
当然かもしれないが、カシミヤの糸だった。

サンプルの編地を顎の下に当ててみる。
少しザワッとする。

「これより柔らかい糸はありますか?」

それなら、これはどうでしょう、
と言って差し出されたサンプル。
これも顎の下に当ててみる。

柔らかい。
先ほどより柔らかい。
痛くない。

「これは、カシミヤですか?
「いえ、これ、実はウール100%なんです。」

ウール100%?
で、この柔らかさ?

「わが社の特別な技術で、この柔らかさを実現したんです。
この糸でしたら、カシミヤに引けを取らず、
その上、単価も安いんです。」

うわ。願ったりかなったり。

早速、先ほどのニット工場のブースに戻る。

「あの、あそこの○○繊維さんの糸を使って、
早速サンプルを作りたいんですけれど。」

こういう時、事は早く進めたほうがいい。

「編み方は、このジャケットに使われている編み方と同じで。」

初めて出会った工場さんに、
その日のうちにサンプルを発注した。

数日後、糸のサンプル帳が送られてきた。
糸の色を決め、サイズを指示して、
いよいよサンプル作りが始まった。

(No.4 に続く)


2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.1

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.2

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.4

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.5

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.6


2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.2



2018年12月7日(金)

(No.1から続く)

ニットの工場が集まって、毎シーズン展示会を開いている。
そこに参加しているある会社を知人に紹介してもらった。

「今年こそいよいよマフラーを作ろう!」

2年前のことである。

何社か参加している展示会ではあるが、
私はすでに紹介してもらった工場さんに決めていた。

知人に
「細番手(細い糸)を編んでいる工場。
 生真面目に仕事をする会社。」
それだけを条件に選んでもらった会社である。

技術がいいとか悪いとかは問わない。
というより、そもそも日本の工場でこの時代に生き残っているなら、
技術力が高いに決まっている。
それより、技術力以外の所、
つまりスケジュール管理など、体制がしっかりしている。
問題が生じたときに、すぐに連絡してくれ、対処が早い。
そういうことが一番重要で、長く付き合える会社と私は考えている。

展示会で初めてその会社の社長さんと名刺交換をした。
「○○さんに紹介して頂いたはる希と申します。」
話は通じていた。

商品をいろいろ見せて頂いた。
婦人服のミセスものを中心に作っている。
丁寧な仕事が際立つ。
一目で高級品と分かった。

残念ながら、ストール、マフラーの類は作っていないとのこと。
しかし、問題はない。
巻き物は言ってみればただの四角の生地で、
単純な製品である。
これだけきちんとした洋服を作る会社なら、
harukiiの商品を発注するのに、安心してお任せできる。
やはり製品を見て、安堵した。

さぁ、工場は決まった。
あとは素材だ。


ニット工場の風景

 ▼高機能設備の整った編工場。掃除が行き届いている。
 
 ▼検品工程。製品を一枚ずつチェックする。

 ▼修正工程。検品によって発見されたキズなどを一つ一つ丁寧に修理する。

(No.3 に続く)


2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.1

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.3

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.4

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.5

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.6

ご家庭での洗い方: ふんわりシルクWフェイスマフラー

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.1



2018年12月7日(金)

harukiiを立ち上げたとき、
巻き物専門店を標榜するなら、
首に巻く基本的な商品はすべて揃えたいと思った。

もちろん、将来的な目標として。

で、巻き物の基本とは何ぞや?

男性用、女性用。
シニア用、壮年用、若者用、学生用、子供用。
春物、夏物、秋物、冬物。
大きいもの、小さいもの。
厚いもの、薄いもの。
華やかな物、落ち着いたシックな物。
余所行きの物、普段の物。
慶事用、弔事用。

挙げればきりがない。
切り口はいくらでもある。
範囲を広げれば、身体に巻ける形状のものはすべて「巻き物」と言えるか。
すると、ペットのタマも仲間に入れるか。
実はタマが一番暖かい。

話を戻そう。

夢は大きいが、創業まもないharukiiが
一度にあらゆる商品を開発できるわけはない。

2012年の創業以来、目標は頭の片隅に持ちつつ、
とりあえず今できる事、今お客様に届けたい物。
それを一つずつ形にしてきた。

6年も経てば、かなりの商品を生み出してきたことになる。
それでも、まだ作ったことのない物。
そして、ずっと作りたいと思ってきた物がある。
それは、ニットのマフラーである。

ニット=編み物

数年前、
まだ「ストール」という商品名が一般的ではなかった頃、
寒い季節に首に巻くものは「マフラー」だった。

毛糸の手編みのマフラーに思い出のある方も多いだろう。

ニットには素朴な温かみがある。
瀟洒な表情にはならないが、
身体の丸みに沿って巻きついてくれる素直さ、優しさがある。

何といっても昭和、平成の時代、
(いや、おそらくもっと前から)
寒い季節に首を温めてくれたマフラーは、
巻き物屋の店先に並ぶ商品として、
基本のキではないか。
マフラーを売らないで、
どうして巻き物専門店として名乗れよう!

と、ここで皆さまの疑問が聞こえて来る。

ストールとマフラーは、どこが違う?
ショールやスカーフも含めて、その定義は?

そうですよね。
仰る通り。
何が違う?
どこが違う?

これは、実を言うと私もはっきり分からない。
明確な定義分けがされていないようだ。

日本では、その呼び名の変遷として
襟巻き、または首巻き
ショール、肩掛け、スカーフ、ネッカチーフ、
マフラー、ストール
そして最近は「スヌード」「ネックウォーマー」なるものまである。

※スヌード=マフラーの端をなくし筒状にしたような形状の、首に巻くものを指すことが増えた。(ウィキペディアより)

かのウィキペディア様まで
「指すことが増えた」という表現で濁している。

私の憶測だが、おそらくその時代その時代で、
小売業の大手、つまり百貨店さんなどが
呼び名を新しくして、新鮮味を出していたのではないか。

そして、いまは「ストール」という呼び方が
一般的になりつつある。

そこで、
harukiiは独断でこんなふうに分類をしている。

マフラー
幅50㎝前後、またはそれ以内。
長さは1m以上。
細長い。
織物、またはニット。
厚みがある。

ストール
マフラーより幅が広い
長さは1m以上
織物、またはニット
薄い。

ショール
ストールと同じサイズ。
婦人向け。
肩掛けとしても使用できる。
織物、またはニット。

スカーフ
一辺が1m前後、またそれ以内の正方形。
織物。
薄い。

スヌード
筒状のニット。
サイズは特定しない。

あくまでもharukii独自の分類。
そしてそれぞれの境界は、
限りなくぼんやりしている。

。。。。なかなか本題に入れない。

とにかく、私は
harukiiの商品にニットのマフラーを加えたいと、
ずっと考えていました。

(No.2に続く)


2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.2

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.3

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.4

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.5

2019新春 ふんわりシルクWフェイスマフラー No.6

ご家庭での洗い方: ふんわりシルクWフェイスマフラー