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【お知らせ】天然生活のプレゼントに【ブロックチェック・ガーゼストール】が掲載されました。



2015年12月19日(土)

あと一週間でクリスマス
そしてもう一週間でお正月という、
年末も差し迫ったころになりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、本日発売の雑誌『天然生活 2月号』。
読者プレゼントのページに、
harukiiの【ブロックチェック・ガーゼストール】が掲載されています。



114ページ。(最終ページです。)

ピンクと

ブラック&ホワイト

それぞれ各一名の方に当たります。

この商品は、harukii立ち上げ当初から、
開発にとても力を入れてきた商品で、
お陰様で今では四季を通じて販売しております。

もしお時間があれば、商品の特徴や開発秘話について、
ぜひこちらをお読みください。 

ブロックチェック・ガーゼストール 〉〉〉


天然生活のプレゼントの応募締め切りは、
2016年1月19日です。
雑誌付属の葉書か、
インターネットでも応募できます。 〉〉〉


ふるってご応募ください。
皆様からのご応募をお待ちしております。

harukii
髙橋裕子

harukii商品のご購入は、こちから 〉〉〉

Style Storeでもご購入いただけます。 〉〉〉



【お知らせ】ブロックチェック・ガーゼストールの販売を開始いたします。



2013年6月5日(火)

6月6日(木)より、【ブロックチェック・ガーゼストール】の販売を開始いたします。

長らくお待ちいただきましたお客様、誠に有難うございました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

商品名: ブロックチェック・ガーゼストール



一年を通して肌に心地よいガーゼのコットン。
特に春から夏、秋にかけて、
アウトドアでの汗取りに、
またノースリーブのトップスに羽織って紫外線避けにと、
大変重宝するストールです。

本製品は、コットンの中でも、
そのため、普通の綿糸が毛羽が経ちにくく、丈夫です。
度重なる洗濯にも、いつもさらりとした感触を変えません。
リネンより柔らかく、普通のコットンよりすっきりとした表情は、
長綿ならではのものです。

ごく薄いガーゼですから、濡れてもすぐに乾きます。
サイズは、幅広く、そして丈は短めにし、
クシュクシュっと首に巻くと、ちょうどタオルを巻いたボリュームと同じになります。
汗をかいたときは、タオル代わりに額や首、あごの汗を拭いて頂けます。
また洗濯をしても、すぐに乾き、その度毎に柔らかさが増します。
丈夫で、一年中のヘビーユースに耐える商品です。

ピンク



ネイビー



ベージュ



B&W (ブラック&ホワイト)




素材:    コットン 100%
サイズ:   幅75cm × 長さ130cm 房3cm
色:      ピンク、ネイビー、ベージュ、B&W(ブラック&ホワイト)
重さ:    48g
価格(税込): 7,350円

◆原材料産地: インド

◆加工地
紡績: インド
糸染: 山梨県南都留郡
糸の糊付け: 静岡県浜松市
織り、洗い、乾燥、整理、検品、タグ付、袋詰: 山梨県南都留郡


●男女共用サイズです。男性でもゆったりと巻ける大きさです。


★父の日に配達を希望されるお客様へ

6月16日に配達を希望される場合、6月13日までにご注文下さい。

※ 北海道、青森県、九州、沖縄県への配達をご希望される場合は、
  6月12日までにご注文ください。

ギフト包装も承っております。

ご注文の方法は、こちらをご覧ください。 >>>


皆様からのご注文を、心よりお待ち申し上げております。


株式会社はる希
高橋裕子

【お知らせ】 STYLE STORE にて【ブロックチェック・ガーゼストール】の販売が始まりました。



2013年4月10日(水)

本日、午前10時より、STYLE STORE様にて
harukiiの【ブロックチェック・ガーゼストール】の販売が開始されました。



このガーゼストールは、これまでのharukiiの商品の中でも、
特に開発に大きなエネルギーを注いだ商品です。

サンプルができあがるまでに、多少の紆余曲折がありました。
ほんの半年前のことですが、今では懐かしく思い出されます。

当初この商品は綾織りで企画しておりましたが、
長綿という、キリリとした原綿の特徴を活かすため、
平織に変え、感触をサラリとさせました。

商品名は【コットン綾ガーゼ】から、
【ブロックチェック・ガーゼストール】に変更致しました。
サイズは、幅75cm、長さ130cmと、小ぶりのストールです。
タオルマフラーのように、気軽にお使いいただきたい商品です。

今回はスタイルストアさんのために、harukiiオリジナルの色に加えて、
特別に二つの色を新しく加えました。

harukii オリジナル・カラー
 B&W ブラック&ホワイト
 Navy ネイビー

STYLE STORE 限定カラー
 Pink ピンク
 Beige ベージュ
※ この2色は、スタイルストアさんのみでの限定販売です!

これからの季節、アウトドアで時間を過ごすことが多くなります。
優しくサラリとしたコットンのストールは、とても使いやすく便利。
また、5月の母の日、6月の父の日のプレゼントにも
お使い頂けたらと存じます。

皆様、ぜひ【ブロックチェック・ガーゼストール】を
お試しください。

STYLE STORE のサイトは、こちら >>>

この製品のこれまでの開発秘話は、
ぜひこちらをお読みください。

皆様のご来店を、心よりお待ちいたしております。


株式会社はる希
代表取締役 高橋裕子





2013春夏 ブロックチェック・ガーゼストール Ⅱ



2013年3月20日(水)

製品に使われている糸について。

この糸は、長綿を撚って作ってある。
太さは、肌着に良く使われる糸と同じ。
Tシャツの糸よりも細いが、ドレスシャツの糸よりも太い。

長綿。 ちょうめん。
繊維が長い綿のことを言う。
繊維の平均の長さが28mm以上のもの。

太い糸を作るなら、長綿を使用しなくても作れる。
普通長い繊維は、細い糸を作りたいときに使用されるのだ。

しかし、その長い繊維をそれほど細くもない糸を作るのに使用してある。
そこがこの糸の売りである。

よくタオルに、「スーピマコットンを使用しています」とか
「超長綿を使用しています」などと謳っている。
タオルに使用する糸は、Tシャツよりも太い。
かなり太い糸だから、水分をよく吸収する。
その太い糸に、ごく長い繊維の綿を使用しているのだから、
それは高級だし、肌触りもとても滑らかだ。
贅沢なタオルだ。

今回、長綿で作った糸を使用した理由は二つ。

一つは、しなやかで柔らかいこと。
特に今回使った糸は甘く紡績してあるので、より柔らかく、
長綿の特徴を存分に発揮している。
ところが、繊維長が長いため、毛羽も立ちにくい。
ということは、糸の表面がぼんやりせず、シャキッとした感じになる。
見た目も肌触りもそうだ。
感触は少しだけリネンに似ている。
しかし、この糸の方がリネンより数倍柔らかい。
そして、吸水性も抜群だ。

もう一つは丈夫なこと。
繊維が長いと、繊維と繊維がよく絡まり、
切れにくい、解けにくい糸になる。
綿のストールは、何度もじゃぶじゃぶ洗って使っていただきたい。
厳密に言えば、綿は洗うたびに繊維がほどけて、
糸が痩せていく。
しかし、このストールには長綿を使ってあるので、
繊維が解けにくい。
だから、長い間使用しても、生地がへこたれないのだ。

サンプルを巻いてみる。
軽くて柔らかい。
そして、すこししゃっきりしている。
それが、これからの季節にぴったりだと思う。

色は少し派手めのピンク、
落ち着いたベージュ、
白と黒のモノトーン、
そしてインディゴに似たネイビー。

シンプルでカジュアルな装いに、きっとよく似合ってくれるだろう。

B&W



2013春夏 ブロックチェック・ガーゼストール Ⅰ



2013年3月19日(火)

昨年の夏、今年の春夏用にと、
コットンの綾織のガーゼストールを開発した。

『コットン綾ガーゼ』

私としては、かなり、いや相当想いを入れて作った。
当時のブログを読み返してみると、
その時の期待やあせり、失望、
そしていよいよ出来上がった時の、何ともいえない幸福感を
まざまざと思い出す。

そのストールは、その後いろいろなバイヤーの方に見て頂いた。
その結果、いよいよ商品化されることになった。
とても、とても、とても嬉しい。

その第一弾が、来月、お得意先のスタイルストアさんで、
販売開始される。

【ブロックチェック・ガーゼストール】

当初の企画とは、少し変更を加えた。
変更点は、織り方。
綾織を平織に変えた。
平織に変えることで、肌触りがさらりとする。

そして、たて糸だけではなく、よこ糸も房にして、
糸がちらちら見えるようにした。

綾ガーゼと同じところは、糸の種類。
長綿という、繊維の長い上質な原料を使った糸。
この糸は、毛羽もたちにくく、丈夫。
普通のコットンより、きりりとした表情と感触が魅力だ。
この糸は、絶対に使いたかった。

サイズは、これも変更なく、
丁度タオルを巻いたぐらいのボリュームになるようにした。
タオル代わりに使えるストール。
これからの季節、そして初夏から真夏、秋、初冬にかけて、大活躍する
コットン100%の薄いガーゼのストール。

ほんの一部、写真をお見せいたします。

 ピンク

ベージュ

 ブラック&ホワイト

ネイビー

全容は、4月10日のスタイルストアさんのサイトにて。
どうぞ、お楽しみに♪

スタイルストア




2013春夏 コットン綾ガーゼ #5



2012年9月10日(月)

夕べ、夜中の1時ごろまで、パソコンの作業をしたためだけではないだろう。
次の朝早く、私は重い頭と体、そして気持ちを無理やり起こした。

今日はまず、あの綺麗なコットンの綾ストールの顔を見なければならない。
そして、あさってからの展示会に掛けるかどうか、決定しなければならない。
こういうとき、迷ってはならない。
一瞥して「行ける!」と思ったものだけ、持って行ける。
それには、昨日の気持ちを引きずっていてはいけない。

今朝もいい天気だ。
朝日が気持ちいい。
深呼吸をする。
気持ちを落ち着かせる。
さぁ、あのストールを見てみよう。

やはり綺麗なストールだ。
糸質がいいため、色も優しく乗っている。
とても上品。
もちろん、肌触りも優しい。
よし、行ける。
これを持っていこう。

そうと決まれば、忙しい。
写真を撮る。
それを加工して、プライスリストに入れる。
そうすれば、プライスリストが完成する。
印刷は、何部にしよう。

いや、待て待て。
まだもう一品番ある。
実はリネンが届いていない。
染屋さんの作業が今日になる。
今日仕上がり次第、私がどこかに取りに行くことになっている。
その時間と場所も決めなければならない。
すべてぎりぎり、綱渡り。
まぁ、それは想定内。

9時を待って、武藤さんに電話をする。
昨日の気持ちは切り替えて。
明るく、冷静に。

「ハロ~。」
今日は自分のために言ってみる。
「・・・いやぁ、こっちはハローなんて気分じゃないですよ。」
「???」
「ちょっと、今あんまり話してられなくてね。
今ね、機屋さんにいてね、綾を無理やり差し込んでるんですよ。」
「???」
「準備に夕べからあっちこっち駆けずり回ってて。」
「え? 武藤さん、もしかして、ガーゼマフラー織り直してるんですか?」
「ええ。今何とか目途が立ってね。ちょっと忙しいんすよ。」
「え? え? それっていつ頃・・・」
「そんなこと、わかりませんよ。今やるだけですよ。」
なんだか、すごく焦っている。
こういう時、何を言ってもだめだ。

「あと一時間ぐらいしたら、電話しますから。」
そう言って、武藤さんは電話を切った。

なんだ? どういうことだ?
新しくガーゼマフラーを織りなおしてるってこと?
そう言ってた。確かに。
でも、間に合うのか?
いや、間に合うからやってもらっているのだろう。
いつ出来上がる?
初日の朝? 中日? 最終日?

昨日までの気持ちをどうしたらいいのか、分からなくなってきた。
どうしたらいいのだろう。
私は何をしたらいいのだろう。

とにかく待つしかない。
あと一時間、待てば何かが分かるだろう。
私は落ち着かない気持ちで、電話を待った。

しかし、電話は掛かってこない。
痺れを切らして、こちらから掛けた。
「あのう、今日のスケジュールなんですが。。。」
「そんなこと、まだわかんねぇよ。」
「あのう、ガーゼの方じゃなくて、リネンの染めてもらっている方は。。。」
「あ? あぁ、そっちの方ね。ははは。すっかり忘れてた。
今、電話して聞いてみますね。」

今度は武藤さんからの電話。
「もうね、リネンは染め上がりましたよ。
これ、一色ですよね。」
「いいえ、三色です。」
「え? やっぱり? あと二色か。ちょ、ちょっと、また後で電話します。」
ふぅー。落ち着いて落ち着いて。
深呼吸してみる。
想定内。想定内。
もう、待つしかない。

次に電話が掛かってきたのは、午後の4時近く。
「今ね、リネンが上がったので、車に乗りました。
あと一時間半後に、新宿に来られますか?」
「はい、大丈夫です。行きます。行きます。」
とりあえず、リネンは「当確」のサインが出た。

武藤さんの車の中で、まるでイケナイモノの受け渡しのように、
リネンのサンプルを受け取る。
三枚。まだ濡れている。
大丈夫。うちで物干しざおに掛ければ、ものの5分で乾く。
ああ、よかった。
リネンは間に合った。

「それで、あのう、綾ガーゼはどうですか。」
「あ、あのね。明日ね、できますよ。」
「え、もう?」
「いやぁ、焦った焦った。
もうね、機屋さんに駆け込んで、無理やり押し込んでね。
いやね、機屋さんがやるって言ってくれたもんだから、助かったよ。」
うわぁ。申し訳ない。
「だからね。明日の夕方糊抜きまでできるでしょ。そしたら、夜渡せるよ。」
結局、明日の夜、武藤さんで作業する女の子に託して、
私の最寄駅で受け取ることになった。

武藤さんの車から降りる時、途中で買ったビールを手渡した。
彼の顔に、やっと笑顔が戻った。
「機屋さんも吞むの好きだからね。これから行って渡してきますよ。」

ビッグサイトに行く日の朝、
夕べのうちに乾かしておいた綾ガーゼのマフラーを
首に巻いてみた。
優しい温かさが伝わる。
これだ。これを待っていたんだ。
ようやく会うことができた。
じんわりと、うれしさが込み上げてきた。





2013春夏 コットン綾ガーゼ #1

2013春夏 コットン綾ガーゼ #2

2013春夏 コットン綾ガーゼ #3

2013春夏 コットン綾ガーゼ #4


2013春夏 コットン綾ガーゼ #4



2012年9月9日(日)


とりあえず、なんとか心を落ち着かせようとした。
この手元にある綺麗なサンプル。
今回はこの商品に縁があるのかもしれない。
このサンプルは、私がイメージしたものと違うけれど、
商品として完成度が高ければ、お客様にお見せできる。
どうだろう。
商品として成り立っているだろうか。

だめだ。
ガーゼマフラーのイメージがどこにも去ってくれない。
あれとつい比べてしまう。
冷静に、冷静に。
落ち着いて、元気を出して。
頑張って。

だめだ。

仕方がない。
今晩寝て、明日の朝、新鮮な気持ちで見てみよう。
その時決めよう。
展示会に掛けるか掛けないか、

午後、やっと武藤さんに電話がつながった。
「サンプル、今朝届きました。有難うございました。」
「あ、そう。よかった。いやぁ、間に合ってよかったよ。」
「あのう。。。」
心を落ち着かせる。
「綾のブロックチェックのマフラーなんですけど、あれガーゼの打ち込みですか?」
「え? ガーゼ? 違うよ。ほら、前にやった普通の綾。
あれよりちょっと打ち込み変えてあるけど。」
「・・・・・・・」
「え? ガーゼだっけ?」
「・・・あのう。タオルのように使える、ガーゼのようなマフラーをお願いしたはずなんですが・・・。」
「・・・・・・・」
今度は、武藤さんが無言になった。


あの日、商談室のテーブルにあった、まだ糊が付いている状態の生地。
あれがこれだったのだ。
もしあの時気が付いていれば、まだ何か手の打ちようがあったかもしれない。
私の経験不足で、全く気が付かなかった。
糊を落とせばどんな表情になるか、わかるはずだ。
今その写真を見ると、あぁ、ここで充分気づけるはずだ、と思う。
色の良さと光沢に魅せられて、打ち込みのことまで気が回らなかった。
あれは、ガーゼではない。

一昨日の会話で。
「これにも刺繍入れといたよ。」
「え? そうなんですか? 入りました?」
「うん、これならギリギリ入るって。いい感じだよ。」
「わぁ。楽しみです。そうですね。刺繍入るといいでしょうねぇ。」

ガーゼに刺繍は入れられない。
生地が粗すぎて、ちゃんとした形にならない。
そこに気が回らなかった。
ここでも、わたしは見逃した。

どういうふうに言葉を結んだのか、覚えていない。
電話が切れたあと、私はiPhoneを握ったまま動かなかった。
仕方がない。
もうどうしようもない。

発注書が明確ではなかった。
きちんと指示を出していなかった。
私の責任だ。
お互いに違うものをイメージして、
途中で確認せずにここまで進んできてしまった。
分かりやすい発注書にしなかった私が悪い。
途中で確認しなかった私が悪い。

仕方がない。

こんなこと、いままでも何度もあった。
自分の責任で取り返しのつかない失敗を幾度もした。
これからだって、何度もあるだろう。
もっと大変な失敗だってあるだろう。
こういうとき、すぐに気持ちを切り替えて
次に起こすべきアクションに移らなければならない。

今、私は何をするべきか。

今度のシーズンは、ガーゼマフラーは諦める。
定番にする商品なのだから、もっと時間がかかってしかるべき。
じっくりと開発をしよう。
きっと、そういうことなのだ。
そいういう意味なのだ。

残っている作業をサクサクと行おう。
他のストールのサイズを測り、下げ札を作り、
写真を撮って、プライスリストの作業を進めよう。
名刺やカードの印刷をしよう。
あさって会場に持っていく備品のチェックをしよう。

それらの作業の性能とスピードを上げるために、
私には今やるべきことがある。
私はそれから3時間、身体を丸めて、ぐっすりと眠った。

事態は次の朝、急展開することになる。

(続く)










2013春夏 コットン綾ガーゼ #3



2012年9月9日(日)

あー、なんてこと。
もうもうもう。
はぁ~~~。

今思い出しても、あの時の気持ちがまざまざと甦ってくる。
それは、ちょうど一週間前の、先週の日曜日。
展示会が水曜日から始まるとういのに、まだ8割のサンプルが出来あがらずに、
今か今かとその到着を待っていた朝。
私は勇んで宅配便の「ピンポーン」に階段を駆け下りた。
待ちに待ったサンプルの箱。
ギリギリまで加工に時間のかかったサンプルたちが、
そこに詰められているはず。

急いで箱を開けた。
あれ。あれ。あれはどこだ。
あれ? あれ? あれがない?
ない。ない。ない!

今回、一番楽しみに待っていたもの。
コットン綾ガーゼのストール。
何度見ても、ない。
どこにも、ない。

そして、なぜか、とてもよく似て全く非なるものが、
ある。

これ? これなのか?

一昨日の武藤さんとの電話の会話を思い出した。
「ハロ~。」
調子の良い時の武藤さん。
「どうですか? 仕上がりました?」
「うん、あがったよ。」
「どうですか? どんなふうですか?」
「うーん。なーんか、ねぇ。
ちょっと表情がそっけないかなぁ。
綿が上質だから、優等生に見えて、なーんか面白くねぇかなぁって。」
「あぁ、そうなんですか。原綿が違うと、やっぱり表情も全く違ってくるんですね。」

私がイメージしているのは、クシュクシュっと皺がたくさん寄っている表情だ。
綿は繊維が短いので、洗うと縮む。
ガーゼ調に甘く織ってあると、なおさら縮む。
それがシワになって、面白い。
そして、ものすごく柔らかい。

しかし、おそらく今回の原綿は繊維が長くしなやかなので、そんなに縮まないのだろう。
「最終加工は、きれいにプレスしてあるんですか?」
「うん、八王子に出して、きれいになってきてるよ。」
「じゃぁ、すみませんが、もう一度水洗いして、ぐちゃぐちゃっと揉んでみてください。」
「あぁ、そうだな。そうすりゃ、ちょっとは皺が出て雰囲気出るかも。」

今手の中に在るこのストールを見て、
あの時武藤さんが言っていた意味が、よく分かった。

これは、私がイメージしていたマフラーではない。
私は、ウォーキングやジョギングに巻いていけるマフラーが欲しかった。
汗が出れば、これで拭って、家でじゃぶじゃぶ洗えるマフラーが欲しかった。
今目の前にあるストールは、そんなふうに使う雰囲気はかけらもない。
もちろん、コットン100%なので、汗も拭けるし、ジョギングにも巻いて行ける。
でも、そんな風に使いたくなるマフラーには見えない。
本当に優等生の、美しく上質なストールだ。

でも、原綿が上質だと、こうも違ってくるのか。
どうしても合点が行かない。
縞見ルーペで見てみる。
きれいに糸目がそろっている。
糸に遊びがない。
本当に、優等生の顔をしている。

膝の力が抜ける。
顔がこわばる。
涙が出そうになる。
あのガーゼマフラーには、会えない。
あんなに会いたかったのに、会えない。
春の終わりに注文して、
待って待って待ったあのマフラーに、会えないのだ。
もう言葉は出ない。

武藤さんに電話を掛ける。
運転中で、出ない。
またかける。
まだ運転中。
今日は日曜日。天気も良い。
武藤さんは野球の日かもしれない。

どうしても諦められない。
でも、もう諦めなければならない。
展示会は三日後に初日を迎える。
あと二日あっても、どうこうできる問題ではない。

諦めるしかない。
そう。
諦めるしかない。

2013春夏 コットン綾ガーゼ #2



2012年8月28日(火)

今回のサンプルづくりで、
ある意味で、出来上がりを一番楽しみにしているのは、
コットンだけで作るあや織りのガーゼマフラーだ。
ひそかに、定番商品に育てたいと思っている。

おしゃれのため、というより、
手軽に使えて、「巻くのが気持ちいいから巻く」という商品にしたい。
極上の柔らかさで、汗もよく吸い取り、手入れも簡単。
それで、サイズも小さめのコットン100%のマフラーにした。

コットンの糸は、武藤さんに頼んで、できるだけ柔らかい糸を選んでもらった。
なんでも、極上のYシャツ地が作れるぐらい上質な原綿から作った糸だそうだ。
それを聞いただけで、アドレナリンが上がる。

染色に関しては、生地の柔らかさをなるべく損なわないために、
織ってから染めるのではなく、糸の段階で染めた。


先週の土曜日、武藤さんの打ち合わせテーブルの上で見た、
まだ糊抜きしていない、
織り上がったばかりの生地。
触ると、パリパリしている。
能衣装や、裃の生地のようだ。
 折り鶴なんか折れてしまいそうに、固い。
まだ、たて糸がつながったまま。
一枚のなが~い生地である。

これから八王子に送り、糊抜きと乾燥をしてもらう。
その後、またここに戻って、“最終工程ガールズ”
一枚一枚切り分けてもらう。

その時、発注書を手元に持っていなかったので、
希望した色と合っているかどうか、確認できなかった。
でも、一目見て、とてもきれいだと思った。
これが、糊抜きするとまた表情が変わる。

さぁ、どんな顔になって上がってくるのか。
私の手元に届くのが、一番早くて明日だ。
ちょっと、いや、とてもドキドキしている。
はやくこいこい、綾ガーゼ。


「2012春夏 コットン綾ガーゼ #1」

「2013春夏 コットン綾ガーゼ #3」






2013春夏 コットン綾ガーゼ #1



201265日(火)


photo by Jofre Ferrer

「老舗」というものに憧れがある。
100年以上続く店や家業。
伝統という背骨をしっかり保ちつつ、
時代の流れの中で手足を自由に泳がせ、なおも成長する。
老舗、シニセ、shi ni se。

老舗には必ず代表的な定番商品がある。
創業以来販売し続け、そのコンセプトを代々伝えながらも
その時々で、形や仕様を変え、
なお伝統の深みを感じさせる。
多くの人に時代を超えて愛される商品。

私も harukii にそんな商品が欲しいと思う。
たった一つだけでいいから、定番を生み、「老舗」を目指す。
ひそかな野望である。


今サンプル作製している商品の中に、
実は二つ、定番候補がある。 
最初からヒット商品が生まれるなんて、そんな甘いことは全く考えていない。
ただこれは、長い時間をかけて改良し、定番に成長させたい、と思える商品である。
その一つが、コットンだけで作る、あや織りのガーゼマフラー。

例えば、風邪をひいて悪寒がするとき。
いくら部屋を暖めても、身体はぞくぞくする。
そんな時、柔らかい布で首を暖めると、ホッとする。
薄いタオルぐらいのボリュームがあって、でもそれより柔らかく
首の前でひと結びして、端は胸元に入れてしまう。
私は決まって肩甲骨の間が寒くなるので、結んだ端を後ろに回し、背中を暖める。
柔らかいから、そのまま寝てもゴロゴロしない。
暖かくなって、やっと眠れる。

例えば、ウォーキングに出るとき。
タオルの代わりにこのマフラーをする。
コットンだから、汗が出たらそれで拭く。
暑くなったら、はずして広げて、腰に巻く。
薄いからすぐ乾く。
ウォーキングの途中にちょっと休憩。
汗も引いたし、すこし肌寒い。
からりと乾いたマフラーをする。暖かい。

家に帰ったら、普通にじゃぶじゃぶ洗う。
干せばすぐ乾く。
何度も洗っても柔らかい。

そんなマフラーがあったらいいと思った。
思ったから、作る。
たて糸もよこ糸もコットン100%。
工場さんに頼んで、柔らかい綿糸を使ってもらう。
タオルの糸よりもずっと細く。
染めも、糸の段階で染めてしまう。
織ってから染めるより柔らかいから。
それに、そのほうが色の定着もいい。

あや織りのガーゼにして、柔らかさと薄さを出そう。。
長さは、男性が巻いてちょうどいいくらいがいい。
幅はぎゅっと握って、タオルと同じくらいのボリュームになるよう。
色は、たて糸に二色、よこ糸に二色。
春らしい色、それも男性も女性も巻ける色にしよう。

サンプルが出来てくるのは、しばらく先。
仕上がりが待ち遠しい。
思い通りの商品に仕上がってくるだろうか。
いや、違っていても構わない。
何度でもやり直せばいい。
「老舗」を目指す覚悟があるなら。