2012年9月10日(月)
夕べ、夜中の1時ごろまで、パソコンの作業をしたためだけではないだろう。
次の朝早く、私は重い頭と体、そして気持ちを無理やり起こした。
今日はまず、あの綺麗なコットンの綾ストールの顔を見なければならない。
そして、あさってからの展示会に掛けるかどうか、決定しなければならない。
こういうとき、迷ってはならない。
一瞥して「行ける!」と思ったものだけ、持って行ける。
それには、昨日の気持ちを引きずっていてはいけない。
今朝もいい天気だ。
朝日が気持ちいい。
深呼吸をする。
気持ちを落ち着かせる。
さぁ、あのストールを見てみよう。
やはり綺麗なストールだ。
糸質がいいため、色も優しく乗っている。
とても上品。
もちろん、肌触りも優しい。
よし、行ける。
これを持っていこう。
そうと決まれば、忙しい。
写真を撮る。
それを加工して、プライスリストに入れる。
そうすれば、プライスリストが完成する。
印刷は、何部にしよう。
いや、待て待て。
まだもう一品番ある。
実はリネンが届いていない。
染屋さんの作業が今日になる。
今日仕上がり次第、私がどこかに取りに行くことになっている。
その時間と場所も決めなければならない。
すべてぎりぎり、綱渡り。
まぁ、それは想定内。
9時を待って、武藤さんに電話をする。
昨日の気持ちは切り替えて。
明るく、冷静に。
「ハロ~。」
今日は自分のために言ってみる。
「・・・いやぁ、こっちはハローなんて気分じゃないですよ。」
「???」
「ちょっと、今あんまり話してられなくてね。
今ね、機屋さんにいてね、綾を無理やり差し込んでるんですよ。」
「???」
「準備に夕べからあっちこっち駆けずり回ってて。」
「え? 武藤さん、もしかして、ガーゼマフラー織り直してるんですか?」
「ええ。今何とか目途が立ってね。ちょっと忙しいんすよ。」
「え? え? それっていつ頃・・・」
「そんなこと、わかりませんよ。今やるだけですよ。」
なんだか、すごく焦っている。
こういう時、何を言ってもだめだ。
「あと一時間ぐらいしたら、電話しますから。」
そう言って、武藤さんは電話を切った。
なんだ? どういうことだ?
新しくガーゼマフラーを織りなおしてるってこと?
そう言ってた。確かに。
でも、間に合うのか?
いや、間に合うからやってもらっているのだろう。
いつ出来上がる?
初日の朝? 中日? 最終日?
昨日までの気持ちをどうしたらいいのか、分からなくなってきた。
どうしたらいいのだろう。
私は何をしたらいいのだろう。
とにかく待つしかない。
あと一時間、待てば何かが分かるだろう。
私は落ち着かない気持ちで、電話を待った。
しかし、電話は掛かってこない。
痺れを切らして、こちらから掛けた。
「あのう、今日のスケジュールなんですが。。。」
「そんなこと、まだわかんねぇよ。」
「あのう、ガーゼの方じゃなくて、リネンの染めてもらっている方は。。。」
「あ? あぁ、そっちの方ね。ははは。すっかり忘れてた。
今、電話して聞いてみますね。」
今度は武藤さんからの電話。
「もうね、リネンは染め上がりましたよ。
これ、一色ですよね。」
「いいえ、三色です。」
「え? やっぱり? あと二色か。ちょ、ちょっと、また後で電話します。」
ふぅー。落ち着いて落ち着いて。
深呼吸してみる。
想定内。想定内。
もう、待つしかない。
次に電話が掛かってきたのは、午後の4時近く。
「今ね、リネンが上がったので、車に乗りました。
あと一時間半後に、新宿に来られますか?」
「はい、大丈夫です。行きます。行きます。」
とりあえず、リネンは「当確」のサインが出た。
武藤さんの車の中で、まるでイケナイモノの受け渡しのように、
リネンのサンプルを受け取る。
三枚。まだ濡れている。
大丈夫。うちで物干しざおに掛ければ、ものの5分で乾く。
ああ、よかった。
リネンは間に合った。
「それで、あのう、綾ガーゼはどうですか。」
「あ、あのね。明日ね、できますよ。」
「え、もう?」
「いやぁ、焦った焦った。
もうね、機屋さんに駆け込んで、無理やり押し込んでね。
いやね、機屋さんがやるって言ってくれたもんだから、助かったよ。」
うわぁ。申し訳ない。
「だからね。明日の夕方糊抜きまでできるでしょ。そしたら、夜渡せるよ。」
結局、明日の夜、武藤さんで作業する女の子に託して、
私の最寄駅で受け取ることになった。
武藤さんの車から降りる時、途中で買ったビールを手渡した。
彼の顔に、やっと笑顔が戻った。
「機屋さんも吞むの好きだからね。これから行って渡してきますよ。」
ビッグサイトに行く日の朝、
夕べのうちに乾かしておいた綾ガーゼのマフラーを
首に巻いてみた。
優しい温かさが伝わる。
これだ。これを待っていたんだ。
ようやく会うことができた。
じんわりと、うれしさが込み上げてきた。
「2013春夏 コットン綾ガーゼ #1」
「2013春夏 コットン綾ガーゼ #2」
「2013春夏 コットン綾ガーゼ #3」
「2013春夏 コットン綾ガーゼ #4」
夕べ、夜中の1時ごろまで、パソコンの作業をしたためだけではないだろう。
次の朝早く、私は重い頭と体、そして気持ちを無理やり起こした。
今日はまず、あの綺麗なコットンの綾ストールの顔を見なければならない。
そして、あさってからの展示会に掛けるかどうか、決定しなければならない。
こういうとき、迷ってはならない。
一瞥して「行ける!」と思ったものだけ、持って行ける。
それには、昨日の気持ちを引きずっていてはいけない。
今朝もいい天気だ。
朝日が気持ちいい。
深呼吸をする。
気持ちを落ち着かせる。
さぁ、あのストールを見てみよう。
やはり綺麗なストールだ。
糸質がいいため、色も優しく乗っている。
とても上品。
もちろん、肌触りも優しい。
よし、行ける。
これを持っていこう。
そうと決まれば、忙しい。
写真を撮る。
それを加工して、プライスリストに入れる。
そうすれば、プライスリストが完成する。
印刷は、何部にしよう。
いや、待て待て。
まだもう一品番ある。
実はリネンが届いていない。
染屋さんの作業が今日になる。
今日仕上がり次第、私がどこかに取りに行くことになっている。
その時間と場所も決めなければならない。
すべてぎりぎり、綱渡り。
まぁ、それは想定内。
9時を待って、武藤さんに電話をする。
昨日の気持ちは切り替えて。
明るく、冷静に。
「ハロ~。」
今日は自分のために言ってみる。
「・・・いやぁ、こっちはハローなんて気分じゃないですよ。」
「???」
「ちょっと、今あんまり話してられなくてね。
今ね、機屋さんにいてね、綾を無理やり差し込んでるんですよ。」
「???」
「準備に夕べからあっちこっち駆けずり回ってて。」
「え? 武藤さん、もしかして、ガーゼマフラー織り直してるんですか?」
「ええ。今何とか目途が立ってね。ちょっと忙しいんすよ。」
「え? え? それっていつ頃・・・」
「そんなこと、わかりませんよ。今やるだけですよ。」
なんだか、すごく焦っている。
こういう時、何を言ってもだめだ。
「あと一時間ぐらいしたら、電話しますから。」
そう言って、武藤さんは電話を切った。
なんだ? どういうことだ?
新しくガーゼマフラーを織りなおしてるってこと?
そう言ってた。確かに。
でも、間に合うのか?
いや、間に合うからやってもらっているのだろう。
いつ出来上がる?
初日の朝? 中日? 最終日?
昨日までの気持ちをどうしたらいいのか、分からなくなってきた。
どうしたらいいのだろう。
私は何をしたらいいのだろう。
とにかく待つしかない。
あと一時間、待てば何かが分かるだろう。
私は落ち着かない気持ちで、電話を待った。
しかし、電話は掛かってこない。
痺れを切らして、こちらから掛けた。
「あのう、今日のスケジュールなんですが。。。」
「そんなこと、まだわかんねぇよ。」
「あのう、ガーゼの方じゃなくて、リネンの染めてもらっている方は。。。」
「あ? あぁ、そっちの方ね。ははは。すっかり忘れてた。
今、電話して聞いてみますね。」
今度は武藤さんからの電話。
「もうね、リネンは染め上がりましたよ。
これ、一色ですよね。」
「いいえ、三色です。」
「え? やっぱり? あと二色か。ちょ、ちょっと、また後で電話します。」
ふぅー。落ち着いて落ち着いて。
深呼吸してみる。
想定内。想定内。
もう、待つしかない。
次に電話が掛かってきたのは、午後の4時近く。
「今ね、リネンが上がったので、車に乗りました。
あと一時間半後に、新宿に来られますか?」
「はい、大丈夫です。行きます。行きます。」
とりあえず、リネンは「当確」のサインが出た。
武藤さんの車の中で、まるでイケナイモノの受け渡しのように、
リネンのサンプルを受け取る。
三枚。まだ濡れている。
大丈夫。うちで物干しざおに掛ければ、ものの5分で乾く。
ああ、よかった。
リネンは間に合った。
「それで、あのう、綾ガーゼはどうですか。」
「あ、あのね。明日ね、できますよ。」
「え、もう?」
「いやぁ、焦った焦った。
もうね、機屋さんに駆け込んで、無理やり押し込んでね。
いやね、機屋さんがやるって言ってくれたもんだから、助かったよ。」
うわぁ。申し訳ない。
「だからね。明日の夕方糊抜きまでできるでしょ。そしたら、夜渡せるよ。」
結局、明日の夜、武藤さんで作業する女の子に託して、
私の最寄駅で受け取ることになった。
武藤さんの車から降りる時、途中で買ったビールを手渡した。
彼の顔に、やっと笑顔が戻った。
「機屋さんも吞むの好きだからね。これから行って渡してきますよ。」
ビッグサイトに行く日の朝、
夕べのうちに乾かしておいた綾ガーゼのマフラーを
首に巻いてみた。
優しい温かさが伝わる。
これだ。これを待っていたんだ。
ようやく会うことができた。
じんわりと、うれしさが込み上げてきた。
「2013春夏 コットン綾ガーゼ #1」
「2013春夏 コットン綾ガーゼ #2」
「2013春夏 コットン綾ガーゼ #3」
「2013春夏 コットン綾ガーゼ #4」
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