2012年9月18日(火)
義兄がいる。
たしか、三つ年上。
奇集癖がある。
というより、物を捨てない癖というべきか。
姉の家には、物が溢れるようにある。
私から見ると、要らないようなものばかりである。
姉もそれにはうんざりしている。
が、本人にはどれも大切なようである。
姉の家に行く毎に、何かが増えている。
そして、何も減っていない。
3年前だったか、国を越えての引越しをした時が最大のチャンスだったが、
ほぼすべて持って移動したように見える。
義兄が留守の時、姉はこっそり何かを処分しようと試みる。
だが、いざ捨てようとすると、何から捨てていいのか分からない。
どれかは、やはりすごく大切だろう、と思うからである。
困ったことに、義兄の職業は芸術家である。
芸術家にとって大切な物の価値は、常人には分かり辛い。
というか、ほとんど分からない。
姉にとっては、おそらくすべてが不要のものだろうが、
それを手に入れた経緯や、喜びなどをそばで見ているだろうから、
やはり、黙って捨てるには勇気が要る。
これ、捨てたら怒るだろうな。
そして、出したり入れたりする。
多分そんなことを一日中やって、
せっかくの兄の留守を台無しにしているのだろうと思う。
で、そんな一日が始まろうとするある日、姉は私にメールを送ってきた。
「ここにあるジャンクをきれいさっぱり捨ててしまおうと数日前から企んでいたが、、、」
写真が添付されている。
私の四日前のブログを読んだのだろう。
捨てようと思っていたジャンクを礼賛する人物が、
身内にもう一人いた、というわけである。
身内にもう一人いた、というわけである。
「水と油のような二人に共通点あったとは、桃の木だ」、とメールは続く。
水と油というのは、おそらく義兄と私。
水と油というのは言い過ぎだ。
ただ、義兄の話を聞いていると訳が分からなくなるから、
難しい話はしないだけのことである。
いや、どんな簡単な話もすぐに難しくなるので、
なるべく話をしない、と言った方が正しい。
なるべく話をしない、と言った方が正しい。
「桃の木」というのは、多分「驚き、桃の木、山椒の木」の真ん中だけを取ったものだろう。
どうして真ん中だけなのか、全く分からない。
この姉のメールも、たいがい不可解である。
いつもかなりの推理力と読解力を要する。
これで日本語の講師をしている。
かなりの強行突破派である。
かなりの強行突破派である。
で、ジャンクだ。
さぁ、こまった。
なかなかいい品ぞろえだ。
姉の家は、陽がさんさんと入る。
外には、山が見える。
とてもいい窓だ。
こんな大きな窓があったら、私も同じように拾った石をズラーッと並べるだろう。
たしかに、石たちはあの家のジャンクの一隅を飾っている。
この石たちがなかったら、窓辺はすっきりするし、
第一、掃除が楽だ。
他のガラクタも、だいたいこのテイストだ。
それが無造作に放置してあって、見た目が悲惨な状態になる。
でも、一つ一つクローズアップすると、それぞれがなんとも味があるのだ。
きっと、石以外のものも、彼にとっては愛着のある大切な物なのだろう。
いやいや、いけない、いけない。
そんなことでは、家の中にスペースがあっても足りなくなる。
姪を酸欠にすることはできない。
よし、わかった。
姉よ。
こっそりその石、まとめて段ボールに放り込みなさい。
捨てる必要はありません。
すべて私が引き取ってあげよう。
そのかわり、石だけだからね。
他のは、すべて私にとってもジャンクだから。
石だけだからね。
義兄にかかると、あんなに上品で美しかった猫が、
飢餓状態のどら猫みたいな風貌になる。
これが、義兄の愛の表現。
この絵の猫はどこかユーモラスで、ひょうひょうとしている。
実際の猫にはそんな風な感じは見受けられなかった。
やはり、私には分からない。
きっと、石に対しても、私と全く違ったアプローチをしているのだろう。
それを「共通点」と言い切る姉に対して、私は強く抗議したい。
‘石好き’にもいろいろあるのです。一緒にしないで下さい。
しかし、なかなかいい石揃えである。
本当に引き取ってもいいと、考え始めている。
ただ、石たちにとっては、この広い窓辺にいるほうが
よっぽど幸せだろうね。
「石」
飢餓状態のどら猫みたいな風貌になる。
これが、義兄の愛の表現。
この絵の猫はどこかユーモラスで、ひょうひょうとしている。
実際の猫にはそんな風な感じは見受けられなかった。
やはり、私には分からない。
きっと、石に対しても、私と全く違ったアプローチをしているのだろう。
それを「共通点」と言い切る姉に対して、私は強く抗議したい。
‘石好き’にもいろいろあるのです。一緒にしないで下さい。
しかし、なかなかいい石揃えである。
本当に引き取ってもいいと、考え始めている。
ただ、石たちにとっては、この広い窓辺にいるほうが
よっぽど幸せだろうね。
「石」
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