クスノキのちから



2015年2月23日(月)


用事があって、表参道まで行った。
今日はぐっと気温が上がったので、
コートは軽いものを着て行った。
それも、前のボタンを全部開けて歩けるほどの暖かさ。
歩くスピードもゆっくり。
周りを見回す余裕もできる。

ふと、目についた注連縄。
大通りを少し入ったところに、この注連縄はあった。
こんなところに、注連縄。
南青山の道端に注連縄。
なぜ?

立札がある。
「楠 切り株からの復活」
切り株から生えた芽が、大きくなったと書いてある。

本当だ。
たくさんの枝が切り株から出ている。

切り株は、かなり古く、大きい。

上を見上げてみる。
鬱蒼とした森の中にいるような気になる。

改めて、後ろに下がって、樹全体を見てみる。

切り株から生えた枝は成長して、
すでにビルの二階に達している。

もう一度立札を見る。
簡単に経緯を説明すると、
この土地を買った会社が、
すでに切り倒されていた楠をなんとか再生したいと願い、
社屋を建てる際に、樹の根を痛めないよう設計したところ、
地鎮祭の日に、新しい芽が切り株から出てきた。

一年間で一階を越える高さになった。
熊野本宮大社のお祓いを受け、神木となった。

すごい生命力である。
1995年に芽が出始めたということだから、
今年で丁度20年だ。

もう一度切り株を見る。
 大きくて、古い。
朽ちている、と言ってもおかしくない。
どこにそんな生命力を蓄えているのだろう。
もう一度、上を見上げてみる。
葉は青々と茂っている。
人通りがなかったら、ずっとここで上を見上げていたい。

楠は、常緑樹なのだ。
冬も夏も、緑の葉をいっぱいに身に付けている。
思いがけず、南青山の真ん中で森林浴。
パワースポットは、遠くに出かけなくても、
ここにある。

何度も通っているこの道で、
なぜいままで気が付かなかったのだろう。
考え事をしたり、足元だけを見て、
足早に通り過ぎていたのだろうか。

そう言えば、楠をじっと見るのは、今週二度目だ。
一度目は金沢で。
鈴木大拙館』の庭に植えられた、楠の大木。
それを、谷口吉生氏設計の『水鏡の庭』から見る。
すばらしい巨木。
すばらしい眺めだ。
ここも、ずっと佇んでいたい場所。

自然の岩や樹木を神として祀る。
そういう風習、考え方が、日本にはある。
私はそれを誇りに思う。

この楠の切り株を見て、再生したいと思ったこの会社の方々。
素晴らしいと思う。
今でも毎年お祓いをしていらっしゃるそう。

この楠のご神木は、この住所で見られます。

東京都港区南青山3-13-16
事業構想大学院大学の敷地内です。)

鈴木大拙館のホームページはこちら 〉〉〉






続・わが社の代表たち



2015年2月16日(月)

百貨店の担当のバイヤーさんから連絡が入り、
PR用の写真撮影のため、商品が一点選ばれたという。

ぼかし染ラミー薄羽ストールのブルーです。」

どうやら、合格だったらしい。

「つきましては、必要書類にご記入頂きたく、、、」

いよいよお取引が始まる。
そして、四月のイベントに参加することが確定した。

うちの子たちは、頑張ったのだ。
よくやった。

サンプルたちが戻ってきた。
箱を開けると、送りだしたとき以上に、
まるで購入した商品であるかのように
美しく丁寧に包まれていた。

そして、手書きのメッセージカードが添えられていた。
本当に、私がプレゼントを受け取った気持ちになった。

数日前、日本の百貨店がどれだけ厳しく接客をしているか、
売場を管理しているかをテレビで映していた。

取材されていた百貨店は、由緒ある有名店。
お客様の見えないところで、
すごい努力をしている。
おもてなしの気持ちも、熱い。
百貨店てすごいなと、改めて感動した。

四月のイベントは、この百貨店の銀座店で行われる。
お客様だけではなく、仕入先にも丁寧な対応。
商品の扱いも丁寧。
こういう一つ一つが、百貨店のブランド力を押し上げているのだ。
背筋が伸びる。

こういうお店でharukiiを販売させて頂けることが、
夢のようだ。
二週間のイベントだが、今からとても楽しみだ。

さて、PR用の写真はどんな風に出来あがってくるのだろう。

ぼかし染ラミー薄羽ストール L ブルー】はこちらをご覧ください。 〉〉〉



「わが社の代表たち」

小さい日本なのに、こんなに違う。



2015年2月15日(日)

急に用事ができて、金沢に行くことになった。

日本海側の連日の降雪のニュースで、
想像できないくらい寒いと想像する。
天気や気温を調べてみる。
午前中は雨または雪。
0℃から6℃。

いったいどれぐらいの防寒をしていけばよいのだろう。

雪国用の防寒具は持っていない。
そのため、考えたのが、
例のウールコートと例のロングダウンコートの重ね着。

実際やってみると、温かい。
なんとか着られる。
ちょっと肩のあたりが窮屈だが、
暖かさには代えられない。

身体全体がふかふかして、
動きも緩慢になり、
なんだか人気のベイマックスになった気分だ。

上越新幹線に乗り込む。

   国境の長いトンネルを抜けると、雪国であった。

越後湯沢に向かって清水トンネルに入る時、
多くの人がこのフレーズを心の中で暗誦するのではないだろうか。

本当に、誇張ではなく、トンネルを抜けると景色が一変する。
そのことは経験から分かっている。

ああ今日もこの数分後には、
目の前に雪景色が広がっているのだろうな。

経験と想像力を総動員して、雪景色を思い描く。
ところが、そんなものは一瞬のうちに冷凍保存されるほど、
今日の景色は圧巻だった。

こんなことって、あるのだろうか。
たった数分で、身も心も
真冬の豪雪地帯に引きずり込まれた。

越後湯沢の駅前。



小学校の時、よく窓の外を眺めていた。
空から落ちてくる雪が埃のように薄汚くて、
目の前を通り過ぎた瞬間、純白に穢れの無いものになっていく。
それが不思議で、いつまでも眺めていた。

この雪景色を目の前にして、
私は『春』の意味が、ここに住む人たちと私とでは、
圧倒的に違うことを思い知る。
私は東京で春が来るのを待っている気になっていたが、
実はとっくに来ていたのだ。
東京には花が咲いている。
太陽の光が輝いている。

この地に来る春はまだまだ先のようだ。
でもその時がきたら、すべてが濃く豊潤なのだろう。
お花見の本当の喜びは、厳しい冬を越した人々にしか
わからないのだろう。

所変わって金沢。
来てみると、この通り。
すでに南からの青空が広がっていた。
 駅は北陸新幹線一色。
 昨日の乗車券発売はすごかったらしい。
夕方、日本海側に沈む夕日を車窓に見ながら
帰途に就いた。

東京に着くと、こちらは一日暴風が吹き荒れたらしい。
ホームにはまだその名残りが吹いており、
思わずコートのボタンをすべて掛け、
ダウンコートのフードをかぶった。
金沢よりずっと寒かった。

数時間で、何か国もの旅をした
そんな一日だった。






・・だもの



2015年2月14日(土)

♪髪を切ったわた~しに
 おねえちゃんみたいだと~
 鏡の中の私少し照れたよう
 すぐに目を背ける~♪

髪を短くカットした。
そして、パーマも掛けた。
春だもの。

カットしている途中で
全体のバランスを見るために、
立って全身鏡に映してみたら、
似た髪型の姉に、すごく似ていて、
恥ずかしくて笑ってしまった。
美容師さんには分からないのに。

髪を短くしたら、
お洒落を楽しみたくなった。
春だもの。

何年かぶりに、眼鏡を新調した。
といっても、実用的な物。
どんなシーンでも使える、シンプルなモノ。
福井県産の、確かなつくりの物だ。
エンキンリョウヨウ。
これで、細かい作業も楽になるかな。

本当はもっともっと、新しいものが欲しくなった。
バッグや靴や、もちろん洋服や。
春だもの。

いいな~、春。






春の兆し



2015年2月13日(金)

朝早く、家を出た。
いつもながら、約束の時間までに、
そんなに余裕があるわけではない。

なのに、外に出た途端、
すべてが光っていることに気が付いてしまった。
写真を撮らないわけにはいかない。

 アスファルトの道が光っている。
 建て直し中の小学校の重機が光っている。
 そのお向かいのいつもの蝋梅が満開になった。
 ハナミズキの蕾は、どんどんそれらしい形になってきている。
 もちろん、桜も負けていない。
 紅梅は満開だ。

駅に辿り着くまでに、また時間がかかってしまった。

*********

午前中の用事を終えて、
今度は次の用事までにたっぷり時間がある。
近くを通りかかった新宿御苑。
ちょっと入ってみようか。
ここには春はどれくらい来ているだろう。
 木々はまだまだ冬の様相だった。
 芝生もこのとおり。
 踏みしめるとカサカサと心地よい音がする。
 芝の下の土は柔らかい。
 早朝は霜柱が立っているのだろうな。
 ここの梅は、まだまだ。
 紅梅の一枝に一輪ほど。
 見ごろは、あと一週間ほどだろうか。
白梅に至っては、一つも開いていない。
でも、蕾は枝にびっしりついている。

もうすぐ春だ。
あと一度か二度、ひどい寒さをやり過ごしたら、
本当の春がやってくる。

こうやって、待っている時が一番いい。

あ、お昼を食べる時間が。。。







風邪とともに去りぬ



2015年2月12日(木)

今日は思いきって床上げ。
調子は良い。
風邪とともに、何かが落ちた感じがする。

仕事場の窓を開け放ち、
掃除機を掛け、
その後雑巾掛け。
出荷の前のお浄め、というつもり。

有難いことに、今日の東京はとても暖かい。

空気も気分も綺麗になったところで、
パソコンと相対する。

さあ、また宜しくお願いします。

メールに返事をし、
出荷の資料を作る。

お昼を挟んで、いよいよ出荷作業。

綺麗に石鹸で手を洗い、
商品のタグ付に取り掛かる。

わが社の商品は食品ではないが、
食品会社が気を付けるように
やはり衛生に心を砕きたい。
商品に、汚れたものが付かないように。
お客様に、悪いものが渡らないように。

ぼうし
手袋
マスク
白衣

そんないでたちで作業をすべきなのかもしれない。
考えてみよう。

せっかく風邪とともにいろいろ去ったのだ。
また新たな一ページをめくりたい。



回復



2015年2月11日(水)

え? もう水曜日?
ちょっと寝込んでいるうちに、
もう週の半ばになってしまった。
はやい、はやい。

体調は、かなり回復した。
お粥以外にも、いろいろ食べられるようになった。
あと一息。
明日には全快しているだろう。

養生にはパソコンは良くない。
目が疲れる。
頭が疲れる。
電磁波も良くないはずだ。

もうコンピューターの電源を落して、
寝ましょう、寝ましょう。

明日も晴れるかな。



お粥



2015年2月10日(火)

体調はずいぶん回復し、
お粥を食べられるようになった。

お米を2〜3ずつ口に入れてみる。
こんなに味わってご飯を食べるのは、いつ以来だろう。

お米が甘いこと、
そして、複雑ないろいろな味があることに
気が付いた。

外国の人は、体調がすごく悪い時に
何を食べるのだろう。
お水だけで炊いた白米を美味しいと思うのは、
日本人だけだろうか。
世界に紹介したい、素晴らしい食べ物だと思う。

梅干しがあれば、もっと良い。





かぜをつかむ



2015年2月9日(月)

英語で風邪を引くことを、
風邪を掴む』
と表現する。

実際に風邪を引いてみると、
『掴まれた』という感じがする。
襟元を、むんずと。

風邪さん、
素通りして下さって良かったのに。
わざわざお立ち寄り頂いちゃって。

寒気団さん達と歩調を合わせているんですか?
気圧配置なんか、あんまり変わらなくて。
明日は今冬一番の寒さらしいですね。
もう先へ行って下さって結構ですよ。

ハァ〜〜〜。
熱が出てきた。

皆様も、どうぞご自愛を。



わが社の代表たち



2015年2月8日(日)

4月の催事販売のお誘いを頂いた。

東京都内の百貨店さんからのお誘いは、
初めてだ。

まだ決定ではない。
商品を見て頂いて、
そして、取引の詳細を話し合って、
それから決定となる。

多くのブランドが集められるという。
明日、バイヤーさんが商品を確認するということで、
急ぎサンプルを送ることになった。

春夏の商品を選んだ。
薄くて明るい色、爽やかな肌触り。
心が明るくなる。
そんないくつかを選んだ。

そして、一枚一枚、丁寧にアイロンを掛け直した。
畳んでしばらく箱に入れられていたサンプルたちは、
大きく広げられ、久しぶりに新鮮な空気に触れ、
冷たい霧吹きの水を浴び、
シャッシャッとアイロンを掛けられ、
とても気持ちよさそうに見えた。

サンプルは見違えるように美しくなった。
綺麗に畳み直し、
薄紙で包み、箱に入れ、
隙間にクッションを詰め、
蓋をした。

箱の表に
「立て掛け厳禁」
「必ず水平に運んでください」
と赤字で書いた。
余計な皺が寄らないように。

明日はわが社を代表してバイヤーさんに見て頂くのだ。
気に入って貰えるだろうか。
イベントのテーマに合っているだろうか。

わが社の代表たち、
リラックスして、頑張ってほしい。


「続・わが社の代表たち」








ブーバ/キキ効果



2015年2月7日(土)

今週、偶然テレビで二度も、
『ブーバ/キキ効果』のことを話していた。
心理学の理論だそうだ。

被験者に、下のような図形を見せる。
一つがギザギザの直線でできている図形。
もう一つは、丸い曲線だけでできている図形。

そして、
「どちらかの図形の名前が、ブーバ、
 どちらかが、キキ、という名前です。
 さて、どちらがブーバで、どちらがキキ?」
という質問をする。

そうすると、世界中どの国の人も、大人から子供まで、
98%の人が、
左がキキ、右がブーバと答えるそうだ。
とがった形が、「キキ」という鋭い音に結びつき、
円い形が「ブーバ」という柔らかい音に結びつくということだ。
どちらが正解、というのはない。

ブーバというのは、母音だけで発音すれば「ウーア」。
キキは「イイ」。
「ウ」が円唇母音、「イ」は非円唇母音に分類される。
つまり、唇を丸めて発音する「ウ」という母音は
柔らかい音、
唇を丸めないで発音する「イ」は強く攻撃的な音ということだろう。
その音の印象が、世界共通だというところが面白い。

なら、子音の影響はないだろうか。
「クーカ」「ミミ」で質問したら、どうだろう。
私なら、
こちらがクーカ
こちらがミミ
と答えるだろう。
当たり前だが、母音と子音が組み合わさって、音の印象ができ上がっている。

常々、「ありがとう」という言葉はいいなあと思う。
感謝を表す言葉で、「ア」の母音で始まる言葉はいくつかある。

サンキュー
ダンケシェン
グラーシアス
グラッツェ
など。

その中でも、「ア」で始まる「アリガトウ」が、一番優しく温かい感じがする。

こんにちはでは、

ハロー

が一番お気に入りだ。
「ハ」は力が抜けていて、「ロー」は明るい。
声も、明るくなりやすい。
「コンニチワ」より断然いい。
親しい友人なら、会ったときに自然に「ハロー」と出る。
時には、電話にも「ハロー」と出る。
出られた人は、戸惑っているようだが。

音は興味深い。
そして、世界共通があるところがすごく良い。

harukiiのストールを目の前にし、
このストールは、音にしたら何だろう、と考えてみるのも、面白い。
『ブーバ』系が多い方を期待する。






カサリ



20151年2月6日(金)

以前にも書いたかもしれないけれど、
冬に好きなことが一つだけある。

それは、紙の音。

空気が乾燥して、紙がカサリと軽い音を立てる。

幼いころ、テレビで見た外国映画。
手紙の封筒をペーパーナイフで開き、
中から取りだした便箋を開く時、

カサリ。

新聞紙をおもむろに開く。

カサリ。

その音が身の回りに無くて、
何度も家の新聞紙やノートや教科書を開いたりカサカサ触ったりしたが、
あの音は出ない。

あの乾いた、軽い音に憧れた。

どうして日本の私の生活では、
紙があの音を立てないのだろう。

きっと湿度が違う。
そして、録音状態が違う。
私は北陸で幼少期を過ごした。

後年、実際に外国に行って、あの音がしたかと言えば、
よく覚えていない。

でも、今、私は東京にいる。
そして東京の冬は乾ききっている。

あの洋画の音とは違っているが、
それでも、かなり紙の音は軽く乾いている。

カサリ。カサリ。
カサカサ。カサリ。

乾いて、軽くて、
そういうものに、心惹かれる。





続・ゼロ登場!



2015年2月5(木)

今日も、三時のおやつに、例のチョコレートを食べた。
食べながら、パッケージの裏に目が行った。

ん?

んんん?

どういうこと?

栄養成分表 1本(10g)当り

  糖質 4.1g
  糖類 0g
  ショ糖 0g

あら?
何?
糖質が4.1gって、どういうことですか?
糖分が入っているの???

やだ、まさか。
早速インターネット。

色々でている。
糖質と糖類の違い。

ナニナニ。

・・・・・

難しい。
説明がたくさん書いてあるが、
今一つよくわからない。

けれど、なんとなく分かったことは、
糖類というのは、糖質というグループの中の一部であり、
糖類以外にも、血糖値を上げる甘さ成分は存在する。
その甘さ成分を使用していれば、
商品は血糖値に影響してしまうのだ。

糖類が0gだからと言って、
安心できないのだ。
甘さを出すために、
糖類には分類されない
『マルチトール』や『キシリトール』が含まれていれば、
それは血糖値を上げやすくする。

ええーっ!
そんな~。

私の口の中に入っているチョコレートには、
どちらもしっかり入っている。

は~~。

やはり、このチョコレートも禁止なのか。
せっかく見つけたのに。
は~~。残念。

買いだめしたこのチョコレート。
あと3箱ある。
どうしよう。

気が付かなければよかった。
うーん。
どうしよう。

気が付かなかったことにしようか。
うーん。
それでは、糖質ダイエットをしている意味がない。
悩む。
どうしよう。。。

で、調べてみました。
糖質ゼロのチョコレート。

ありました。ありました。
糖尿病専門のお医者様が検査してOKを出したチョコレートや
一緒に開発したチョコレートが。

ちょっと高いけれど、食べてみたいな。
かっちゃおうかな。

『糖質ゼロ』&『チョコレート』で検索すると、出てきます。

それにしても、在庫の3箱と半分、
どうしよう。。。



「ゼロ登場!」







2015春夏 色を選ぶ Ⅱ



2015年2月4日(水)

柄の生み出しに四苦八苦している。
染色の制約と、自分の力不足で、
なかなか進まない。

片手に白生地(染色をする前の生地)のサンプルを持ち、
片手に絵筆を持って、
画用紙に絵柄を描いてみる。

白生地を片手に持つのは、
その生地がどんな風合いか、
どんな特徴があるかを
触った感覚、見た感覚で確かめながら、
それに合う柄や色がイメージできるように。

でも、その生地が絵具で汚れるといけないので、
すぐに放して袋に入れたり、
また出して触ったり。
忙しない。

柄と色と生地の風合いがすべて一体となって、
素適な商品となる。
その接点が、なかなか見いだせない。

絵筆を置いて、色サンプル帳の中から
色を探してみる。

去年、思いも寄らないような素晴らしいことがあった。
色サンプル帳を、すごく沢山譲り受けたのだ。
簡単には手に入らないサンプル帳。
私がこれから一生働いても、手に入らないくらいの、
高価なサンプル帳。
或る会社の社長さんが
「うちはもう要らないから」と引き取り手を探していらした。
その方とは私は直接面識がなかったが、
また別の親切な御仁が
「はる希という小さな会社が、きっと欲しがると思う」と
その社長さんに口を利いて下さったのだ。

そのお話を頂いたとき、
もう、二つ返事、三つ返事で
「頂きます! 頂きたいです! 宜しくお願いします!」と申し上げた。

まもなく届いた重くて大きな段ボール箱。
その中には、こんな色サンプルがどっさり入っていた。

 まるで虹のような色のバリエーション。
 絹の薄い生地に染色してある。
 これを、山のように頂いたのだ。
この生地サンプルがあれば、色を考えるのにとても楽になる。
その端を少し切って、ちょんちょんと紙に並べれば、
無限の色の組み合わせが簡単に考えられる。

もう、無い色が無いぐらい、本当に豊富に色がある。
なんとシアワセな環境だろう。
自分では考え付かないような微妙な色が
すぐ目の前にある。
切って、並べて、ちょいちょいちょい。
もう、もう、もう、興奮する。

この春の色、出てこい。
柄、出てこい。
季節は、もう始まっている。
材料はたっぷりある。
生地も染色工場で待っている。
あとは、あなたたちが出てくるだけ。
柄さん、色さん、
こちらですよー。





続・脱衣所用ヒーター



2015年2月3日(火)

ヒーターは、無事に届いた。

期待通りの良品。
まず、サイズがコンパクト。
とても薄くて、脱衣所の「ここ」と思っていた位置に
すんなり納まった。
軽いので、他の場所への移動も簡単。

次に音。
静かそのもの。
まったく音がしない。
遠赤外線ヒーターって、何にも音がしないのだ。

触れても、熱くない。
まったく熱くならないわけではないが、
しばらく触っていられるぐらいの温度。

タイマーまで付いている。
しばらく点けっぱなしにしても、自然に消える。

電気代も高くない。
一時間、13.5円
一日8時間使ったとして、106円
一か月、3180円
うーん。一日4時間にしようかな。

ひとつだけ。
たったひとつだけ。
ちょっと期待はずれがあった。
それは、温める力。
つまり、ヒーターとしての肝心の能力。
あまり温かくならないのだ。

あらら。
これは見落とした。
完全に私のミス。
最高500Wという数字を見落としていた。

まぁ、いい。
補助的に使うものだから。
大きい部屋を一台で温めるわけじゃない。
OK、オーケー。
許容範囲。

で。

届いて10日ぐらい経ったが、
使わないのだ。
母が使わないのだ。

「だって、もったいないじゃない。」

わかっていた。
そう言うだろうと。

しかし、このヒートショックの事故の多さを耳にして、
何か手を打たねばならないだろう。
そこは、なんとか同意してもらいたい。

「もったいないからって、何かあったらどうするの。
 何かあってからじゃ遅いんだから。」

「大丈夫よ。寒くないから。」

「寒さを自覚できなくなるから、事故が多いんでしょ。」

「ちゃんと、お風呂場で身体を拭いて上がるから。
 そうすれば、全然寒くないから。」

「もう、我を張ってなんとかなるトシじゃないのよ!」

「お母さんから我を取ったら、何が残るのよ!」

「・・・・・・」

テニスで言う‘レシーブエース’だ。
間髪入れずに打ち返された。
完全に手も足も出ない。

わかりましたよ。
勝手にして下さい。
もう知りませんよ。

無理強いするのはあきらめた。

でもね、言っておきますけれどね。
貴女から『我』をとっても、
まだまだいろんなものが残りますからね。
貴女を作っているのは、我だけじゃありませんから。


母は、お風呂の時だけは、ヒーターを使うようになった。
今日は節分。
年女の母は、年の分だけお豆を食べるのだろうか。



「脱衣所用ヒーター」






続・冬限定家庭菜園



2015年2月2日(月)


もうすぐ咲くと思っていたが、
まだもう少し時間がかかるようだ。

蕾は固いまま、茎がぐんぐん上に伸びている。
切り株が小さいので、茂った葉を支えられない。
水の中で、すぐに傾いてしまう。

こんな小さい切り株に、
どれほど濃い栄養が残っているというのだろう。
料理の時に、すぐに捨ててしまう部分。
節約して、できるだけ捨てる部分を小さく切り落としたにも関わらず、
そこからこれだけの葉が茂ってきた。

窓越しに陽の光を受け、
小さな切り株から水さえ吸い込めれば、
葉を伸ばし、あとからあとから新しい葉を生やし、
そして、花までつける。
子孫を残すために、粘る。

自分に与えられた役に忠実。
「私が生きる意味は、これだから」とばかりに、
迷いなく毎日伸びている。

この大根の切り株からは、
私は何に見られているのだろう。
私の役割は何かわかるだろうか。
私は何をする人だと思っているだろう。

「そんなこと、興味ありません」

そうね。
そんなこと興味ないわね。
あなたはただモクモクと伸びている。
私はそんなあなたを尊敬する。




「冬限定家庭菜園」






美しい人



2015年2月1日(日)

すぐ目の前にあることを
地道に少しずつ、絶え間なくし続ける人が
一番美しいと思う。

最近、頓にそう思う。