林檎の木の下で



2013年3月31日(日)

我が家のダイニングに、赤い林檎の絵が掛かっている。
父が趣味で描いた油絵である。

最近、父はそれを見るたびに、
「構図が悪い、遠近感が出ていない」
「この上から筆を入れたら、もっといい絵になる」と
しきりに言う。

私はそうは思わない。
玄人の絵描きさんなら修正してより良い絵にできるだろうが、
素人は筆を入れれば入れるほど、ヘンテコな絵になるに決まっている。
修正したところがやはりおかしいと、またその上に変な色を重ね、
最初の絵の良いところまで台無しにする可能性が大きい。
だから、
「最初に『描きたい』と思った勢いがあるから、
この絵のままの方がいい」と、毎回なだめすかしている。

今日も同じやり取りをしているうちに、父が
「りんご~のきの~したで~」と、口ずさみだした。

なんだか聞いたことのあるメロディだが、
かなり調子が外れているので、よくわからない。
近くにあったiPhoneで、調べてみた。
【林檎の木の下で】という歌のようだ。

「ディック・ミネっていただろう。あれがジャズ風に歌っていたんだ。」
「軽やかで、いい声だったよ。」

油絵を描き直す、ということから上手く関心が逸れたようなので、
このままもっと【林檎の木の下で】の話題を続ける。

YouTubeで、ディック・ミネバージョンがあった。
何でもあるんだなぁ。
さっそく、歌を聞かせてあげた。
賑やかなデキシー・ジャズ風だった。
父は目をつぶって、懐かしそうに聞いていた。


 ♪リンゴの木の下で
  明日(あした)また会いましょう
  黄昏れ赤い夕日
  西に沈む頃に
  楽しくほほ寄せて
  恋をささやきましょう
  真っ赤に燃ゆる想い
  リンゴの実のように


原曲は、1905年にアメリカで発表された
In the Shade of the Old Apple Tree】という歌らしい。
オリジナルの歌詞は、
「かつての恋人(女性)が亡くなってしまい、
今はリンゴの木の下で眠っている」、という内容だ。
そして、ずっとずっと長い歌だ。

その歌が日本に入ってきたときは、
悲しい部分はなくなって、
楽しい恋の歌になっていた。


多くの歌手がこの歌を歌っている。
英語バージョンも、日本語バージョンも、
みな一様に楽しそうだ。
原曲からこんなに内容や雰囲気が変わってしまった歌は、
そう多くはないだろう。
でも、こういう変り方は、
いいのではないか。
だって、みな楽しそうなのだから。

ということで、今日は頭の中でこの歌がずっと流れている。
私のバージョンは、これだ。 >>>
映画の中のワンシーンのようだ。
オリジナルのしっとりしたバージョンから、
ジャズ風のアップテンポのバージョンに変えて歌っている。
両方聴けるのが面白い。

今日もなんとか、リンゴの絵を描き直すことから
話題を逸らすことができた。
次からも、ディック・ミネとこの歌を持ち出そう。




初夏の花がもう



2013年3月29日(金)

外を歩くと桜につい気を取られてしまうが、
驚くほどいろいろな花が咲いているのに気が付いた。

それも大好きな花ばかり。

モクレン

ぽってりとした肉厚の花弁。
そして、濃厚な赤紫の内側はうっすらピンク。
手が届けば、触りたくなる。中を覗きたくなる。

ハナミズキももうかなりつぼみが膨らんでいる。
枝にたわわに付いた、鈴のよう。

赤い万作の花。
もう満開だ。

 ウツギの白い花は、清楚そのもの。

きっちりと畳まれたプリーツが広がったような葉も魅力。

初夏の花がもう咲いている。
まだ四月にもなっていないというのに、
あぁ、そんなに急いで、
季節は何をさせたいのだろう。




ふか~い話



2013年3月28日(木)

心を亡くしている間に、桜が満開になり、
スギの花粉はピークを過ぎ(たということだが、、、)、
そして、東京のいろいろな場所が変わった。

私が15年間住んだ下北沢の駅も、
びっくりするぐらい変った。

昨日と今日、駅が地下化されてから初めて
小田急線を利用してみた。

ふか~い。
深い深い深い。
潜る潜る潜る。

いままで地面を這っていた線路が、
地中深くまで潜ってしまった。

深さ22mらしい。
とすると、ビルの7階分だ。
新宿駅から出発した電車は、地上を這うように進んでいくが、
途中代々木上原駅で、駅が高架となる。
代々木上原駅を出ると、今度は次の東北沢駅でもう地下に潜っている。
そして、その隣の下北沢駅では、ビル7階分も潜っているのである。
ジェットコースター並ではないか。
どうして酔わないのだろう。

階段にすると、何段だろう。
暇でもないけれど、興味に任せて数えてみた。
なんと、145段もあった。

そうね。
一段15cmぐらいだから、計算は合っている。

下北沢駅で乗降する人が、エレベーターやエスカレーターを使わなければ、
一日290段を上り下りする。
すごい運動量になる。

あ、私が数えたときは、もちろん下りながらでしたけれどね。

22mもの地下は、本当はとても寒いのではないだろうか。
夏はヒンヤリするのだろうか。

掘っている途中で温泉を掘り当てなかったのだろうか。
埋蔵金を掘り当てなかったのだろうか。
前田家のお宝は?
石油は?
レアアースは?

何のニュースも聞かなかったから、出てきたのは石と土ばかりだったのだろう。
つまらない。
せめて4月1日まで開通を引き延ばして、
「下北沢の駅を掘ったら、金銀財宝が出土!」などという
大法螺を吹いてほしかった。


下北沢駅小田急線のなが~いエスカレーター。



心を亡くすと書いて



2013年3月26日(火)

心を亡くすと書いて、「忙しい」。
亡くした心と書いて、「忘れる」。

どちらに近いか分からない、
この四日間ほど、心がなかった。
寝たり食べたりの生命維持行為と、
ほんのぽちっとだけの家族サービス以外は
ずっとひとつの作業に没頭していた。

それは、ストールのサイズを測り、修正し、
房を整え、畳む、という作業。
とても単純な作業だ。
それを200枚行った。

普段は、こういう作業は私は行わない。
工場の仕上げ工程で、職人さんたちにやってもらう。
ところが、今回は訳あって、私が行うことになった。

やってみると、夢中になる。
今回扱っているのは、綿100%のガーゼのストール。
まず糸を染めて、それから織り上げたものだ。
仕上げは、天日干しをしてある。
織り上がった後、洗って糊を抜き、最後に乾かす工程で
竿に掛けて、太陽の下で乾かしてある。
だから、とてもふくよかで柔らかい風合いに仕上がっている。

単純な作業なのだが、天然繊維、それも綿という短い繊維は
糸の個性がすごく出る。
特にガーゼ調に仕上げているので、糸と糸の隙間が大きく、
ゆっくりと風に吹かれて乾かされていくうちに、
糸が本来の個性を発揮して、縮もう、縮もうとする。
それがシボになって、生地の表情に現れる。

だけれど、どのストールにもシボが出るかというと、そうではない。
あまりシボが寄らずに、フラットな表情のものもあれば、
すごく寄って、プリーツのようになるものもある。
それが不思議だ。

一枚ずつ広げて、測って、大きすぎれば余分を切って、
糸を抜いて、畳んで、房を整えて、箱に詰める。
そういう作業をしていくうちに、どんどんストールに愛着が湧く。
なんて柔らかい、優しいストールなんだろう。
この一枚が、どんなお客様の手元に届くのだろう。

はるばる海を渡ってインドから運ばれた糸が、
富士山の麓の工場で丁寧に染められ、
そして、浜松の糸の糊付け専門の工場に送られ、
一本ずつ丁寧に糊付けされ、
その糸がまた山梨に戻って、整えられ、機に掛けられ、
ゆっくり織られる。
そして、生地になってから、ゆっくり糊を落され、
そして、富士山から吹き降ろされる風にさらされて、
ふんわり乾いていく。

なんと長い旅をしてきたこのストールたち。
今は、東京は世田谷というところにいる。
このあと、また再び富士山の麓に戻って、袋詰めされ、
今度は栃木の茂木に送られて、
一枚一枚検針機に掛けられる。

来月には卸先のお客様の倉庫に入り、
そして、早ければゴールデンウィークには、
お買い求めいただいたお客様の手元に届く。

どんなお客様が巻いて下さるのだろう。
気に入って下さるだろうか。
どんな土地で、どんな場面で活躍してくれるのだろうか。

一人でも多くの人の笑顔を生んでほしいな。
そう思いながら、作業をした。

思いがけず私のところに来たストールたち。
この作業をさせて頂いたおかげで、
糸の癖もや魅力が十分わかった。
そして、作業の大変さも理解できた。
とても良かった。
おそらく今、この経験をすべきタイミングだっただったのだろうなぁと、
そう思えてくる。

さぁ、明日山梨に出荷しよう。
みんな、日本全国に元気に旅立つのだよ。





【お知らせ】 STYLE STORE にて【変りヘリンボンストール】の発売が始まりました。



2013年3月22日(金)

3月21日より、STYLE STOREにて、
【変りヘリンボンストール】の販売が開始されました。




harukiiは、かなり大人の方を対象に
ストールのデザイン、企画を行っております。

そして、主に男性向けにデザインを起こします。
「首元のおしゃれをすこししてみようか」という大人の男性が
ちょっと照れながら、それでも巻いてみるとすんなり馴染む、
そんなストールを目指して、デザインしています。

harukiiの撮影では、ダンディな男性、
そして、優しく嫋やかな奥様と、お二人お揃いで巻いて頂きました。

手をつないで公園を歩いていらっしゃる様子は、
まるで新婚のお二人のようでした。


STYEL STOREさんは、若い世代の
それも女性のお客様が多いサイトです。
【変りヘリンボンストール】を纏ってくださっているモデルさんも、
若くて美しい女性です。
(顔は見えないのですが、さぞお美しいであろうと思わせる雰囲気の方です。)

こうして、幅広い世代の方にお使い頂けるのだなぁと
感慨深くSTYLE STOREさんのサイトを眺めています。

またこちらでは、商品に関する説明も、
とても詳しく丁寧にされています。
どうぞ、ぜひSTYLE STOREさんの
【変りヘリンボンストール】のサイトをご覧下さい。



「2013春夏 シルクウールxリネン・変りヘリンボン #1」

「2013春夏 シルクウールxリネン・変りヘリンボン #2」

「【お知らせ】変りヘリンボンの出荷を開始いたします。」





桜よ



2013年3月21日(木)

桜の開花情報が喧しい。
いや、喧しいだろうと思うだけ。。
しかし、耳を傾けない。
見ない。

今年はお花見はしない。
去年たっぷりしたから、今年はいい。
去年の桜だって今年の桜だって、
そんなに違いがあろうはずはない。
きっと来年だって、再来年だって、
おなじだ。

雨が降って風が吹けば、すぐに散ってしまう。
楽しめるのは、せいぜい一週間ぐらいだ。

iPhoneの待ち受けは、去年のすばらしい満開の桜だ。
今年はこれを見ていればいい。

桜なんて、興味ない。
ないない。全然ない。

あぁ、花粉が飛んでいなければ、外歩きを楽しめるのに。。。
今年の花粉の量は尋常じゃない。
桜さえも、見る気を失わせる。

あぁ、桜、桜。桜。
来年まで、さようなら~。
(来年の花粉の量は、どうなんだろう。。。)





2013春夏 ブロックチェック・ガーゼストール Ⅱ



2013年3月20日(水)

製品に使われている糸について。

この糸は、長綿を撚って作ってある。
太さは、肌着に良く使われる糸と同じ。
Tシャツの糸よりも細いが、ドレスシャツの糸よりも太い。

長綿。 ちょうめん。
繊維が長い綿のことを言う。
繊維の平均の長さが28mm以上のもの。

太い糸を作るなら、長綿を使用しなくても作れる。
普通長い繊維は、細い糸を作りたいときに使用されるのだ。

しかし、その長い繊維をそれほど細くもない糸を作るのに使用してある。
そこがこの糸の売りである。

よくタオルに、「スーピマコットンを使用しています」とか
「超長綿を使用しています」などと謳っている。
タオルに使用する糸は、Tシャツよりも太い。
かなり太い糸だから、水分をよく吸収する。
その太い糸に、ごく長い繊維の綿を使用しているのだから、
それは高級だし、肌触りもとても滑らかだ。
贅沢なタオルだ。

今回、長綿で作った糸を使用した理由は二つ。

一つは、しなやかで柔らかいこと。
特に今回使った糸は甘く紡績してあるので、より柔らかく、
長綿の特徴を存分に発揮している。
ところが、繊維長が長いため、毛羽も立ちにくい。
ということは、糸の表面がぼんやりせず、シャキッとした感じになる。
見た目も肌触りもそうだ。
感触は少しだけリネンに似ている。
しかし、この糸の方がリネンより数倍柔らかい。
そして、吸水性も抜群だ。

もう一つは丈夫なこと。
繊維が長いと、繊維と繊維がよく絡まり、
切れにくい、解けにくい糸になる。
綿のストールは、何度もじゃぶじゃぶ洗って使っていただきたい。
厳密に言えば、綿は洗うたびに繊維がほどけて、
糸が痩せていく。
しかし、このストールには長綿を使ってあるので、
繊維が解けにくい。
だから、長い間使用しても、生地がへこたれないのだ。

サンプルを巻いてみる。
軽くて柔らかい。
そして、すこししゃっきりしている。
それが、これからの季節にぴったりだと思う。

色は少し派手めのピンク、
落ち着いたベージュ、
白と黒のモノトーン、
そしてインディゴに似たネイビー。

シンプルでカジュアルな装いに、きっとよく似合ってくれるだろう。

B&W



2013春夏 ブロックチェック・ガーゼストール Ⅰ



2013年3月19日(火)

昨年の夏、今年の春夏用にと、
コットンの綾織のガーゼストールを開発した。

『コットン綾ガーゼ』

私としては、かなり、いや相当想いを入れて作った。
当時のブログを読み返してみると、
その時の期待やあせり、失望、
そしていよいよ出来上がった時の、何ともいえない幸福感を
まざまざと思い出す。

そのストールは、その後いろいろなバイヤーの方に見て頂いた。
その結果、いよいよ商品化されることになった。
とても、とても、とても嬉しい。

その第一弾が、来月、お得意先のスタイルストアさんで、
販売開始される。

【ブロックチェック・ガーゼストール】

当初の企画とは、少し変更を加えた。
変更点は、織り方。
綾織を平織に変えた。
平織に変えることで、肌触りがさらりとする。

そして、たて糸だけではなく、よこ糸も房にして、
糸がちらちら見えるようにした。

綾ガーゼと同じところは、糸の種類。
長綿という、繊維の長い上質な原料を使った糸。
この糸は、毛羽もたちにくく、丈夫。
普通のコットンより、きりりとした表情と感触が魅力だ。
この糸は、絶対に使いたかった。

サイズは、これも変更なく、
丁度タオルを巻いたぐらいのボリュームになるようにした。
タオル代わりに使えるストール。
これからの季節、そして初夏から真夏、秋、初冬にかけて、大活躍する
コットン100%の薄いガーゼのストール。

ほんの一部、写真をお見せいたします。

 ピンク

ベージュ

 ブラック&ホワイト

ネイビー

全容は、4月10日のスタイルストアさんのサイトにて。
どうぞ、お楽しみに♪

スタイルストア




風の夜



2013年3月18日(月)

肝心の雨は降らずに、
風ばかりが吹いている。

で、すごい。
今気が付いたけれど、
暖房を付けずにいる。
そんなに暖かくなったのか。

風の音はヒューヒュー、ゴーゴーと寒々しいし、
音だけではなく、どこからか隙間風が入っている。

どことはなしに不安な感覚がぬぐえない。
さりとて、なにが不安か考える間もなく、
パソコンに向かって文字を打っていた。

そして、気が付いたら、
暖房を付けていなかったということだ。
きっとガスストーブを付けたら、ほっとすることだろう。
付けたらその真ん前に陣取って、
固まったように、動かずにいるだろう。

もう早春とは呼べなくなった春の一日。
外は暴風。まるで台風のような吹き方。
ストーブを付ける前に、
熱いお風呂に浸かってこよう。
荒れる風の音を聞きながら。




あめあめふれふれ



2013年3月17日(日)

とはいっても、もう日付が変わって、
3月18日になっている。
ただ、私としてはまだ17日の夜。
夕食の後片付けがやっと終わって、
ほっとしているひとときだ。

外では風が出始めた。
雨の音もポツリポツリとしている。
これから雨が降ってくれるのだろうか。

Yahooの天気予報を見てみる。
東京は明日の午後、まとまった雨が降るようだ。
嬉しい。
この時季は、雨が本当に嬉しい。

あめあめ降れ降れ、もっと降れ。
花粉と黄砂を落してね♪

今年は、本当にひどい。
去年とは比べ物にならないほどだ。
くしゃみ、鼻水、涙目、鼻の奥のかゆみ、目のかゆみ。
どれも最上級。
こんなにひどくなるとは思わなかった。

気温が随分上がって、寒がりの私としては嬉しい春なのだが、
それと同時に花粉が増えるため、
暖かくなることが喜べない。
なんということだ。

雨雨フレフレもっと降れ。
蛇の目でお使いも苦ではない♪

ほんと、冗談じゃなく、
雨じゃんじゃん降ってほしい。
テルテル坊主を逆さに吊ったら、
降ってくれるかしら。

雷さま。
春雷の大サービス、お願いします~。






去年の今頃



2013年3月16日(土)

ブログが新しいレイアウトになって、
なんだか気持ちも一新するようだ。

以前のブログが読みやすくなったのは有難い。
ブログは私にとって日記のようなもの。
あの日あのころ、何をしていたか、何を考えていたか、
何を感じていたか、
振り返るのに便利だ。

さっそくあの日あのころに戻ってみた。
ブログの第一回目は、去年の5月18日。
わが社を法務省に登記した日。
創立記念日だ。
あと二か月で、一年になる。
そのころのことは、また5月に振り返ろう。

ブログでは去年の今には戻れない。
まだブログを始めていないから。
でも、ごくごく個人的にTwitterをやっていた。
今はほとんど書くこともないが、
去年はなにかしょっちゅう呟いていた。

Twitterも、ひさびさに見てみた。
ああ、そうだった、そうだった。
去年の今日は、香港にいた。
愛知県一宮市にある生地屋さんのお手伝いで、
香港の展示会に出展していたのだ。

姪と洋服屋さんめぐりをしたことを思い出した。
そして、そのときのことを、確かその後でブログに書いた。
どれだったけ。
さっそく、【ブログ アーカイブ】で探してみる。
あぁ、これこれ。これだ。
2012年6月16日のブログ。 >>>


そのあと、京都に行っている。
そして、すぐに山梨へ。

去年の今は、長い冬眠から覚めて、
ごそごそと動き始めたころだった。
何もかもが新鮮に見えたころだった。
そして、会社を始める準備を一生懸命していた。

一年経ったのか。
短かったけれど、本当にいろいろなことがあった。
地球を一周した位の経験をした。

ブログを書くこと。
これは、たしか去年の今頃は「やりたいなぁ」「やるんだろうなぁ」と思っていた。
で、今は実際にやっている。
思ったことができている。
言えば叶うと、多くの人が言っている。
思っただけでできているのだから、
口に出せば、もっと大きな事ができるかもしれない。

言ってみましょうか。
言ってみましょうよ。

フーッ吐息を吸って、、、

『harukiiのお店が持ちたいですっ!!』

言った。
言っちゃった。
言いましたよ。言いましたとも。

単に去年の今頃を振り返っていただけなのに、
未来の夢にまで思念は飛んでしまった。
そして、まさかの告白。
それも、叫んでいる。
あらま。わたしったら。


来年の今頃、ブログを振り返って、
「へぇ、この時口に出していたからなんだ、
一年のうちにお店、持っちゃったじゃないの。
言ってみるものねぇ」なんて、言ってたりして。

ふふふ、まさかね。まさかよ。
そんなにうまくはいかないわよ。ねぇ。

でもそのまさか、ゆっくりと上りましょう。
上ればいつかはまさかの頂上にたどり着くでしょう。
頂上はもうまさかとは呼ばないわね。
「叶」
そう、「叶」の頂上めざして、ゆっくりまさかを上りましょう。

まずは、お店のプレオープンのプレプレオープンとして
小さな即売会を何度か開きましょう。

「小さな即売会を開きますっ!!」

まぁまぁ、そんなに叫ばなくても、大丈夫だから。

開きましょう。
開きましょうね。


ブログの表示の仕方が変わっただけなのに、
過去を思い出していただけなのに、
どうして未来に行っちゃったのかしら。。。
そして、どうして私はすぐに叫ぶのかしら。。。





ブログのレイアウト



2013年3月15日(金)

Bloggerというサービスを使って
去年の5月18日からブログを書いてきた。
今日で290回、更新している。

明日から、ブログのレイアウトを新しくする。
過去のブログが読みやすくなる。
それから、ブログの内容で、カテゴリー分けもする。

実は、カテゴリー分けはすでにしているのだが、
今のレイアウトでは、それが分かりにくい。

新しいレイアウトには、
今日の深夜から明日の明け方になるまでの
どこかで変る。
RedBeさんが、その作業を行って下さる。
明日起きてコンピューターを立ち上げるのが楽しみだ。

新レイアウト後の第一弾のブログには、何を書こうか。
考えながら寝ることにしよう。




ピンクのものなら



2013年3月14日(木)

3倍返しどころか、キットカット1本さえ貰えないホワイト・デー。
街中の店先がピンク、ピンク、ピンク。
キャンディやチョコのパッケージはもちろん、
ハンカチやマグカップやバッグなど
あらゆる商品がバレンタインのお返しとして
店先に並んでいる。
もちろん花束もピンク、ピンク、ピンク。

もし貰うとしたら、何が良いだろう。
さっそく妄想モードに入る。
3倍返しだから、5000円のチョコを贈ったとして、15000円が予算。
あ、相手のね。
そんなにピンクが贈りたいなら、こちらからリクエストをしてあげましょう。
その方が、ずっと楽でしょう?

ピンクで欲しい物は、、、と。
うーーーーん。
あれこれ考えて、
やはりこれかな、と思う。

それは、美しいサーモンピンクの、サーモンのにぎり。
とびっきりイキのいい、生鮭のお鮨だ。
これを15000円分、食べて食べて食べまくる。

あら?
とは言っても、15000円で一体何巻食べられるのでしょう。
銀座の久〇衛さんだったら、お腹いっぱいにならないかも?
それに、そもそもサーモンなどというネタは置いてないかも?

べつに銀座に行く必要はございません。
家の近くで十分です。
ただ、せっかくのホワイトデーですから、
ネタは新鮮で活きが良くなくちゃね。

残念なことに、チョコレートを5000円分も贈る相手がいない。
それに、5000円のチョコレートなら、
あげずに自分で食べたい。
となると、サーモンピンクのトロトロの生鮭のにぎりお腹いっぱいも、
夢に終わる、ということだ。
ま、自分で買えばいいんだけどね。

こうして私のホワイトデーは、シャケを夢想しながら終わりました。
皆様のホワイトデーはピンクに甘く染まりましたか?






2013年3月12日(火)


春は名のみの 風の寒さや
谷の鶯(うぐいす) 歌は思えど
時にあらずと 声も立てず
時にあらずと 声も立てず

氷解け去り 葦(あし)は角(つの)ぐむ
さては時ぞと 思うあやにく
今日もきのうも 雪の空
今日もきのうも 雪の空

春と聞かねば 知らでありしを
聞けば急かるる(せかるる)
胸の思(おもい)を
いかにせよとの この頃か
いかにせよとの この頃か

**********

『早春賦』という大正2年に発表された歌である。
長野県の安曇野あたりの早春のころを歌ったそうである。

「春が来た」と聞いたのに、まだ寒くて鳴けない鶯。
「春が来た」はずなのに、毎日雪が降る寒さ。
「春が来た」と聞いてしまったために、春を待ち焦がれる強い思い。

本格的な春が来る前の、ほんのわずかな期間。
もう暦の上では春のはずだから冬とは言えない。
冬と呼べないなら、春と大声で呼びたいのだが、
それにしては寒すぎる。
心も体も春の喜びに浸る準備ができているのに、
寒すぎて冬に足首を掴まれている感じ。
暖かくなるまでの一日一日がいかに長く感じられることか。

この歌に描写されるような日々からは、もう東京の今はずっと春に近づいた。
いや、もうすっかり春真っただ中、と言ってもいいのだろう。
梅も桃も咲き、桜の蕾が膨らんできた。
ハナミズキでさえ、蕾を膨らませている。

だが、風が吹けば、やはり寒い。冷たい。
そうすると、つい「春は名のみの~」と
頭の中で早春賦が鳴り出す。
鶯はもうどこかでは初鳴きを始めたのだろうか。
この気候で、東京は「春が来た」と言ってしまうのだろうか。

それとも桜の満開時を「春が来た」というのだろうか。
もしくは、桜が散ってようやく「春が来た」というのだろうか。

夏や秋や冬は、「あぁ、今日から季節が変わった」と感じる日が必ずある。
だけれど、春だけは曖昧だ。
いつから春が始まり、いつ終わり、いつから初夏になるか。
なんとなく季節が移り変っていく。
春は、そんなあやふやな季節だ。

もしかしたら、春を一番楽しむ時間は、
それを待つ今なのかもしれない。






またしても締切ぎりぎり



2013年3月10日(日)

親の確定申告の書類を準備している。
去年までは父がやっていたが、
今年はなぜか私がやる羽目になっている。
計算は苦手なので、気が乗らなかった。
しかし、締め切りは3月15日である。
やはり、いつもと同じ、ぎりぎり滑り込みの様相を呈している。
もうやらなくては、間に合わない。

ただ、有難いのは、国税庁のサイトに
『確定申告作成コーナー』というサービスがあり、
数字入力をすれば、自動で計算してくれて、
あっという間にできあがる、という仕組みになっている。

あっという間にできあがる条件は、ある。
入力すべき数字がすべて手元にあるということ。
年金額やら医療費やらなんやらかんやら。

何を申告すべきかが良くわかっていないため、
父が去年提出した確定申告書の控えをみながら
書類を揃えている。
ウェブに入力しつつ、書類を探しつつ、と
行ったり来たりしているものだから、
あっという間には出来あがらない。

その上、寒い。
昼間はすごく暖かかったが、夜になって冷え込んできた。
ストーブを引き寄せて、パソコンを叩いている。
寒いと、気分が乗ってこない。
頭の働きもスロウだ。
そしてなお悪いことに、眠くなってきた。
もう瞼はオヤスミナサイモードに入っている。

いけないいけない。
ここは踏ん張らないと、提出に間に合わない。
どうぞ瞼さん、上と下とで、あんまり仲よくしないで下さい。
おーーーー。オープン。
プリーズ、オープン、マイ、アイズ。



あ、しまった。
5分も寝てしまっていた。
何か夢も見ていた気がする。

外では風が唸り声をあげている。
ストーブも最高温度設定で、ゴーゴー言っている。
寒くて、眠くて、雪山で遭難している気分だ。
寝ちゃだめだ!
起きるんだ!


あ、また5分経過。
カチカチ言っていたのは、私のマウスではなく、
隣の部屋から聞こえる母のマウスの音だった。

確定申告の書類を用意している皆さん。
いっしょに頑張りましょう!
頂上はもうすぐです。
日の出は近い。
いっしょにご来光を拝みましょう!








ワイヤレス



2013年3月9日(土)

ワイヤレスって、楽ちんだ。
繋がっていないと、ストレスがすごく軽減される。
十分にコードが長くて、不自由がないにもかかわらず、
間に線がないということだけで、とても気が楽になる。

アイロン
イヤホン
固定電話
マウス
ノートパソコン

掃除機にもコードレスがあるようだ。
それは、ぜひ使ってみたい。
コードレスなら、何でも使ってみたい。

縛られていないって、いい。
自由って素晴らしい。

あ、コードレスの最たるもの、忘れていた。
人間と動物。
何にもつながれていないのに、自由に動く。
充電もしなくてもいい。
食べ物を食べれば、動く。
意思も持つ。
すごい。
いや、本当にすごい。

何かに繋がれていない。
何物にも縛られていない。
自由に動ける。
好きなように考えられる。

私はコードレスだ。
誰かの道具ではないが、何らかの形で使ってもらっている。
便利と思われているだろうか。
ストレスが軽減されると、思ってもらっているだろうか。
せっかくコードレスなのだから、
アイロンや掃除機ぐらいには
誰かを楽にしてあげたいものだ。

私が不必要なコードに繫がれていないか、
いや、自分から繋いでいないか、
尾てい骨のあたり、時々確認してみよう。



【お知らせ】変りヘリンボンが再入荷致します。



2013年3月8日(金)

大変長らくお待ちいただいておりましたが、
【変りヘリンボン】の再入荷の予定が決まりまたので、
お知らせいたします。


3月13日(水)


ご注文方法は、こちらをご覧ください。 >>>


春の日差しが強くなったとはいえ、
まだまだ肌寒い日が残っております。
そんな時、このストールは大活躍してくれます。
3月、4月、5月。
そして、真夏をお休みし、10月から冬、その後来年の春まで、
ほぼ一年中使える【変りヘリンボン】を
みなさま、どうぞお試し下さい。


株式会社はる希
高橋裕子








黄色いあいつ



2013年3月7日(木)

シーダ・ポロン・アレルギー歴、34年。
スギのあれだ。
暖かく風のある日には、山からまっきいろの雲のように襲ってくる
あれだ。
K粉と言う人もいる。
あの名前を口にしただけで、くしゃみが出そうになるから、
そのまま呼べない。
目が痒くなる。
あたまがぼーっとする。
だから、口にしない。

小さいころ大好きだった、『魔法使いサリー』というアニメーションに
ポロンちゃんという登場人物があった。
とてもかわいらしいうえ、『ポロン』という音が好きだった。
そして、K粉のことを英語でポロンということを知ったとき、
K粉はなんだか憎めなくなった。

だけれど、34年も付き合っているのに、
その季節になると、K粉は
「去年の仲間は去年の仲間。
私たちは今年生まれたばかりです。
初めましてです。
どうぞ、よろしくおねがいします。」
とばかりに襲ってくる。

それはそうかもしれないが、
もうそろそろ卒業させてほしい。

こちらがK粉と言おうが、ポロンと言おうが、
あちらはお構いなしのようだ。

春一番も三寒四温も喜べない春なんて、、、

でも、そのうちきっと卒業できる時が来る、と信じて、
私は薬も飲まず、マスクもせず、
ポロンを胸いっぱい吸い込み、身体全身で受けとめ、
街に出ていく。
いつかきっと、きっと、きっと、、、終わりが来ると信じながら。

くしゃみをするとき、
鼻がむずむずして、そしてかならず息をいっぱい吸い込んでから、
はーっくしょんとなるのは、どうしてだろう。
息を吸わなければ、くしゃみをしなくても済むのに。
くしゃみのために息を吸うのか、K粉を吸うためにくしゃみをするのか、
どっちなのか分からなくなる。

今日も東京世田谷地方は、風が強い。
負けないぞ。
明日もいい天気だ。外に出る。
負けないんだから。





三つ子の魂百まで



2013年3月5日(火)

三歳の時にもうすでにそうだったかどうか、定かではないが、
小学校のころにはすでに出来上がっていた。
納期ぎりぎり滑り込みの性格、というか習性、というか。
夏休みの宿題は、もちろん始業日前日。
そして、中学、高校の試験は、ほとんど一夜漬け。
面倒なこと、興味がないこと、苦手なことは、ぎりぎりまでやらない。
それが、今も祟っている。

わが社は1月が年度末。
アパレルは2月が他の月にくらべて時間の余裕が取れるため、
1月を年度末にしたらよい、という友人の助言に素直に従った。

アニハカランヤ。
2月には展示会が二つも重なって、息をつく暇もなかった。
出納帳の記帳がピタッと止まっている。
気が付いたら、1月にCDをコンビニで買ったのが一件記してあるだけ。
その後今日まで、領収書をクリアポケットに放り入れたまま。

そして、明日(いや、もう今日)税理士さんに会う。
今、領収書の山と格闘している。
一つ一つ広げて、エクセルの表に記録する。
あー、なんて細かいのがたくさんあるのだろう。
展示会の準備で、いつもよりも細かい買い物が多い。

さらに厄介なのが交通費。
すべてスイカ、パスモで支払っており、
時折、券売機で使用履歴を印字しているので、
履歴は追いやすい。
だが、それが何枚も溜まって、領収書と一緒に放り込んである。
改めてそれを読み取るのが大変。

今夜は徹夜覚悟だ。
弱い計算を、眠い目をこすりながらしなければならない。
エクセルの残額と、お財布の中の現金とが合わないことは目に見えている。
あー、すでに瞼が重い。
気も重い。

頑張れ、ワタシ!
目の前の人参を何か決めよう。
日頃禁じている甘いお菓子にしようか。
それとも、熱いコーヒーにしようか。
頑張れ、ワタシ! 
ゴールはすぐだ。
いやちょっと先だ。
いや、まだまだ先だ。
でも、明日の夕方にはすっきりした気持ちになっているだろう。
頑張れ、ワタシ!



恩師



2013年3月4日(月)

今日から、また新しいフェーズに入った。

*フェーズ = phase 段階、局面

恩師が亡くなった。
正確には、恩師ではない。
以前勤務していた会社の上司だ。
でも、私の中ではどうしても恩師という感がぬぐえない。

とても尊敬する方だった。
職を離れ、上司と部下という関係ではなくなった後も、
時折会っていただき、
その時々の報告をし、自分の位置を確認してきた。
そしてまた、その方も
ご自分が今何をし、どんな考えで行動されているかを、
さりげなく、ユーモアを交えて、話して下さった。

私がその師から教えて頂いたのは、仕事ではない。
仕事の仕方を具体的に教えて頂いたことはない。
その方は、シンクタンクの理事で、研究員。
私はアシスタントという立場。
あまりにも仕事が忙しく、お一人では仕事が回っていかない。
さりとて、社内の事務職の女性は、数人の研究員の事務作業を担当していたため、
研究に関する作業の手伝いは頼めない。
そこで、与えられたご自身の予算の中で、アシスタントの費用をねん出し、
雇って下さったいた。
もちろん、業績が素晴らしかったので、その費用は無理なく賄えたし、
アシスタントが一人では足りないくらいの仕事の量を抱えていらした。

とにかく、やらなければならない作業を、こなしてこなして。
いちいち私に仕事の仕方を教えている暇などない。
それでも、ご自分がやりよいように、
自然に私を馴らしていかれた。
私には教えて頂いた、という記憶は残っていない。
ただ、息が合ってきた、という記憶のみである。

それでも師と思うのは、
そのそばで、仕事ぶりを拝見しながら、
人との接し方、問題の解決の仕方、信念の通し方など、
多くのことを学ばせて頂いたからだ。

闘う男、佐久田昌治。
そんなキャッチフレーズが似合う人だった。
理不尽な要求には屈せず、先頭に立って組織を動かした。
もちろん、かかえるプロジェクトはどれもリーダー。
そして、どのプロジェクトも、最終的な締めも、ご自身でしっかりとなさった。
お客様から信頼を受け、同じところから継続的に
調査、報告、コンサルティングの依頼が来た。

理事に与えられている個室は、いつもドアを開けっ放しにされていた。
研究員が一人入ってくる。
「ちょっといいですか?」
「はいはい。いいですよ。どうしました?」
「昨日やったヒアリングで、こんな案件が出ましてね。。。」
どんな仕事をしていても、そこで作業はストップし、
身体と頭は完全にその研究員の方に向いている。

別の日。
「佐久田さん。昨日のG戦は見ました?」
「いや、見ましたよ。あればひどいね。」
同じである。完全に作業と脳みそをストップし、
スポーツ新聞を片手に入ってきた研究員の方に向き直っている。

この開け放たれた扉から、研究員がひっきりなしに入ってくる。
その度に思考と作業は中断し、ご自身の仕事は後に後にずれていく。
もちろん、私もそれにお付き合いし、
難しい研究の話やらG戦の勝敗を聞いている。

伺ったことがある。
「いつも100%受け入れていらっしゃいますが、
どうして『今忙しいからダメ』とお断りにならないのですか?」
ご自身とともに私も残業になり、週末も出勤ということが多くなり、
かなり疲れが溜まっていたころだと思う。
「そうですね~。だめって言った方がいいですよね~。」
私の質問にさえ、だめはおっしゃらない。
そして、その後も扉は開け放ったままだった。

今思えば、どんな情報も脳内の巨大な貯蔵庫にしまわれ、
必要なときに取り出せるようになっていた。
扉は心の扉でもあり、脳内貯蔵庫の扉でもあった。

開かれた男、佐久田昌治。

佐久田さんは【モーニング娘。】が全盛期の頃に
仕事をさせて頂いた。
それ以来、今までお互いのメールには必ず、「佐久田。さま」「高橋。さん」と
【。】を付けることを忘れなかった。
歌がお上手で、車の中では若者の歌もきっちりと練習なさった。
お気に入りは聖子ちゃんである。

ノリのいいオジサマ、佐久田昌治。


週末に行われた通夜、告別式には、年上の方から大学生まで、
とても多くの方が参列された。
そしてどの方もみな、心から悲しんでおられた。
若い方には、大きな心の支えを無くし、
亡くなったことをどのように受け入れればよいかわからず、
呆然とされている方も見受けられた。

ああ、こんなに多くの方の面倒を見てこられたのだ。
開きっぱなしの心と脳は、情報を受けるだけではなく、
情報と愛情を出して出して出しまくっていたのだ。

もう冷たくなったお顔を拝見し、
まったく不謹慎にも「お若い」と思ってしまった。
妙な言い方だが「やる気の漲った死に顔」。
私にはそう思えて仕方がなかった。

知の宝庫、エネルギーの塊であった佐久田さんは、
もうこんなに多くの人に一人一人対応しているのがまどろっこしくなったのだろう。
くだらないルールや価値観に縛られることなく、
ご自分の知能と魂をさらに高度な場所で役立てるため、
現生にはさっさと別れを告げられたのだ。

「私は次のフェーズに参ります。
長く闘病しているのも無駄ですからね。
お先に失礼。
これから先、あなたたちは、自分で考えてください。
私は必要なときは、いつでも教えてあげますよ。
でも、今までのように分かりやすいやり方ではありません。
そう、今までのようなやり方だと、
皆さん笊のようにザーザーとりこぼしてしまいますからね。」

「いつも私は惜しみなく教えますよ。
それを受け取るかどうかは、あなた次第ですからね。
頑張って下さいよ。
私はこっちで、もっと高みに昇りますからね。
扉は、開いたままにしておきますよ。」

「それからね、ユーモアはどんなときにも必要ですよ。
ユーモアを忘れたら、付き合いませんよ。」

佐久田さんが急に次のフェーズに移られたので、
私も急にその対応に迫られることになった。
もうメールで返事は返ってこない。
大学院の研究室に伺うこともできない。
私は常に心の中で問いかけるだろう。
「佐久田。さん。これで合っていますか?」
答はいつもきまっている。
「イイですね~。いいと思いますよ。私も元気が出ますよ。」
こういう答えが戻ってくることだけやればいいのだ。
「佐久田。さん。これで合っていますよね?」

私は佐久田さんが仕事のやり方を教える対象ではなかったが、
勝手にいろいろ学ばせて頂いた。
とても幸運なことだったのだと、
今あらためて感謝している。

佐久田。さん。
有難うございました。
そして、これからも、ますますお世話になります。
何卒宜しくお願い申し上げます。

合掌




昔、向田邦子のドラマのタイトルにありました。



2013年3月1日(金)

朝、母が作ってくれたサラダ。



んん? あらまぁ~。
エディブル・フラワーが乗っている。
エディブル=edible=食べられる。
エディブル・フラワーは食べても体に問題がない、という花である。

スーパーマーケットで売っているのだろうが、
我が家の女二人は、野菜のコーナーでも
そんな棚には見向きもしない。
トマト、キュウリ、ナス、キャベツといった、
ごく基本的な野菜しか、カートに入れない。

でも、この花はどうしたことか。
母が何かの拍子に、上機嫌のあまり買ってきた?
いえいえ、そんなことはありません。

実は、この花、我が家の窓辺に咲いています。

四枚の花弁の先が、ほんのり紫色に染まって、
それはそれは可憐な花。

さてさて、これは何の花でしょう。
あらら? 水栽培?
でも、下の方を見るとお皿に載っている。
こんなにしっかり立っているところを見ると、
根っこをたくさん横に張っているのかしら?
んんん? そうじゃない。
これは何かの切株?

そうなんです。
これは、青首大根の頭なのです。

お店で売っている大根には、大抵5mm~10mmぐらい、
葉っぱの切り口が残っていますね。
そこを水に浸けておくと、新しい葉がみるみる、ぐんぐん伸びてくるんです。
そして、そのうちに、花芽を付けた茎が伸びて来て、
立派に花を咲かせるんです。


途中にも脇芽がいっぱい生えてきて、

無数の蕾が付いています。
全体の姿はこんな感じ。

我が家の台所の窓辺には、
この青首大根の切株がいくつも並んで、
いまはまるでお花畑のよう。

これは本当におすすめ。
皆さんも、大根の水栽培、してみませんか?

ちなみに、向田邦子の『だいこんの花』というドラマでは、
父親役の森重久彌が、早く亡くした妻のことを
「かあさんは、だいこんの花のような、
素朴だが美しく控えめな人だった」と常々語っていました。

本当に、素朴だけれど控えめで美しい花ですね。
そんな女性を妻にしているあなた。
世界一シアワセモノですよ~。