2013春夏 シルクウールxリネン・変りヘリンボン #2



2012年9月4日(火)

この春、まだ風が寒いころ、
このサンプルをよく巻いて、外出した。
軽くて暖かくて、そしてちょっと懐かしいような感触で
それが新鮮だった。

その懐かしい感触というのは、
ウールの「カラリ」とした、乾いた感じ。
子供の頃、冬になると、必ず手編みのセーターを着させられた。
ウール100%は、当時ちょっとした贅沢だったのかもしれない。
デパートで見かける羊のマークのラベルは
高級感があふれていた。

セーターは、最初首回りや手首がチクチクしたが、
着なれると気にならなくなった。
石油ストーブの横で、足を投げ出して漫画雑誌を読んでいると
せっせと家族のセーターを編んでいる母が言う。
「宿題したの?」
「した。」
「だったら、もうお風呂入りなさい。」
「うん。」
生返事。
なかなかストーブと漫画と母のそばを離れない。
そんな幼い頃の夜を思い出す。

このストールを巻いたとき、はっきりは分からなかったが、
その懐かしい感触でと暖かさで、
とても気持ちが安心した。
これと同じ素材で、ストールを作ろうと、その時思った。

そして、期待通りのストールが出来あがってきた。
さすがにウール100%では、私の歳になると、
どんなに柔らかい原料でも、痛くてたまらないだろう。
しかし、この素材はたて糸のウールにシルクが混ぜ込んである。
だから、とても滑らかで柔らかい。
そして、よこ糸にはリネンを打ちこんだ。
これで、薄いのに張りと腰が出る。
そして、カラリとした乾いた感じも増す。
このストールはふんわりと温かく、
北風から首を守ってくれるだろう。


たて糸と同系色で、
ワンポイントの刺繍を入れてみた。
全体が締まって、イイ感じだと思う。

頼りがいのある一枚が出来上がった。
喜びが静かに近付いてきた。
出荷は新春に間に合わせたい。



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「2013春夏 シルクウールxリネン・変りヘリンボン #1」






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