2012年9月4日(火)
この春、まだ風が寒いころ、
このサンプルをよく巻いて、外出した。
軽くて暖かくて、そしてちょっと懐かしいような感触で
それが新鮮だった。
その懐かしい感触というのは、
ウールの「カラリ」とした、乾いた感じ。
子供の頃、冬になると、必ず手編みのセーターを着させられた。
ウール100%は、当時ちょっとした贅沢だったのかもしれない。
デパートで見かける羊のマークのラベルは
高級感があふれていた。
セーターは、最初首回りや手首がチクチクしたが、
着なれると気にならなくなった。
石油ストーブの横で、足を投げ出して漫画雑誌を読んでいると
せっせと家族のセーターを編んでいる母が言う。
「宿題したの?」
「した。」
「だったら、もうお風呂入りなさい。」
「うん。」
生返事。
なかなかストーブと漫画と母のそばを離れない。
そんな幼い頃の夜を思い出す。
このストールを巻いたとき、はっきりは分からなかったが、
その懐かしい感触でと暖かさで、
とても気持ちが安心した。
これと同じ素材で、ストールを作ろうと、その時思った。
そして、期待通りのストールが出来あがってきた。
どんなに柔らかい原料でも、痛くてたまらないだろう。
しかし、この素材はたて糸のウールにシルクが混ぜ込んである。
だから、とても滑らかで柔らかい。
そして、よこ糸にはリネンを打ちこんだ。
これで、薄いのに張りと腰が出る。
そして、カラリとした乾いた感じも増す。
このストールはふんわりと温かく、
北風から首を守ってくれるだろう。
ワンポイントの刺繍を入れてみた。
全体が締まって、イイ感じだと思う。
頼りがいのある一枚が出来上がった。
喜びが静かに近付いてきた。
出荷は新春に間に合わせたい。
◆こちらの商品は、【harukii オンラインショップ】で購入できます。
「2013春夏 シルクウールxリネン・変りヘリンボン #1」
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