2012年9月22日(土)
ビッグサイトの展示会のあと、すぐにご商売の話を頂いたお客様がある。
最終日にそのバイヤーの方がいらしたとき、私の印象に深く残った。
私より二回りほど若く見えるその方は、とても美しい女性だった。
若いけれども商品の見方はプロのそれで、
言葉や振る舞いには、確かな自信が溢れている。
それでいて、謙虚さとわずかな甘酸っぱさを持ち合わせている、
とても魅力的な女性だった。
名刺を頂いて、さもありなんと合点した。
インターネットの情報サイトで有名な会社の方である。
国内外の商品を何百、何千と見ている方である。
商品の見方に無駄がないのは当たり前である。
展示会のあとお礼のメールをお出ししたら、すぐにご返事が返ってきた。
「お取引きを考えたい」と。
心の中で、密かにガッツポーズである。
誰が見ているわけでもないので、堂々とすればいいものを、
なぜか密かにこぶしを握る。
わたしはつくづく小心者である。
お話は順調に進み、今ほぼお取引は決まりかけている。
今回、その卸先様のために、別注色でストールを染めようと思っている。
特別格である。わたしも舞い上がっている。
わが社では、シルクカシミヤの糸を使った平織のぼかし染めのストールを
11月に発売開始する。
静かにharukiiの商品がデビューするわけだが、
もしこの卸先様とのご商売が決まれば、
同時に発売となる。
静かにスタートする予定のharukiiだが、クラッカーの少しは鳴らしたい。
マーチングバンドは無くても、くすだまの一つも割りたい。
それをしない代わりに、そのお客様に別注色をプレゼントする。
お客様のサイトでのharukiiデビューに花を添えるためである。
harukiiを買いたいと思って下さるお客様は、
もちろん地味なharukiiでお買い上げ頂けるし、
そちらの華やかな情報サイトの方でもご購入頂ける。
その別注色でのサンプルを、大至急工場さんに作ってもらわなければならない。
色指示は、こちらから色サンプルを送る。
昨日、その色を選び、その日宅配便に載せなければならなかった。
ちょっと用事があって、色選びの作業を変った場所で行った。
病院の待合室である。
時間がなくて、そこで行うことになってしまった。
外来用ではなく、入院病棟のその待合室には、
幸いにも、先客がなかった。
ストールを広げ、色を塗った画用紙のカードを広げ、
母と二人であれやこれやと、楽しみながら色を選んでいた。
そこへ、小柄なご婦人が杖をついて入ってこられた。
黄色いパジャマをお召しなので、入院されているのだろう。
こちらはトーンを落とすでもなく、夢中で色を選んでいる。
と、そのご婦人がこちらに話しかけられた。
「染色ですか?」
「はい、ストールを染めるんです。」
「そうですか。綺麗な色ですね。私も昔、織物をやっておりました。」
「まぁ。そうなんですか。」
それからしばし、そのご婦人との会話を楽しんだ。
ご婦人は、こちらの手にしているピンクのストールを
「美しいですね」と何度も褒めて下さった。
「ちょっと掛けてご覧になりますか?」
この柔らかさ、軽さを感じて頂きたくて、そう申し上げてみた。
ご婦人は嬉しそうに、「いいですか?」と仰る。
黄色のパジャマの上に、ピンクのシルクカシミヤをふわりと巻いて差し上げた。
うわぁ。
お肌が急に明るくなった。
表情も軽くなられた。
そして、黄色のパジャマにピンクが似合うこと!
その場が急にぱーっと明るくなった。
厚かましくも、ずうずうしくも、ご病気で入院されているそのご婦人に
「写真をお撮りしても宜しいでしょうか?」と尋ねると、
その方は快く「どうぞ」と仰る。
すぐにiPhoneを取り出し、シャッターを押した。
写真をお送りしたいと申し上げると、すぐに住所を教えて下さった。
来週月曜日には退院される由。
今日明日が長い入院生活がいよいよ終わる、最後の週末、ということだ。
そんな入院の疲れなど微塵も感じさせない、
聡明で美しいご婦人だった。
つくづく思う。
このシルクカシミヤのストールは、美しい女性を引き寄せる。
不思議な力を持っている。
畳んでおいたらその魅力は分かりにくい。
女性の首の周りに纏わって、初めて俄かにその魅力を発揮する。
なんとも不思議なストールである。
その後、教会でボランティアをされているお話などを楽しく伺って、
ご婦人は病室に戻られた。
私は再び色選びの作業に戻った。
私より二回り違う、あの女性と、
そして、私の母くらいの年齢のこの女性と、
二人の美しい人に似合うよう、とイメージしたら、
色選びの作業は、一層楽しくなった。
その後無事に「これだ」と思える二色を選び、その日の宅配便で発送した。
どんなストールに仕上がってくるか、楽しみだ。
シルクカシミヤ平織ストール Pink
最終日にそのバイヤーの方がいらしたとき、私の印象に深く残った。
私より二回りほど若く見えるその方は、とても美しい女性だった。
若いけれども商品の見方はプロのそれで、
言葉や振る舞いには、確かな自信が溢れている。
それでいて、謙虚さとわずかな甘酸っぱさを持ち合わせている、
とても魅力的な女性だった。
名刺を頂いて、さもありなんと合点した。
インターネットの情報サイトで有名な会社の方である。
国内外の商品を何百、何千と見ている方である。
商品の見方に無駄がないのは当たり前である。
展示会のあとお礼のメールをお出ししたら、すぐにご返事が返ってきた。
「お取引きを考えたい」と。
心の中で、密かにガッツポーズである。
誰が見ているわけでもないので、堂々とすればいいものを、
なぜか密かにこぶしを握る。
わたしはつくづく小心者である。
お話は順調に進み、今ほぼお取引は決まりかけている。
今回、その卸先様のために、別注色でストールを染めようと思っている。
別注色というのは、そのお先にだけに卸す色である。
もう、わが社にとっては最初のお客様なので、特別格である。わたしも舞い上がっている。
わが社では、シルクカシミヤの糸を使った平織のぼかし染めのストールを
11月に発売開始する。
静かにharukiiの商品がデビューするわけだが、
もしこの卸先様とのご商売が決まれば、
同時に発売となる。
静かにスタートする予定のharukiiだが、クラッカーの少しは鳴らしたい。
マーチングバンドは無くても、くすだまの一つも割りたい。
それをしない代わりに、そのお客様に別注色をプレゼントする。
お客様のサイトでのharukiiデビューに花を添えるためである。
harukiiを買いたいと思って下さるお客様は、
もちろん地味なharukiiでお買い上げ頂けるし、
そちらの華やかな情報サイトの方でもご購入頂ける。
その別注色でのサンプルを、大至急工場さんに作ってもらわなければならない。
色指示は、こちらから色サンプルを送る。
昨日、その色を選び、その日宅配便に載せなければならなかった。
ちょっと用事があって、色選びの作業を変った場所で行った。
病院の待合室である。
時間がなくて、そこで行うことになってしまった。
外来用ではなく、入院病棟のその待合室には、
幸いにも、先客がなかった。
ストールを広げ、色を塗った画用紙のカードを広げ、
母と二人であれやこれやと、楽しみながら色を選んでいた。
そこへ、小柄なご婦人が杖をついて入ってこられた。
黄色いパジャマをお召しなので、入院されているのだろう。
こちらはトーンを落とすでもなく、夢中で色を選んでいる。
と、そのご婦人がこちらに話しかけられた。
「染色ですか?」
「はい、ストールを染めるんです。」
「そうですか。綺麗な色ですね。私も昔、織物をやっておりました。」
「まぁ。そうなんですか。」
それからしばし、そのご婦人との会話を楽しんだ。
ご婦人は、こちらの手にしているピンクのストールを
「美しいですね」と何度も褒めて下さった。
「ちょっと掛けてご覧になりますか?」
この柔らかさ、軽さを感じて頂きたくて、そう申し上げてみた。
ご婦人は嬉しそうに、「いいですか?」と仰る。
黄色のパジャマの上に、ピンクのシルクカシミヤをふわりと巻いて差し上げた。
うわぁ。
お肌が急に明るくなった。
表情も軽くなられた。
そして、黄色のパジャマにピンクが似合うこと!
その場が急にぱーっと明るくなった。
厚かましくも、ずうずうしくも、ご病気で入院されているそのご婦人に
「写真をお撮りしても宜しいでしょうか?」と尋ねると、
その方は快く「どうぞ」と仰る。
すぐにiPhoneを取り出し、シャッターを押した。
写真をお送りしたいと申し上げると、すぐに住所を教えて下さった。
来週月曜日には退院される由。
今日明日が長い入院生活がいよいよ終わる、最後の週末、ということだ。
そんな入院の疲れなど微塵も感じさせない、
聡明で美しいご婦人だった。
つくづく思う。
このシルクカシミヤのストールは、美しい女性を引き寄せる。
不思議な力を持っている。
畳んでおいたらその魅力は分かりにくい。
女性の首の周りに纏わって、初めて俄かにその魅力を発揮する。
なんとも不思議なストールである。
その後、教会でボランティアをされているお話などを楽しく伺って、
ご婦人は病室に戻られた。
私は再び色選びの作業に戻った。
私より二回り違う、あの女性と、
そして、私の母くらいの年齢のこの女性と、
二人の美しい人に似合うよう、とイメージしたら、
色選びの作業は、一層楽しくなった。
その後無事に「これだ」と思える二色を選び、その日の宅配便で発送した。
どんなストールに仕上がってくるか、楽しみだ。
◆こちらの商品は、【harukii オンラインショップ】で購入できます。
L、S、XSの3サイズそろえております。
また、他にも色違いがございます。
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