黄色い封筒



2013年1月2日(水)

いつもはあまり開けない引出を開けたら、
黄色い封筒が目についた。

あ、これ、まだあったんだ。

それは、一昨年買った、宝くじ。
買ったことのない宝くじ。
でもあの時は、本当に、本当に、本当に当たってほしくて、
ドキドキしながら窓口に行った。

買い方のコツが分からず、
「適当に30枚下さい」と言ったと思う。

本当に当たってほしい割には、思い入れが少ないように思える。
いや、思い入れが強すぎて、
自分で自分の選択に自信を持てなかったのだ。

そもそも、どの窓口で買うかも、長い間決められなかった。
そして、締め切りギリギリになって、
結局一番近所のみずほ銀行に行ったのだった。

インターネットで、縁起のいい保管方法を調べた。
冷暗所で、黄色いものに包んでおくといい、ということだった。
はじめから、宝くじは黄色い封筒に入れて渡してくれる。
だからそのまま、中を全く見ずに、
大きなスーツケースの中に入れておいた。

去年の年末の抽選会は、見なかった。
新聞の速報も読まなかった。
そして、去年の初夢にすべてを掛けた。

初夢の方が抽選会より後なので、
もう結果が出てしまってから良い初夢を見ても、
事実は変ることはない。
そんなことは分かってはいても、
もし縁起の良い初夢を見たら、
黄色い封筒の中の数字が、チャカチャカチャカっと変わるのではないかと、
なんだかそんな荒唐無稽な期待を持っていた。

そして、見た!
宝くじで1億円が当たる夢を。
本当に見たのだ。
信じられなかった。
念じる力は、本当にすごい。

私はその夢を誰にも話さなかった。
良い初夢は人に話すと実現しない、と聞いたことがあるからだ。
私は家族にも誰にも、宝くじを買ったことさえも話さなかった。

私は本当に当たっている気がした。
封筒の中で、数字がチャカチャカ変っているに違いないと思った。
一億じゃなくても、数百万は当たっていると思った。
もうその日から、胸がドキドキして仕方がなかった。

くじを確認するのは、なかなかできなかった。
でも、見なければならない。
このままでは、苦しくてどうしようもない。
見なければ、何事も進まない。

私は意を決して封を開いた。

結局みごとに大外れだった。
がっくり力が抜けた。
しばらくその場から動けなかった。
「ああ、だめだった。。。」

そのあと、私には数えきれないほどの良いことが
たくさん起こった。
初夢は現実になったのだ。
宝くじのあたりではなかったが、他のことが大当たりだったのだ

なぜあの時の宝くじをすぐに捨てなかったのだろう。
あの時、これを持っていれば、
初夢が何かほかのこととして叶うと思ったのだろうか。
それとも、ただ未練がましかっただけなのだろうか。

今となってはいい思い出だ。
本当に当たってほしかったあの時の思いを、
まざまざと思い出した。

去年の年末は、宝くじを買わなかった。
そして、今朝の初夢は、なんだか忘れてしまった。
でも、ちょうど一年ぶりに目にした一昨年の宝くじ。
去年の初夢の縁起が、今年も続くような気がしてきた。
良い年になりそうだ。





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