2013年1月11日(金)
「金沢の兼六園では、雪下ろし作業が行われました。」
テレビから聞こえたアナウンスに、画面を見る。
「今年は雪が多く、去年の120%の降雪量です。」
画面の中では、作業員の方が長い竹の棒を使って、
松などに積もった雪を一本ずつ揺さぶって落としている。
今日はとても良く晴れたようで、
澄みきった青空の下での作業は、幾分かは楽なのだろうか。
それにしても、大変な作業だ。
今年の大雪では、その作業もほぼ毎日行われるのかもしれない。
そうやって、兼六園の景観が保たれている。
多くの観光客の期待に応えるために
兼六園の樹木や石や池や砂利は、
常に美しく、趣深く保たれなければならない。
それが金沢の人たちの矜持なのだとおもう
私は児童と呼ばれたころまで、
金沢の近くに住んでいた。
だから、北陸の冬は12回経験している。
北陸を離れてもう数十年経っているのに、
テレビの画像をちらりと見ただけで、
その頃肌で感じた寒さ、
東京のそれとは全く違う寒さを思い出した。
お習字教室からの帰り道、
鼻先を真っ赤にして、長靴の指先の感覚を無くしながら
まだ誰も足跡を付けていない雪の校庭を、
友達と斜めに歩いたこと。
登校時、車のタイヤでつるつるになった道を、
滑りながら、転びそうになりながら、
歩いたこと。
廊下に並ぶ赤や青のアノラックや
濡れたマフラーや手袋の匂い。
様々なことが一瞬に蘇る。
テレビには、太陽の光がにキラキラ輝く松の葉が映っている。
それをみて、私の肌は雪国特有の寒さ、空気の冷たさを思い出している。
ああ、こういう寒さの中で、こういう美しいものを見て、私は育った。
東京に住んでいては見られない、
美しい雪国の一コマ。
寒いのが苦手で、
もう一生北陸には住みたくないと思っているが、
極寒の中に住まうことでしか得られない感動があることを
思い知らされる。
旅人ではわからない、感動。
今日はほんの少しだけ、
雪国に住むことに憧れた。
写真をクリックすると、兼六園のサイトを見られます。
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