むらさきかたばみ



2012年6月28日(木)

この時季になると、庭にポツリポツリとピンクの花を見せてくれる
紫方喰(むらさきかたばみ)。


夏の花で、大好きな花だ。
摘んでガラスのグラスに入れる。

この花は、ガラスが似合う。
磁器では荷が重い。
陶器では世間を知った逞しさを求められる。
この可憐さ、軽さ、透明さ、純粋さが似合うのは、ガラスなのだ。

花びらは陽の光りに反応して、
朝日を求めて開き、夕方閉じて、俯く。
茎から伸びた花は、自由にその方向を定め、
薄い花びらいっぱいに光を受ける。

花の中心はとても淡いみどり色。
雄しべと雌しべが芥子粒のように収まっている。
じっと見つめていると、吸い込まれそうになる。

花べんに走る脈を伝って、その茎に入ってみたい。
それからずっと先、根元まで伝って行ってみたい。
そこには、透明な養液が湛えられた湖がある気がする。

こんなに小さくたおやかなのに、
はちきれんばかりの力強さで開花する。
この力強さは、きっとその湖から、滋養溢れる養液を
たっぷりと吸い上げているからだろう。

こんなに小さな花でさえ、
私を大きな力ですっぽりで包む。
花の一つ一つが自分の生を力いっぱい生きている。
紫方喰を見つめていると、
自然に力が満ちてくる。




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