2012年6月26日(火)
ベトナムのお土産に、とても美しいシルクのスカーフを頂いた。
淡い黄緑色と、やや灰色がかったブルー。
黄緑色の部分は、とんぼの羽のように薄く、透けて見える。
そして、全体に細かなジャカード模様が織りだされている。
とても繊細な仕事だ。
このスカーフが作られているのは、
ハノイ市内より南西に約10kmのところにある
Van Phuc(ヴァン・フック)村。
通称シルク村と呼ばれ、村人の約9割が織物に携わっているという。
織機は自動で動くとはいえ、骨組みは木材でできていて、
一台に一人が付きっきりで動かしている。
日本が40年~50年前に使用していた織機が
かの地では主力の機械だという。
村全体が織物で食べていけるなんて、
それこそ40年~50年前の日本と一緒ではないか。
そんな活気のある空気に、私も触れてみたいと思った。
しばらくスカーフを眺めていて、ふと思った。
「どうして外国の製品ってわかるのかな。」
もし仮に、これがどこの製品か知らされていなくても、
なんとなく日本製ではないと分かる。
どうしてだろう。
日本に劣らず、ベトナムも高い技術を持っている。
模様はオーソドックスなペイズリー柄。
日本人好みの柔らかくて繊細な感触。
色も淡くて、ちょっとシック。
なのに、なぜかとても外国的なのだ。
一体どこが日本製品と違うのだろう。
あっ、そうか。
この光沢だ。
ジャカード織で浮き出ている糸が、
ピッカピカに光っている。
ちょっと金属的、と言えるぐらいにツヤツヤだ。
確かに絹はここまで艶を出すことができる。
絹なんだから、徹底的に光沢を出すのが、
外国製品、特に東南アジアの特徴かもしれない。
日本はここまで艶を出さない。
金や銀も同じ。
あまりピカピカさせず、一歩手前で仕上げを止める。
ちょっとくすんだところに美しさを見出す。
これが、ほかの国との違いなのだ。
ちょっとくすんだ、鈍い光を美しいとする感性は
日本でいつごろ生まれたのだろう。
美術史を勉強すればわかることだろうが、
私は寡聞にして知らない。
ただ、感覚的に「ピカピカは日常の生活に溶け込まない」と思う。
湿度、水、太陽の光、森。
日本の風土が色を選んでいる。
そして、光の具合さえ、無意識に選んでいる。
外国土産のスカーフを見て、思わず日本再考。
おもしろいなぁ。
そうしているうちに、
不思議だ。
気のせいか、
手の中のスカーフとの距離が、少し縮んだ。
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