2012年6月7日(木)
あぁ、焦った。
今朝は4時に起き、東京駅8時8分発のつばめ号に間に合うよう、
すべてを準備した。
東京駅には一時間ほど前に着いた。
飲み水を買って、新幹線の自由席のホームには、三本前から並んだ。
もちろん、先頭。
順調、順調、すべて順調。
ふんふんと鼻歌でも歌いたい気分。
おもむろにバッグから藤沢センセイのあの本を出す。
やっぱりいいなぁ、藤沢周平。
そのうち乗るべき車輛が多くの人を乗せて入ってきた。
これから社内清掃が始まる。
空いたドアから作業の様子がちらりと見える。
慣れた手際の良さ。
さすが日本人のサービスは行き届いているなあ。
ふんふんふん。
また本に目を落とす。
と、その前にふと頭上の電光板を見上げてみる。
「やまびこ 08:08 5号車 自由席」
よしよし。完璧。いい席に確実に座れる。
ふんふんふん。
、、、あれ? 、、、よくないかもしれない、、、。
私の電車は「つばめ」っていうんじゃなかったっけ?
スワローのあのすぃ~っと飛ぶツバメ。
なんで「やまびこ」って書いてある?
ホーム間違えた?
8時8分に発車する新幹線が別にある?
その時初めてアナウンスが。
「前1号車から10号車までやまびこ、後ろ11号車から17号車までつばめ~」
なんですって!? 「つばめ」と「やまびこ」が繋がってる?
それで、福島で切り離されて「やまびこ」は仙台に行く?
私の前にいる車輌は「やまびこ」。
米沢に行かないじゃない! 発車まであと3分しかないじゃない!
今からこの座を投げ打って、「つばめ」の自由席に移るなんて、
せっかく手に入れた自由席先頭。そう簡単には諦められない。
ツバメの尻尾で2時間立なんて、考えられない!
決めた。
このまま「やまびこ」に乗ろう。
二つが離れる福島で「つばめ」に移ろう。
さらにアナウンスが追い打ちをかける。
「「やまびこ」と「つばめ」は車内での移動はできません。」
OH MY GOD!
「やまびこ」に乗ることは乗ったが、しばし放心状態。
そしてコートも脱がず、バッグも下ろさず、
インターネットでの検索が始まった。
「福島駅の停車時間は3分しかなく、、、」
「通称【福島ダッシュ】と呼ばれ、、、」
「荷物を持ったオバサンには苛酷な、、、」
目の前に、キャリーケースを握った老若男女が
一斉にスタートを切る光景が浮かぶ。
あぁ、鈍足の私に勝ち目は無い。
こうなったら、福島着の前に連結部分近くにジワジワ移動しておくしかない。
指定席の皆さんの安眠を妨害しながら。
あぁ、ごめんなさい。
方針が決まって、やっと水を一口飲んだ。
藤沢周平が頭に入らない。
もうすぐ宇都宮、というアナウンスが入った。
「3分止まります。」
ここだっ! ここしかない!
宇都宮で降りて、とりあえず11号車まで移動しよう。
3分あれば、多分走らなくても辿り着ける。
あとは一駅毎に自由席まで移動しよう。
宇都宮のホームには競走相手はいなかった。
独走状態、いや独歩である。
歩く、歩く、歩く。
3分で自由席に辿り着いた。
車輌は案外空いていた。
空いている席にどっと腰を下ろした。
あー、疲れた。
いったいどこに行き先が途中で別れるって書いてあったんだろう。
知らない人が見落とすような書き方だったんじゃないの?。
同じ失敗をされた方へ。
「福島ダッシュ」より「宇都宮ダッシュ」をお勧めします。
オバサンでも急げば歩いて自由席に間に合います。
それから、山形に行く新幹線は、
「つばめ」ではなく「つばさ」ですから。
くれぐれもお間違えのないよう。
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