織ネームの存在感



2012年9月28日(金)

こんなにぎりぎりになっているのは、とても恥ずかしことなのだが、
今、商品に付ける札やラベルのデザインをしている。

法律上、ストールに付けなければならないのは、
取扱いの絵表示と、素材の種類、製造元または販売元の名称、連絡先など。
これらは、必ず表示しなければならない。
これは、布製のラベルでも、またはシールでも良い。

このほかに、義務ではないのだが、
ブランド名を印刷した下げ札と、
ブランド名を織り込んだ布製のネームラベルを付ける。

作るのに一番時間がかかるのが、この布製のネームだと聞いて、
急いでデザインを考えている。

いや、考えているのは私ではなく、
プロのデザイナーさん。
例のごとく、友人の紹介で知り合った。
それも、ほんの3週間前。
初めてお会いしたときは、発注者とデザイナーの関係になるとは
思いも寄らなかった。

ところが、会った二週間後には仕事の依頼をし、
今では毎日メールをやり取りしている。
不思議なことだ。

さて、この布製のネームラベルは、ブランド名を織り込んであるものだが、
必ず付けなければならない、ということはない。
ないのだが、これがないと、洗濯表示のラベルを付けるところが見当たらない。
ネームがない場合は、直接商品に付ける、または貼ることになる。
harukiiのストールは、柔らかさを身上にしているので、
とてもデリケートだ。
特に春夏商品は薄く作ってあるので、どんなに粘度の弱いシールでも、
剥がすときに商品にダメージを与えないとは限らない。

なので、布製のネームをしっかり縫い付け、
そこにラベル類を紐で通す。
いわば、ラベル類の止まり木のようなものなのだ。
だから、デザインより機能を重視する。
このネームにぶら下げるものが多くなればなるほど、
重力がかかり、商品を痛めてしまう。
しっかりと厚手に、そしてなるべく小さく、
でも、紐を通すゆとりはあり、
作業をして下さる方が扱いやすい大きさでなければならない。

ラベル類は、お客様は一度確認したら、使用する前に取ってしまう。
そして、ネームもおそらく外してしまう。
要は、工場からの出荷から、卸先の倉庫と小売店さんの店舗を経て
お客様の手元に渡るまで、しっかりと商品についていれば、
あとはお役御免、となる。

と、思っていた。
そうしたら、ラベルを作る会社の方が、
「いやいや、織りネームは外さない方が多いですよ」と仰る。
「そのブランドが気に入って買っている方は絶対外しませんし、
そうでなくても、織りネームはワンポイントになって、
ある方が魅力的だからです。
私は、取りませんよ。」
「へぇぇ、そうなの。皆さん、付けたままなの。」

このご担当者さん、かなりの伊達男である。
シルバーのアクセサリーをさりげなくつけている。
ついでなので、ストールを巻いてみてもらった。
ス・テ・キ。良くお似合い。
やっぱり、男性にもピンクはいいなぁ。

で、デザイナーさんにも同じことを聞いたら、
同じような答えが返ってきた。
この方は、下げ札まで捨てずに取っておくという。
へぇぇ。

さて、そうなると、考え直さなければならない。
機能はもちろん最優先だが、デザインも重要になってくる。
いや、かなり重要だ。
外さない、となると、ストールのデザインの一部になってくる。
ネームはどんなに小さくても、案外存在感が大きい。
特にストールのデザインがシンプルだと、ネームは目立つ。
これを悪目立ちさせるわけにはいかない。

改めて、織り方、色、大きさ、形、すべてを見直す。
デザイナーさんが、紙で見本をいろいろ作って下さった。
それを実際にストールに当ててみて、
あれこれ思案する。

ほんの2-3㎜サイズが違うと、印象は全く違う。
ごく僅かな色差でも、商品全体の格が上がったり下がったりする。
いや、織りネームって、すごい力を持っている。
改めて見直した。

なんとも幸運だったのは、紙のプロであるデザイナーさんは、
すでにアパレルのお客様をお持ちで、
あるブランドのこういう付属物のデザイン一式を作った経験があるという。
だから、織りネームのことについても、随分お詳しい。
もう、デザイナーさんと、業者さんが直接話して下されば、
話はスイスイまとまっていく。

そして、三か月前、ロゴのデザイナーさんと
毎日熱いやり取りをして、
粘りに粘って生み出して頂いた、harukiiのロゴ。
これがあるから、ネームだって下げ札だって、
きっとこれから作るであろうパッケージだって、
ピタッと決まるところが絶対に見つかる。
あの時、粘ったことが大正解だった。

harukiiの土台がだんだん固まってくる。
それを支えるのは、関わって下さる方々の熱情。
ほんとにほんとに、私は幸運だ。
この幸運は、harukiiの商品を通して、世の中に還元していきたいと思っている。

あ、イケメンの担当者さんから、もうメールの返事が来た。
さぁ、仕事開始の時間だ。
今日もがんばるぞ~!

ラベル類を織りネームに付ける時に使う、プラスチックの紐。




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