2012年6月22日(金)
春夏向けのストールに欠かせない素材。
それは、麻(あさ)。
吸水性が良く、軽く、さらりとした肌触りで、かつ強靭。
特に日差しが強くなる季節には一番気持ちの良い素材だ。
麻と一口に言ってもイロイロあり、
ざっと7種類ある。すべて種類が違う植物なのだ。
・亜麻(あま)/ Linen(リネン) 亜麻科
・苧麻(ちょま)/ Ramie(ラミー) いらくさ科
・黄麻(こうま) / Jute(ジュート) しなのき科
・洋麻(ようま) / Kenaf(ケナフ) あおい科
・大麻(たいま) / Hemp(ヘンプ) くわ科
・マニラ麻 / Abaca(アバカ) 芭蕉科
・サイザル麻 / Saisal(サイザル) せきさん科
最近のファッション雑誌では、英語の呼び方をよく使っているので、
若い人には馴染みがあるかもしれない。
最も多く衣服に使われているのは、上の二種類。
亜麻(リネン)と苧麻(ラミー)。
それは、繊維が細いからである。
他の麻はロープや資材に使われている。
最近ではヘンプを混ぜたコットンの糸も作られており、
素朴な風合いがあって、カジュアル衣料に使われている。
ラミーとヘンプは、日本では縄文時代のごく早い時期に
すでに日本全土に生育していたらしい。
日本人にとっても、とてもなじみの深い繊維なのだ。
さて、harukiiでは、たて糸、よこ糸ともに麻を使ったストールを作る。
そこで、リネンにするか、ラミーにするか。
ケナフやヘンプは繊維が太く固いので、
もとより選択肢には入っていない。
harukiiは、お肌のデリケートになってきた人生の先輩方に
巻いて頂きたいのだ。
機屋さんにラミーとリネンの二種類のサンプルを借りた。
ラミーの方は、極細の糸が使ってある。
とても薄く、しっとりした光沢もあって、すごく上品。
片やリネンの方は、ラミーよりいくぶん太い糸を使ってあり、
ラミーと比べると素朴な感じで、光沢も少ない。
しかし、張りの面ではリネンの方が腰があって、フワリと軽やか。
うーん、悩ましい。
そこでいつもの首実検。
実際に巻いてしばらく様子を見る。
やっぱり、リネンの方が少し柔らかいかな。
老母に声をかける。
「ねえ、ちょっと目をつぶってみて。
こっちとこっち、どっちが柔らかい?」
それぞれを首に掛けてみる。
「うーん、そうねぇ。どうかしらねぇ。
うーん、どっちかというと、こっちの方が少し柔らかいかしらねぇ。」
それで、リネンに決まった。
かなり細い番手のラミーで、
若い人には全く気にならない固さだが、
老人の首はわがままだ。
やはりリネンのしなやかさの方に軍配が上がった。
色は桃色、草色、生成り色。
すべて薄い色合いにしたい。
優しい感じに仕上がれば嬉しい。
そして、もう一ひねり。
染める時に、わざとムラ染めにしてもらう。
濃く染まっているところと、薄く染まっているところが
不規則にあるのが望ましい。
ということは、手染めになる。
一枚一枚、手で染めるのだ。
だから、それぞれの染め上がりも違ってくる。
世界でたった一枚のストール。
なんて大げさだけど、でもそういうことだ。
秦さん、宜しくお願いします!
※ 麻の説明に関しては、日本麻紡績協会様のページを参考に致しました。
「2013春夏 細番手リネン平織ストール #2」
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