してはいけない約束




2012年11月30日(土)

昨日のブログで、今日は【いい竿の日】と決めこんだのだが、
竿も洗濯のことも一つも思い出さずに
一日が過ぎた。
竿への感謝は、明日に回そう。

今日は一日中、外出をしていた。
東京の街路樹も、この頃の急な冷え込みで、
やっと色づき始めたようだ。
そして、私は今まで我慢していたダウンコートを
ついに解禁することにした。

ダウンコートを着だすと、
お気に入りのウールのコートは着なくなる。
すごくお気に入りで、もう10年以上も大切に着ているウールコート。
最近、夏の後の残暑が長く、
ウールコートが似合う季節は、毎年11月に入ってからになってしまった。
そして、11月に入ると、寒さの増し方に加速度がつく。
初冬を楽しむ時間が短い。
ウールコートの出番も短くなる。

もっと着たいウールコートだが、
11月も終わりになると、もう我慢できない。
ダウンの魅力に降参してしまうのだ。

私のダウンは、かなり長い。
くるぶしまで隠れる丈がある。
私が住んでいる東京では、
着ているのも売っているのも、あまり見かけない。

実は、7年前までダウンコートを持っていなかった。
軽さと暖かさは魅力だったが、
買うとそればかり着てしまうことが分かっていたので、
手を出さなかったのだ。

しかしその冬。
年末にニューヨークに住む姉のところに行く用事が出来てしまった。

NYに行くからには、やはりダウンをゲットしなければならない。
なにせ、NYは青森と同じ緯度。
『津軽海峡冬景色』と同じくらい寒い国。
上野発の夜行列車を降りると、雪景色の国なのだ。
そんな街で売っているダウンコートは、
見かけ倒しの薄っぺらい商品は無いはずだ。
本当に暖かくないと、命にかかわる。
何でもすぐに「スーしましょ♪」(告訴しましょ♪)という国では、
命に関わるようなことがあったら大変だ。
ダウンコートは、防寒一番、ファッション二番のはずである。

私はNYでのメインの用事はそこそこに、
ロング丈のダウンコートを探し回った。
さすがNY。
読み通り、デパートにはロング丈が鈴なりに掛けてあった。
いくつかデパートを回り、
ついに、これぞと思うダウンをゲットした。

ダウンをゲットしたら、私のNYでの目的は達成されたも同然。
東京の毎日の仕事で疲れ切っていた私は、
NYのクリスマスもお正月も記憶がないほどに
姉のところで毎日眠り呆けた。

いまもとても重宝して着ているそのダウンコート。
東京で、ショート丈のダウンを買い足しもせず、
私は今年もさっそくロング丈を着込んでいる。

街ゆく女性は、ほとんど膝上の薄いダウンを
軽やかにおしゃれに着こなしている。
そんななかで、津軽海峡にも行けるような完全防備の私は、
ちょっと浮いているかもしれない。
でも、そんなこと全く構わない。
暖かいのが一番シアワセ。

お気に入りのウールコートは、
きっと来年の4月頃までお休みに入る。
でも、本当は4月になると、もっと春らしいものが着たくなって、
結局このコートはこの冬もう腕を通さないかもしれない。
ごめんね、ウールコートさん。
ちょっと小春日和の日があったら、絶対着るからね。
ちょっと待っててね。

私は、ウールコートに、
してはいけない約束をしてしまったのかもしれない。





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