織ネームの玉留め



2012年11月18日(日)

今日の東京は、日差しに恵まれ、暖かかった。
昨日は一日強い雨が降ったので、
今日は余計にその暖かさが嬉しかった。
もうすでに冬だと決め込んでいる私も
「秋に昇格してもいいな」と思ったくらいだ。

部屋に差し込む光の中で、
今日は一日、札付けをした。

透明な袋に入っている商品を
少しだけ引っ張り出す。
全部引き出さなくても札が付けられるように、
作業した方が、袋の口のほうに織ネームが来るように
入れて下さっている。
これで、柔らかくて扱いにくいストールを袋に入れ直す作業が、
ずっと楽になる。
細かい配慮に、頭が下がる。

織ネームに糸ロックスを通す。
生地の糸が細く、
そして、ガーゼのようにゆるく織られているので、
糸を引っかけないように
細心の注意を払いながら作業を進める。

そこで、どうしても目が行ってしまう、織ネームの玉留め。


いままで、こんなに丁寧な織ネームの付け方を見たことがあっただろうか。
私は普段、商品のネームは取ってしまう方なので、
ネームの付け方は良く見る方だと思う。

生地の織り方がしっかりしているものや、
糸が太くざっくりおられているものは、
ミシンで付けてあることが多い。
繊細な生地には、やはり手で付けてある。

でも、こんなに小さく、しっかりと、
そして可愛らしく付けてあるのは、
とても珍しいのではないだろうか。

私はこの作業をして下さっている方たちの顔を思い浮かべてみる。
いつも丁寧に、手早く作業を行う女性たち。
この女性たちの仕事如何で、
商品の格が上がったり下がったりする。
織ネームは、その一貫の作業の仕上げ。
お化粧で言えば、最後に差すひと筆の紅のようなもの。
その一瞬まで緊張が持続されていれば、
商品の仕上がりは、格段に良くなる。

この玉留めは
harukiiへの応援メッセージのように思える。
そして、子を嫁がせる母親の気持ちのようなものにも思える。

「頑張ってね。」
「大切にしてもらいなさいね。」
「優しく温めてあげなさいね。」

私はいつも札付けの作業をしながら、
このメッセージを噛みしめる。




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