2012年10月31日(水)
昨日、紙を選ぶ用があって、神保町に行った。
折しも、古本祭りの真っ最中。
平日だというのに、歩道は人でごった返していた。
老若男女様々な人がいて、思い思いの本を開き、
皆が皆、その中に没頭している。
お客も店主も、みな本の中に吸い込まれている。
この人たちの脳の中には、どれだけ大きな世界があるのだろう。
それはきっと、広くて深い世界。
色があるのかないのか、現在なのか過去なのか未来なのか。
どれだけ多くの文字や言語が踊り、
音や映像が映し出され、思考や感情が渦巻いているのか。
本を開く人は、皆その世界に入り込んでしまって、出てこない。人の数だけ世界がある。
そう思うと、私が見ている世界はたった一つの世界。
他人はまったく違う世界の中に生きている。
そういう一人一人と共生するは、実は大変なことに違いない。
だが、その大変なことを大変と思わず、
当たり前に共同で生活したり、日常的に何かを生みだしている。
人間って、やはり計り知れない能力を持っていると思う。
これだけ多くの人がひしめいているのに、
神保町の古本祭りは、音のない静かなお祭りだ。
皆がそれぞれ、本と自分の一対一の関係の中で、
お祭りを楽しんでいる。
他人と共有しないお祭り。
脳みその中だけで楽しむお祭り。
私はその脳の海の中を、少し息苦しさを感じながら、
急ぎ足で通り抜けた。
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