中村麻由美さんという本のデザイナー



2012年10月25日(木)

この前のブログにも書いたが、
harukiiのネームや下げ札をデザインして下さっている方は、
実は本のデザイナーだ。
名前を、中村麻由美さんとおっしゃる。
歳は、私と親子ほど違う。
私が親の方だ。

若いけれど、キャリアはしっかりしている。
そして、仕事ぶりも淡々と、きっちりと、手際よく。
とても気持ちがいい。

中村さんは本作りの専門家なので、紙の種類や性格、
そして様々な印刷方法にとても詳しい。
それで、最初は紙のアドバイスを受けるだけのつもりだったのだが
結局デザインまでして頂くことになった。

紙に詳しいだけなら、デザインまでお願いすることは無かったかもしれない。
ただ、彼女にならお願いしてみたい、と思ったのは、
その名刺が素晴らしかったのだ。

彼女の名刺を受け取ったとき、
その紙の厚さが新鮮だった。
今どき、こんなに厚い名刺を作るなんて、贅沢だな。
そして、家に帰って再びじっくり見ると、もっと贅沢なことに
一辺の側面だけ、金色にしてある。
側面といっても、ほんの0.何ミリのことだ。
気づかない人も多くいるだろう。
そこに、すっと金を入れる。
あぁ、おしゃれだな、と思った。

そして、また、空間の使い方も見事だった。
名刺は多くの情報を盛り込まなければならない。
そして、なおかつ、文字が読みやすくなければならない。

彼女の名刺は、それだけ多くの情報が印刷されている、
という印象が全くない。
すっきりと、風通しよく、
良い質の紙の白さが浮き立つようだ。

中村さんの仕事ぶりについて、判断する材料は
彼女のブログに乗せている作品の写真と、この名刺一枚だけだった。
多分、私はこの名刺の金の側面を見ただけで
もうすでに彼女にデザインまでお願いする気持ちになっていたのだと思う。

私の判断は、大正解だった。
その結果については、前のブログで紹介した通り

そして、今はギフト用のパッケージのデザインまでお願いしている。

先日、その打ち合わせを行った。
その際、彼女が鞄の中から取り出して見せて下さったものがある。
これだ。




「今日この後、納品するんです。」

これは、表紙に布を貼ってあるノート。
もちろん、中村さんの作品である。
【徹 tetsuzo】というネームが貼ってある。

「谷川徹三さんが生前に着ていらした着物の生地なんです。」

私は、その名前を知らなかった。

「詩人の谷川俊太郎さんのお父様で、哲学者の方なんです。
若いころは文化人として、とても有名だった方だそうなんですよ。」

へぇ。そんな有名な人の着物の生地なの?

「ご家族が、徹三さんが日常で着ていらした着物を
沢山残していらっしゃるんですけれど、
何かに使えないかって。
で、縁あって、私がノートを作ることになったんです。」

中村さんらしく、きっちりと作ってある。
そして、二種類の柄の布のバランスが、とてもいい。
おそらく普段着として着古された木綿の着物なのだろうが、
ノートに生まれ変わって、新鮮な表情を見せている。

「これはソフトカバーですけど、ハードカバーも作っているんです。」
「どこに納品するの?」
「ヒカリエです。」

ヒカリエというのは、今年4月に開業した、
渋谷の新しい商業ビル【渋谷ヒカリエ】。
工芸とアートに力を入れているようで、
8階にあるフロアには、47都道府県から集められた、
丁寧に作られた雑貨などを販売する、大きなお店がある。
d47 design travel store(デザイン・トラベル・ストア)】。
このノートは、そこで売られているそうだ。

「いつまで販売するの?」
「今月一杯なんですが、もし人気が出れば継続されるかもしれません。」

このノートの売り上げは、すべて東北支援のために寄付されるという。
ソフトカバーは、税込で1575円、ハードカバーは2100円だそうだ。
ハードカバーの方の写真は、中村さんのブログに載っている。


皆様、渋谷においでの際は、ぜひ【渋谷ヒカリエ】の8階、
【d47 design travel store】にお立ち寄りください。
下の図の、05 のところです。
  渋谷ヒカリエの8階のフロア案内図


それから、もう一つ。
上の図の 07 の中にある【aiiima(アイーマ) 1】というスペースで、
10月26日から11月4日まで、
『aiiima束見本帖』という展示会が開かれます。

束見本(つかみほん)というのは、本をデザインする段階で作る
本の模型のようなもの。
紙だけ現物と同じものを使って作り、中の文章や外の絵などは
全く印刷してない。
だから、すべて気持ちよいほど真っ白の状態。

それがたくさん展示され、
またそのスペースで、束見本作製の実演がされるそうだ。
中村麻由美さんは会期中毎日そこに詰めていて、
全く自分のオフィスにいるように仕事をするとか。

本の作り方、紙のいろいろにご興味のある方は、
こちらもぜひご覧ください。


中村麻由美さんのブログは、こちら >>>

d47 design travel stlore のサイトは、こちら >>>

aiiima のイベントのご案内は、こちら >>>

中村さんがデザインしたharukiiのパッケージは、こちら 〉〉〉



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