2013秋冬 色を選ぶ Ⅱ



2013年6月25日(火)

今年の秋冬に売り出すシルクカシミヤのストール。
薄いガーゼの生地に、ランダムに引いたストライプの柄を載せてある。

すでに、四つの配色は決まっており、それぞれに好評も頂いている。
そこに、これからもう一つ、新しい配色を加えようと思う。

それは昨年の十月にharukiiのデビューを支えて下さった
Style Storeさんへのプレゼント。
Style Storeさんだけで売る限定色を新しく加えるのだ。

今回の色選びは、初めての経験だ。
既に他の配色が決まっていて、
その色に合せて選ぶ。
しかも、イメージは、もう早くから頭の中にある。
それを表現するのに、どんな色を使うか。
枠が決められている中での、色選びだ。
これは、難しいのか楽なのか。
やってみなければ、わからない。
そう、初めての経験だから。

その基本の色は、RED。
赤と決めている。
この色しかない、と思っている。

赤は赤と決めているが、どんな赤なのか。
なんとなく頭にあるのだが、それをうまく具体的に出せるのか。

いつものように、絵の具で色を作ってみる。
黄色い赤。
青い赤。
暗い赤。
明るい赤。

いろいろやっているうちに気が付いた。

これぞ赤!という色は、ごく限られている。

赤をずっと見ていると、朱色か茶色になっている。
こっくりと豊かな赤を目指しているのだが、
どうしてもどちらかの色に見えてしまう。
目の錯覚なのか。

目をリフレッシュさせようと、少し休ませてみる。
そして再び絵の具で出してみる。
やはり、朱色か茶色に見える。

部屋の中を見まわしてみた。
これぞ赤、という赤はあるだろうか。

赤いものがいろいろある。
絵本の表紙に描かれた洋服の色。
うーん、これは赤というより朱色だ。
絆創膏の箱の赤。
これも朱色、それも明るい朱色だ。
裁ちばさみの箱の赤。
これは、どことなく茶色っぽい。
ファイルの色。
これは、ピンク系か。

やっとのことで調合した絵の具の色を、生地に直接塗ってみた。
ん? ちょっと暗い。
どうしてか。茶色っぽくも見える。

あ、そうだ。
このストールは、地色をグレー染めてある。
その上にいろいろな色をプリントするのだ。
だから、薄い色はその灰色と混ざった色になる。
それを計算して、色を決めなければならない。
ふー、難しい。

色を塗った生地の小片と、他の配色の色、
それを持って窓辺の光りに当てて見たり、
また色を調合して塗りなおしてみたりと、
部屋の中をあっちこっちうろうろしながら、
やっと色を決めた。

結局、基本の赤は、絵の具のチューブから出した色そのままが良いようだ。
かなり鮮やかな赤だが、灰色の生地に載せると少し渋くなる。
そして、その隣に使う引き立て役の色も決めた。

さあ、どんな仕上がりになるだろうか。
赤が魅力的に見えるだろうか。
あとは、染屋さんに任せよう。
いつも、とてもいい色を出して下さる。
きっと今回も、一番いい色を決めて下さるに違いない。

作業の前は少し不安だったが、
二時間後、私は晴れやかな気持ちで発注書を書き終えた。







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