完敗です。



2013年6月15日(土)

まあ、そうねぇ。
ちょっと遅かったかしら。
そうねぇ。遅かったわね。
2:00AMだから。

夕べ家に着いたのが2:00AM。
はい、遅い。遅いです。

「ちょっとおいで」

なに?

家の勝手口の門を開けて、ガラス戸を開ける。
ガラガラ。
どんなにそっと開けても、音はする。
そして、父の声。

「ちょっとおいで。」

なに?
まだ起きている?
声は寝ぼけていない。
ずっと起きていた?

まぁ、それは想定内。
そして、怒られるのも想定内。

「は~い。ちょっとまってね~。」

時間稼ぎに自分の部屋に入る。
ちょっと時間を置けば、父はもう寝ているかもしれない。

そこへ、母の足音。
「もぅ。。。もうちょっと早く帰ってきなさい。
 お父さん、寝ないでずーっと待っていたんだから。」

うーん。
いくつになっても、この会話は繰り返されるのだ。

その昔、むかし、ムカ~シ。
私がまだ学生だった頃。
友人とオールナイトの映画を見に行くといって、出かけたことがある。
両親の反対を振り切って。

その頃、私のまわりの友人たちから
「過保護な親は、子供が教育しなきゃ。
 親の言うことをいつまでも聞きませんよ、という毅然とした態度を
 見せてやりなさい」と言われ続けていた。
だから、そのオールナイト映画は、
私としては謀反、強行突破だったのだ。

けれどどこかでへその緒がつながっている私は、
どこで映画を見るかを、告げて出かけてしまった。
新宿だったか、池袋だったか。

深夜何時だったろうか。
何本目かの映画が終わった幕間に、アナウンスが流れた。

「お客様のタカハシユウコ様。
 ご自宅からお電話が入っております。
 至急受付までおいで下さい。」

え? 何? どうしてわかった?
あーーー。
敵は一枚上手だ。
観念した。
私はこういう運命なのだ。

電話の向こうの母の声。
「這ってでも帰ってらっしゃい!」

私は友人に平謝りに謝って、そそくさと映画館を出た。

負けた。

しょうがない。
そういう両親の娘なのだ。
そういう運命なのだ。

それから30年経った今でも、
私は夜遅く、そーっとガラス戸をあける。
忍び足で階段を上がる。
そして、両親は起きている。

来世は放任主義の両親のもとに生まれてみたい。




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