駅前で



2013年6月19日(水)

最寄りの駅の路上で、選挙演説をしているところに通りかかった。
選挙カーの上に立って、マイクを通して演説していた。

ちょっと黒小山の人だかり。
ギャラリーが何人もいた。
と思ったら、そうでもなかった。
ほんの10名ぐらいだった。
なのに黒小山と思ったのは、
黒いスーツを着た人が何人も選挙カーの周りにいたから。

それも、かなり体格の良い男性ばかり。
胸にお揃いのピンバッチを付けていた。
そして、無表情で立っている。
ギャラリーの方を向いて、何人も無言で無表情で。

多分、SPという人たちだろう。
選挙事務所のスタッフの人たちとの、明らかに違う。
重くてかたい空気。
演説をも重くしていた。
きっと、この演者は有力な政治家なのだろう。


私はそのものものしい空気から早く離れたくて、
演説者の顔も名前も見ずに、足早にそこを通り抜けた。

ものすごい威圧感。
そして、私は恐怖さえ感じてしまった。
その雰囲気は一瞬、裏街道の人たちの集会かと思わせるような。。。
実際にその人たちの集会の場になんて
居合わせたことはないけれど。

足早に通り過ぎながら、考えた。
「何が似ているのだろう。」

それは、きっと暴力の臭いなのだと思う。
私は暴力に関することが嫌いだから、
一瞬通り過ぎただけなのに、敏感になってしまったのだと思う。

このSPさんたちは、だれかがこの政治家に襲い掛かったり、物を投げたりしたら、
すわ暴力で対応する。
暴力には暴力を、だ。
もちろん、攻撃ではないが、防御という暴力だ。

この何人もの大きな男の人たちは、
いつなんどきでも暴力を使う体勢に入っている。
もう、全身から「すぐにでも力を振るいます」という空気が漲っている。
それも、全員一斉に。

それが、とても恐ろしかったのだ。
日常で、そういう強い空気に触れずに生活しているものにとっては、
暴力を使う人、使える人、使おうとしている人、そして使いたい人は、
みんな似たように見える。
SPという大きな責任のある人も、裏街道の人も、
持っている空気は、私にとってはとても似ているのだ。

腕力(武力も含めて)で何かをねじ伏せようとする場面には
できれば、一生遭遇したくないと思う。
平穏無事、これが最高。

あんなにコワモテのSPさんで周りを固めて、
彼の演説は聴衆の心に入っていくのだろうか。
物珍しくて集まる人もいるだろうが、
話の中身に身が入らないのではないかしら。
たくさんのSPさんを従えなければならない政治家さんも、大変だ。


有名な政治家さんが来るほど、
この駅には人通りが多いということで、
それは街に活気がある証拠。
それはそれで嬉しいけれど、
できるなら、SPがたくさん必要な、そんなえらい政治家さんは、
もっと大きな駅の広場で演説して欲しいなぁ。




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