らっきょう漬け



2013年6月12日(水)

先週末に、らっきょうを漬けた。
らっきょうの塩漬けは、私が唯一我が家で主導権を握って作る漬物。
初めて付けたのが、もう15年以上前になる。

それまでらっきょうは好きではなかった。
それは、甘酸っぱいから。
それが理由で嫌いだったということが、
塩らっきょうを初めて食べたときに分かった。

らっきょうって美味しい。
そう思った。
そして、それから私は同じお惣菜屋さんで、塩らっきょうを買い続けた。

ところがあるとき、そのお惣菜屋さんが急に店じまいをしてしまった。
他に塩らっきょうを売っているお店が、近所に見当たらなかった。
だから、私は自分でつけてみることにしたのだ。

今年も、良い粒のらっきょうが手に入った。
 今年は3㎏買った。
 配達されてから二日たってしまった。
もう芽が伸びている。いけないいけない。
ラッキョウは目が伸びるのが早いから、入手したらすぐに漬けなければならないのだ。
 保存瓶を洗って、天日で干す。
これが良い消毒となる。
 そして、らっきょうの処理。
皮をむく。
一皮むくと、まっしろのピッカピカの肌が現れる。
 とても瑞々しくて、美しい。
皮は、ほんの少しでも萎びていると、仕上がりがぐにゃっとしてしまう。
あのコリッとした歯触りが味わえない。
だから、ここは心を鬼にして、どんどん剥く。
 3kg全部剥いたところ。
そして、頭と根を包丁できれいに落とす。
 これで、やっとつける準備ができた。
 泥や埃を洗い落して綺麗になったらっきょう。
本当に、きれいだ。
 そして、これが剥いたり切り落とした残骸。
3kgあったらっきょうは、2.2kgになってしまった。
2.2kgのらっきょうに対し、3割のお塩を入れる。
今回は、600gをまぶした。
かなり辛い。ここでも惜しんだら、コリッとしたらっきょうはできない。
乾かしてあった瓶の内側を、焼酎を含ませたキッチンタオルで丁寧に拭く。
これも消毒の一環。
そして、らっきょうをすべて瓶に詰めて、ボールの底に残ったお塩も載せて、完了。
皮を剥きだしてから、4時間が過ぎていた。

 瓶にぎっしり詰まったらっきょう。
ここから塩の浸透圧で、らっきょうの汁が外に出てくる。

 右がちょうど去年の今時分に付けたもの。
瓶の半分まで、らっきょうの汁が出ている。
色もすこし黄味がかってきた。
「おいしそ~」と思って、一粒口に入れてみた。
「がらーい!」
そう、たべるためには、水に浸けて、塩出しをしなければならない。
何度も何度も水を変え、3日ぐらい塩出しをする。
そして、やっと口に入れられる辛さになるのだ。

でも、パリッと音がした。
よく漬かっている。成功成功。

実は、私はこの漬物を、今は塩らっきょうを食べるために漬けているのではない。
じゃあ、なんのため?

それは、この辛い汁を摂るためなのだ。
去年、引越しの時に持ってきた、10年以上前に漬けたらっきょうの瓶。
その底に溜まっていた黒い汁を舐めてみた。

「・・・・・おいしい!」

少し甘くてまろやかで、それは上等のお醤油のような味だった。
それを茹でたほうれん草にかけて食べてみた。

「・・・・・おいしい!!!」

らっきょう醤油。

私は去年から、らっきょう漬けをこのらっきょう醤油を作りに変えた。
目的は変ったが、漬け方は同じ。
今年のらっきょうがらっきょう醤油に変るのは、10年後。
私は10年後に美味しいらっきょう醤油を食べるために、
今年もらっきょうの皮を剥いた。
去年漬けたのも、あと9年かかる。
9年後、何にかけて食べようか。

いまからとても楽しみである。




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