湿度



2013年6月24日(月)

梅雨に入って本格的に雨が降り出した。
家の中のすべての紙が湿気を吸って、柔らかくなっている。
新聞紙も広告の紙も、コピー用紙もお札も。

東京の冬は乾燥がすごくて、家中の紙がパリパリしている。
気を付けないと、乾燥した広告の紙やコピー用紙で肌を傷つけてしまう。
梅雨にはそんな心配はない。
すべての紙が、へなへな、くんにゃりしいている。

もちろん、ティッシュペーパーもすごくしっとりしている。
鼻炎の気味がある私は、朝目が覚めると、やたらとくしゃみが出る。
頻繁に鼻をかむ。
会話をしながら、食事をしながら、鼻をかむ。
ティッシュの箱は、家中いたるところにある。

いつもは少し高価な保湿ティッシュを使っているが、
(数少ない贅沢の一つ。だって鼻炎なんだから許してもらおう。)
この時季は一ランク下げたティッシュを使っても、大丈夫。
とてもしっとりしているので、鼻が赤くならない。
大変ありがたい。
そしていつもの保湿ティッシュは、それはもう極上の柔らかさになっている。
梅雨の高い湿度に感謝する、唯一の瞬間だ。


先週のある日。
とても風が強かった。
雨が少し降っていたかもしれない。

蒸し暑かったので、ベランダの窓を少しだけ開けた。
すると、部屋の中でバサバサと音がする。
紙に風があたっている音だ。

紙、紙、、、と、見回した。
どの紙がそんな音を立てているのだろう。

部屋の中にいろいろな紙が貼り付いたりぶら下がっているが、
どの紙からもその音は発せられていなかった。

布の音ではないし、紙、紙、紙、、、

あぁ、これか。
その正体が分かった。
それは、障子紙の音だった。

障子紙がバサバサと風になびく?
いつも桟にぴったりと張り付いている紙が、
なぜバサバサと音を立てているのだろう。

それは、紙が湿気を吸って、弛んでいるからなのだ。
障子紙が弛むぐらいの湿気。
すごいの水分を含んだのだろう。
バサバサバサッ。
これは、梅雨に聞けない音だ。
東京の梅雨の風物詩、というのは大げさだろうか。


日本の家は、梅雨や夏の間、障子紙が水を吸い、
室内の湿度を下げてくれる。
そして冬の乾燥している間は、水を吐きだしてくれる。
いや、障子紙だけではなくい。
障子の桟やふすま紙、柱、
天井、壁、畳など、
すべての建材が水分を吸ったり吐いたりして、湿度を調整してくれる。
紙、木、土でできている日本の家。
やはり家は風土にあったものでできているのだなぁ。

私の居室は純和室。
壁も塗り壁。
すべての建材が、一生懸命水分を吸ってくれているのだろう。
こころなしか、すべてがわずかにたわんで見える。

東京のこれからは、もっともっと湿度が上がる。
私の部屋も、「もうこれ以上、無理です」というぐらいの湿度で満たされる。
少しでも晴れ間が見えたら、窓を開け放ち、空気を入れ替えてやりたい。
涼しい風を障子紙や壁に当ててやりたい。
いつも頑張ってくれている部屋を少しでも休ませてやりたい。
明日の天気は、曇り。
降水確率30%。
大丈夫。
明日は窓を全開にしよう。




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