2023年春 長綿ガーゼストール Ⅲ



2023年4月5日(水)

(Ⅱより続く)

いよいよコットンのストールづくりだ。
まず、糸の在庫確認から。

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そもそもこのストールがなぜそんなに柔らかいか。
10年経っても、肌触りが優しくふんわりしているか。
それは取りも直さず、糸の質にある。

(ここから少し技術の専門的な話になります。
でも、ここがこのストールの肝なので、特に力を込めて書きたいところなのです。
ご容赦ください。)

使っているのはインド原産の長繊維綿。
原綿はその繊維の長さよって、4ランクに分けられている。
繊維が長いほどクオリティが高いということになる。

*短繊維綿(21mm以下)
*中繊維綿(21mm〜28mm未満)
*長繊維綿(28mm以上)
*超長繊維綿(35mm以上)

今回のストールに使う糸はこの中の『長繊維綿』にあたる。
その中でも、特に『スぺリアル』という特級品が使われている。
そのクオリティを作り出すために、
毎年手作業で人工交配が行われているという。
そして収穫時、コットンボールはひとつひとつ手で摘まれている。

広大な綿畑に植わっているコットンは、
通常大きな機械で一気に収穫する。
成熟した綿も未熟な綿も、葉も茎も一度に刈られる。
そのあと別の大きな機械に掛けられ、綿と種と葉と茎が選別される。
が、やはりいろいろ混ざってしまう。

手摘みの綿の良いところは、ひとつづつ丁寧に採取するため、
茎や葉が混入しにくい。
そして綿の長い繊維を長いままに取ることができる。
クオリティの高い糸となる。

またこの糸の別の特徴は、紡績の仕方。
紡績というのは、原綿を撚(よ)って糸にすること。
この原綿はスぺリアルというだけあって、
繊維が長いだけではなく、細くしなやかだ。
なので、より高度な加工に耐えられる。
紡績はインドの工場で行われているが、
日本の綿糸の専門企業によって高い品質基準のもと、厳格に管理されており、
国内紡績と同等の品質を保っている。

紡績の種類には3段階ある。

・カード糸
・コーマ糸
・コンパクト糸

下に行くほど上質な糸となる。
特にコンパクト糸の紡績技術は近年に開発されたもので、
その特徴は表面に出る毛羽が格段に少ない。
それは、紡績工程で毛羽を内側にしまい込みながら糸に仕上げる方法らしい。

今回使用するコンパクト糸の毛羽は、なんと通常の1/6だそうだ。

  通常コーマ糸       コンパクト糸
















コンパクト糸の実力は、その後の工程で顕著になる。
織ったり編んだり染めたりするために、
糸は紡績された後『巻きなおし』という工程を通らなければならない。
普通の紡績では、ここで毛羽が10倍も出てしまうという。

毛羽毛羽というけど、毛羽の何が悪いの?
なぜにそう毛羽を無くしたいの?

毛羽には申し訳ないが、
毛羽はそもそもその生き物(生物・植物)が
外界から身を守るために生えているものだ。
人間の産毛もそれにあたると思う。
その役割上、強いのだ。
どんなにふわふわして優しく見えても、
顕微鏡でみると鱗でおおわれていて、近寄りがたしという形状なのだ。

そして人間の肌はとても敏感だ。
いくらカシミヤだビキューナだと言っても
毛羽がある限り、肌に強く当たってしまう。
(多分。おそらく。ビキューナは触ったことがないので、私見です。)

そこでコンパクト糸を作る機械が登場したわけだ。

長繊維綿。
その中でも『スぺリアル』という特級品を使い、
手摘みで採集された綿花から、
日本企業の厳しい管理のもと、毛羽の少ないコンパクト糸に仕上げたこの糸。
この糸こそが、前回のお客様のお言葉、

「一緒に時を重ねて味のある風合いにしたい」

それを可能にする超超超重要なカギなのだ!

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スミマセン。力が入りすぎました。

閑話休題。
糸は現在も扱われているということで、
すぐに調達できました。

ホッ。



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