2013年12月30日(月)
♪ 探しものは何ですか
見つけにくいものですか
カバンの中もつくえの中も
探したけれど見つからないのに
まだまだ探す気ですか
それより僕と踊りませんか
と、井上陽水さんは歌っているけれど、
陽水さんと踊っていては、やはり探し物は見つからないと思う。
わたしの場合、探し物は、九分九厘「ついおくの彼方」にある。
年末、仕事納め、大掃除。
今、日本全国で、掃除が行われている。
そして、今日明日は大詰め。
明後日には、確実に元旦がやってくる。
元旦と共に福が訪れるらしい。
だから、お正月は、掃いたり拭いたり流したり、ということを
やってはいけないらしい。
福が掃きだされたり、拭われたり、流されたりしてしまうからだ。
私は、掃除が好きではない。
特に、なぜこの寒い時期に大掛かりの掃除をしなければならないのかと、
毎年文句たらたらで掃除をしている。
私が掃除がキライな理由ははっきりしている。
それは、整理整頓が下手だからだ。
だから、ものがすぐに溜まる、散らかる。
整理整頓が下手ということは、どういうことか。
物の納まる場所を見つけたり作ったりする能力に
欠けている、ということだ。
物の納まり場所がないから、
物をついその辺に置く。
その「つい置く」が溜まると、物が地層となる。
そして、下に埋まったものは、長い間日の目を見ないことになる。
元の位置が決まっているものを戻すことすらできないのに、
元の位置が決まっていないものは、
どうしたらいいのか。
しばらくその物を持って思案し、
ウロウロし、
そして、つい、その辺に置いてしまう。
置くときは、
「今は、つい置いている。
けれど、すぐに納め場所を作らなければだめだ。
今は、本当の、臨時の置き場所なんだから。
あとで、必ず置き場所を。。。」と
自分に言い聞かせる。
そして、そのことをすぐに忘れる。
置き場所を忘れるだけでなく、何かを置いたことも忘れる。
そして、後日、意外なとこで意外なものを発見し、
「ふーん、こんなところにも置くのか」と
妙に感心する。
もう一つ、つい置く理由がある。
物を本来納める場所に仕舞う途中でそれが起こる。
何かが目に入ってしまう。
そうすると、「それを仕舞う」という行動の最中であるのに、
もうその新しいことを先に済ませたくなってしまうのだ。
「その方が、合理的だから」と思い込んで。
使ったハサミを二階から一階に戻すとする。
廊下を歩いているうちに、洗濯ものが目に入る。
どうせ一階に行くのだから、これも一緒に持っていこう。
でも、それには、きちんと畳まなければ。
で、最初に持っていた物を、廊下の途中にある
洗面所の棚の上に、つい置く。
そして、途中の部屋に入って、洗濯ものを畳む。
畳んでいる途中で、
「あ、いけない。
これよりも、今日発送するあれを、先にやらなければ。」
洗濯ものは、そこに置き去りにされる。
そして、その発送作業が終わって、
荷物を持って階段を下りる。
洗濯ものも、洗面所のハサミも、すっかり忘れている。
そして、一階でゆっくりとコーヒーを淹れて
母とおしゃべりを楽しむ。
そして、デスクに戻って
「さてと。」
ハサミのことが思い出されるのは、洗面所で顔を洗うときだ。
思い出すのではなく、発見されるのだ。
「あ、そういえば、洗濯ものも」
中途半場に畳まれた洗濯ものが、夕日に照らされている。
たいがい、つい置くは、とんでもない場所である。
せめて、一か所にできればいいと思う。
そう思って、出来る限り、デスク上に置く努力(?)はしている。
とりあえず、デスクの上にさえ探せば、
何時かはでてくるのだから。
部屋中、いや家じゅう探すより、すこしだけ時間が短縮できる。
私のコンピューターの周りには、
小高い山がすぐできる。
そして、山は美しい地層をすぐに形成する。
探し物は、この地層の下の方にある、はずだ。
上がくずれないように、そっとそっと地層をめくりながら、
下を探す。
ほーらね。
やっぱりあった。
探し物は、ついおくの彼方にあるのだ。
陽水さんと踊っていても見つからない。
ついおくの地層の彼方、奥深くにある。
でも、陽水さんは続ける。
♪ 探すのをやめた時
見つかる事もよくある話で
踊りましょう 夢の中へ
行ってみたいと思いませんか?
そう。
少し探しても見つからないときは、
探すのをやめる。
そして、他のことをする。
そうすると、全く期待していないときに
出てくるものだ。
陽水さんと踊るのは難しいけれど、
夢の中に行くのは簡単だ。
だから、私は
ついおくの彼方にも見つからないときは、
寝る。
夢の中へ 夢の中へ
行ってみたいと思いませんか
今も、このノートパソコンのモニターの向こう側には、
小山の赤ちゃんのようなものがある。
この間きれいにしたばかりなのに。
放っておいたら、すぐに立派な山になう。
でも、あすはもう大晦日。
元旦前には、一度更地に戻しておきたい。
小山の上に『福』が舞い降りたら、
福がすぐに転げ落ちてしまうから。
ポーランド南東部のカルパティア山脈に見られる地層 (ウィキペディアより)
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