暴風快晴なり



2013年4月7日(日)


ビルの4階にいる。
外は暴風雨。
と書きたいところだが、
雨はなく、暴風快晴!
日差しが眩しい。
小さい雲も飛ぶように流れて行く。
何の紙だろう。
白い紙が、高速道路の上まで舞い上がっている。

私はこれがニガテだ。
雨なしの暴風のみ。
何と無く、落ち着かない。

これに雨が付けば、大好きだ。
被害が無ければ、台風でもいい。
モノが飛んでこなければ、その中を歩きたいくらいだ。

雨があるのと無いのでは、
何が違うか。

当たり前だが、水分だ。潤いだ。
雨のない大風は、すべての湿気を持ち去ってしまう。
特に東京に住んでいると、冬の間中、ずっと湿度が低い。
春になってヤレヤレと思っているのに、
この強い風は、少しの潤いもかっさらってしまう。

しかし、良く考えてみると、
乾燥が嫌いというわけではない。
むしろどちらかというと、何でも乾いている方が好きだ。
人間関係もガールズトーク(正確にはオバちゃんのお喋り)も、ドライなのがいい。
小さい頃は、洋画の中から聞こえる新聞紙や手紙の音が、カラリと乾いていたのに憧れて、
自分で何度も紙をグチャグチャに触ってみたが、
どうしてもあのカサッとした音にならなくて、
早く外国に行って紙を触ってみたいと思ったものだ。
北陸の田舎の紙は、いつもウェットだ。

では、雨なし暴風の何が嫌なのだろうか。
肌が乾燥して皺が増える?
それはイヤだ。
嫌だが、お肌の手入れを真面目にやってから、天気に文句を言えと言いたい。
お風呂上がりにクリームをベタベタ付けるのが苦手。
朝カサカサの顔を見て、
「しっかたないも〜んね」と
納得済みである。

なのに、雨なし暴風だけは苦手だ。
一日耳栓をして引きこもっていたくなる。

あ! これだ!
耳栓だ。
いや違う。
音だ!
暴風の音が苦手なのだ。

いや、まだ違う。
暴風雨も、音はかなりする。
騒がしい。
でも、雨の音は好き。

何が違うのだろう。

あぁ、そうか。
音じゃなくて、空気が騒々しいのが、いやなのだ。
雨の無い風は、チリもゴミも、
人の気持ちまで巻き上げて、あっちこっちビュンビュン移動させる。
雨が降ってくれれば、
移動するのは空気だけ。
他のものは、下に落としてくれる。
何だかそんな気がする。
モノや気持ちが動き回る騒々しさが、やりきれないのだ。
自分の周りで、自分の意思とは関係なく騒がしく動き回るものが、煩わしいのだ。

フーン。よく分かる。
いや、そうなのだ。
私は周りの動きについて行けない。
特に急き立てられるようなことには、全くお手上げだ。
空っ風は私をこれでもかと急き立てる。
じっくり腰を落ち着けていられないような気にさせる。
気がぞわぞわしてしまう。
誰も、そんなことは言っていないのに。
私が勝手にそんな気になっているだけなのに。


やっと風が少し治まってきたようだ。
窓ガラスがガタピシ言わなくなった。

この暴風が止めば、やっと春がやってくる。
芽吹きの春がやってくる。
最後に一雨、来ないかなぁ。





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