2013年4月18日(木)
私はパソコンに入力する時、
キーボードをほとんど見ない。
俗にいう、ブライドタッチである。
*ブラインドタッチ: キーボード入力を行う際に、キーボード面の文字刻印に頼ることなく、指先の感覚だけを頼りにしてキーを叩くタイピング技法。和製英語。英語ではtouch typing(タッチ・タイピング)という。
私のキーボード歴は、もうかれこれ30年くらいになる。
最初にキーボードというものに触れたのは、
英字のタイプライターだった。
友人が就職した貿易商社で、短期間アルバイトをさせてもらったのだ。
その時担当した業務の一つが、
タイプライターで、書類に英語を打つ、というものだった。
長文ではなく、単語や短文を打ち込むだけだったので、
わざわざブライドタッチを覚える必要はなかったのだろうが、
タイプライターの使い方を教えてくれた人が、
初めからブラインドタッチで使うように指導してくれた。
幼いころピアノを習っていたので、
手首を動かさずに両手の各指だけをバラバラに動かすことに慣れていた。
そして、指にはキーを強く押す力もあった。
なので、私はキーの配列をすぐに覚え、
割と早い時期からブライドタッチで、キーを悠々と叩いていた。
友人はそれを見て、少し驚いていたように記憶している。
その貿易商社のあと、写真の現像所でもアルバイトをした。
その時の仕事に、
現像した写真を入れる紙の袋に、
写真の枚数と単価を印字する、というものがあった。
毎日15:00くらいまでに、その日出荷するすべての袋に単価を印字する。
それをバイク便のお兄さんたちが今か今かと待って、
かっさらうようにまとめて、配達に出発する。
時間に遅れてはいけないので、最後のその作業を
間違いなく、落ち着いて、手際よく行わなければならない。
この時に、私はテンキー(数字のキー)の配列も覚えた。
だから、今でもキーボードのテンキーも、電子計算機のキーも、
すべて見ずに押すことができる。
その後、ワープロ、パソコン、と
いろいろな機種を触ったが、
最初からブラインドタッチを覚えたので、
とても楽をしている。
各機種で、キーの大きさや、固さが違うため
それに慣れるのに少し時間を要するが、
それでも、大体初めからキーを見ずに叩ける。
本当に楽だ。
仕事で初めてコンピューターを使った1990年代中ごろは、
まだオフィスで使われる機種は、マッキントッシュが主流だった。
当時マウスのクリックは右、左に分かれていなくて、一つだけ。
お蔭で、ショートカットをたくさん覚えた。
*ショートカット: キーボードを使ってパソコンの操作を簡単に行うための機能。 キーボードから手を離してマウスに持ち替える必要がないので、文書の編集を行っている場合などに効率よく作業を行うことができる。
使う機種がウィンドウズになっても、
右クリックを使わず、ショートカットキーで行う癖が残っている。
いちいちマウスを持たなくても良いし、
ブライドタッチができるので、更に便利だ。
こうして、私はコンピューターを使うとき、
キーボードを素早いスピードでバシバシ叩いている。
時折、打ち込みたい単語が頭に浮かぶより指のスピードの方が速すぎて、
無駄なキーを叩く。
だから、ミスタッチも多い。
だが、そんなことは気にしない。
Deleteキー、Back Spaceキーをバシバシ叩いて、
どんどん打つ。
私のキーボードの打ち方は、
幼い頃のピアノと同じ奏法だ。
単純明快に、バシバシ打つ。
特に昔のキーボードは重かったので、
今でも音楽で言う ‘f (フォルテ)’ で叩く。
私が奏でるキーボード・ミュージックは、
ほとんどずっとフォルテ音が続く。
間に何度もたたく、『Back Space』キーの音だけは、
転調の前の ‘pp (ピアニッシモ)’ のよう。
短調な音楽に、わずかにメリハリをつけてくれる。
そして、仕上げの『ENTER』キーは、
何か華やかな行進曲の最後の音のように小指で叩き、
「ポーン」とキーから手を浮かせる。
一つの楽章(文章)を終わらせた、という
達成感に溢れている。
私の性格とは真反対に、
かなり強気な音楽を奏でていることだろう。
たとえばこのブログの文章はどんな音楽か、
一度聞いてみたい。
一昨年から使い出したスマートフォン。
これは、キー配列こそ同じだが、ブライドタッチができない。
キーの表面がでこぼこしていないからだ。
これは本当にもどかしい。
短いメッセージなら良いが、ちょっと長い文章になると、キーボードが欲しくなる。
外出先でメールの返信を急いでしなければならないとき、
今はスマートフォンを使っているが、
本当はノート型のコンピューターが欲しい。
薄くて軽くて小さくて、
バッグにそっと忍ばせられるコンピューター、
欲しいなぁ。
でも、カフェや電車の中では、
私のフォルテ奏法は、かなり攻撃的でうるさいだろうな。
今から少しずつ、ピアニッシモ奏法の練習をしなくては。
イメージは、ショパンの【子犬のワルツ】の出だし、かな。
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