2013年9月30日(月)
台風が過ぎ去ってから、東京はとても過ごしやすい日が続いている。
湿度が下がったのが、なんといっても一番気持ちいい。
日が暮れるのがどんどん早くなっているが、
夜が過ごしやすいので、
毎晩でも夜空をずーっと眺めていたくなる。
19日の満月は最高に美しかった。
こんなに美しい9月の満月を、いつ振りに見ただろうか。
翌晩の十六夜も美しかった。
月は15日間かけて欠けていくので、
19日から11日たった今宵は、
おそらくとても細い三日月だろう。
そして、今週末の土曜日には、新月になる。
月は満ち欠けがあるから神秘的なのだが、
30日ごとにしか満月が見られないのは、
ちょっとさみしい。
それに、こんなに夜が過ごしやすいのだ。
一年で一番夜が気持ち良い季節かもしれない。
もっと月夜を楽しみたい。
そこで、我が家では一計を案じた。
と言っても、そんなに大したことではないのだが。
お座敷に掛けてある油絵に、
ちょっといたずらをした。
この絵、実はかなり大きい。
油絵のキャンバスのサイズで、F50号という。
タテ91㎝ × ヨコ116cm。
まったくの素人(父)が描いたものなので、額などに入れてもらえない。
キャンバスのまま、無造作に床の間の壁に吊り下げられている。
でも、こうして親しんであげれば、
絵も喜ぶというもの。
その前に本物のススキなどを活けておくと
より、それらしくなる。
ススキ越しに満月を見上げながら、冷酒を頂く。
より気分は盛り上がる。
月は、色紙をただ丸く切って貼り付けだけのものだ。
少し気になると言えば、
この絵が、雨模様のところだ。
冷たい雨脚に、家路に急ぐ人々、の様子が描かれている。
ここは、東京世田谷区の三軒茶屋というところにある交差点なのだが、
この絵を描くために、私は父に同行して、写真を何枚も撮った。
手前に車が通らない瞬間にシャッターを押すのだが、
そういう時は、必ず横断歩道の向こうに
渋谷行きのバスが止まっている。
父に「バスは要らない。入れるな」と言われるのだが、
バスが居なくなると同時に、手前を車がビュンビュン走る。
こちらもあぶないので、無理はしない。
結局、バス入りの絵になった。
それからしばらく経って、絵が出来あがってみると、
雨降りの絵になっていた。
あら? あの日、雨が降っていたかしらん???
まぁ、どうでもよい。
作者の思うままに描けばよい。
で、作家の意図か、力量か知らないが、
空の色が、丁度暮れかかる空の色に似ているのである。
だから、ついつい黄色い月を貼ってみたくなった。
貼ってみたら、案外しっくり納まった。
毎日見ていると、下で傘を差しているのも気にならなくなった。
もう月がないと物足りないくらいだ。
幸いに作者が文句を言わないので、
ずっと貼ったままにしてある。
月は朝も出ている。
だから、晴天の朝は
薄暗い和室に、朝日が庭から射るように差し込む。
こうなると、何をどう解釈して良いのかわからない。
何かを啓示する宗教画にさえ見えてくる。
三軒茶屋の交差点がスピリチュアルスポットに早変わりだ。
不思議な奇跡が起こりそうな気がする。
今度は、天使でも貼ってみようかしら。
と、こうやって、素人の絵でも、十分に楽しむことができる。
もし作者の許可を得られるのであれば、
このお遊び、かなりお勧めです。
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