ページ

いつやるか。



2013年5月30日(木)

やれやれ、やっと下火になってきたか。

   いつやるか? いまでしょ。

ある塾のCMから人気が出た、このフレーズ。
ラッキーなことに、このフレーズのことを知ったのは、
つい最近だ。
やれやれ、助かった。
もしピークの時に知っていたらと思うと、こめかみがキューッとなる。

このフレーズに背中を押されて、
何か新しいことを始めた人はどれだけいるのだろう。
何百人? いや何千人? それとも何万人?
ことの大小、難易は問われないので、
どんな些細なことでも、新たに始めたとすれば、
それはカウントされる。

このフレーズは、全く正しい。
文句を付け難く、清廉潔白。
そんなフレーズにこめかみを締めつけられている私の方が、
とってもハズカシイ。

かなりの年数を生きて来て、私にも経験してみたいことがいくつかあった。

・スカイダイビングをする。
・インドに旅行する。
・(海の)ダイビングをする。
・スイミングクラブに通って、泳げるようにする。
・ピアノを再び習う。
・etc....

なーんだ、今からでもできることばかりじゃないか。
そう。だから困るのだ。
するのが簡単だ。
いつでもできる。
なのにしない。始めない。動かない。
だから、「今でしょ」が脅迫のように聞こえる。

いつだっていいでしょ。
始めなくたっていいでしょ。
余計なお世話よ。

そう言い返せればいいのだが、
なんだかそうもできない強さが、このフレーズにある。
私のように感じる人は、大勢いるのだと思う。
だから、評判になったのだ。

で、私もそんな「今でしょ」に押されて、
一昨日生まれて初めてしたことがあった。

それは、話題のベストセラー小説を、話題沸騰中に買って読むこと。

今までしたことがなかった。
芥川賞や直木賞が発表された直後にその受賞作を読んだり、
最近では『本屋大賞』というのも人気があるらしい。
そういうのを聞いてすぐに買って読む、ということに
あまり、というか全く興味がなかった。

今回買ってみたのは、村上春樹の新作、
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』。
たまたま立ち寄った書店の店頭にうず高く積まれていて、
私も話題になっていることは知っていたので、
まさしく「今でしょ」に背中を押されて、
生まれて初めてのことをやってみよう、と思ったのだ。
ただ、本当に最後に私の背中を押したのは、
「1800円か。映画を見るのと同じ金額だ。面白くなくてもいいか」という
心の声だった。

去年の今頃、はる希という会社を立ち上げ、
harukiiというブランドを同時にスタートした時、
私は頻繁にインターネットの検索サイトで【harukii】を検索した。
すると、検索サイトは必ず親切に
「harukiではありませんか?」と確認してくれ、
トップを村上春樹さん関係のページ紹介が占めた。
うちのharukiiはいつまでたっても出てこなかった。

だから、村上春樹さんは何となく気になっていた。
そして、いつか読むのだろうな、と思っていた。
そう、今まで一冊も読んだことがないのだ。
あの大ヒットした『ノルウェーの森』も、『ねじまき鳥クロニクル』も『1Q84』も。
どれも長編で、手を出すのが億劫だったのだ。

今回の『色彩を持たない~』も長編だと思っていた。
そうしたら、普通の厚さの一冊の本だった。
ちょっと肩すかしだった。

今まだ読んでいる途中だ。
もう少しで終わるところ。
ストーリーだけを追いかけて読むのだったら、一日で読める。
そういう読み方をすると、時折現れる作者の人生観を読み落としてしまう。
だから、ゆっくり読もうとしている。
もしかしたら、もう一度読むかもしれない。
「なぜ、この作家がベストセラー作家なのか。」
「なぜノーベル賞候補になっているのか」を知るために。
そして、その後、検証のために昔の一連の長編群を読んでみようと思っている。

内容についてはここで述べないが、
実は、一つだけ困ったことがある。
そんなに困る必要はないのだけれど。

それは、せっかく「今でしょ」に従って話題の小説を読んでみたら、
その内容の中に、また再び「いつやるか、今でしょ」と問いかける、
いや、責め寄ってくるものが出てきたのだ。

困った困った。
やっぱり気になる。「いつやるの?」
ベストセラーを買うだけじゃ、やはり許してもらえなかったのだ。
それは、何か。

続きは、また明日。



あれ? もう中古品が出ている。
早いなぁ。






0 件のコメント:

コメントを投稿