続・高揚感 Ⅷ ~大人の男声に...~



2016年2月22日(月)

(昨日からの続き)

いよいよ始まった。
発表会のタイトルは
『スポーツボイス大学院 合同発表会』。

関係者のスピーチのあと、
スポーツボイスの考案者、東哲一郎氏の登場。
白いスーツに白いハット。
スポーツボイスの説明とデモンストレーション。
いきなり会場をぐいぐいとひきつけていく。

   
会場全員参加で、トレーニングの体験。
東氏のノリノリの誘導に合わせて、
腹筋を動かし、声を出し、歌まで歌った。

少しやっただけなのに、
かなりの運動量だ。
じっと汗ばんでくる。
このトレーニングを4か月間、
これから登場するオジサマ達が行ったのか。
これは、巷によくある合唱の練習ではない。
アスリートのような身体づくり、
まさしくボディトレーニングだ。
これは大した合唱だ。
一気に会場が盛り上り、
いやおうなしに期待も高まった。

そして、いよいよharukiiのスカーフを付けて登場するのが、
最初の鎌田地区のチーム。
20名のオジサマ達。


※本ブログやharukiiサイトにて写真を掲載することは、予め皆さんの承諾を得ております。
  写真の無断借用・転載は、固くお断りいたします。


皆さん、にこやかに登場。
少し緊張していらっしゃるかしら。
笑顔が固い方もちらほらと。
白いシャツに、色とりどりのスカーフが映える。
胸にはお揃いのポケットチーフ。
舞台がぱーっと明るくなった。

これから歌うのは
『Fly me to the moon』(フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン)
私を月を連れてって。
フランク・シナトラの歌でご存知の方も多いだろう。
キス・ミーとかダーリンとかアイ・ラブ・ユーなどのセリフがちりばめられた
月夜のラブソングである。
それを、これからこの紳士たちが歌うのである。
それも、原語、つまり英語で。
なんだか嬉しくて、ニヤニヤしてしまう。

前奏が聞こえてきた。
皆さん、身体で拍子を取っている。

『Fly me to the moon』

Fly me to the moon 私を月に連れてって
And let me play among the stars. 星の間で遊ばせて
Let me see what spring is like 木星や金星の
On Jupiter and Mars. 春はどんなかしら
In other words, だからね、
Hold my hand. 私の手をとって。
In other words, つまりね、あなた
Darlin kiss me. 私にキスして。

Fill my heart with song 私の心を歌でいっぱいにして
And let me sing forevermore. ずっとずっと歌っていたいの。
You are all I long for あなたをずっと待っていたのよ。
All I worship and adore. あなただけをずっと恋い焦がれていたのよ。
In other words, だからね、
Please be true. そのままでいてね。
In other words, つまりね、
I love you. 愛しているわ。

※訳: 私 (まちがっていたらごめんなさい)


うわぁ。
大人の男性の声。
束になると、迫力がある。

指揮者の東先生は、
中央の舞台から一段低いところで指揮。
この先生を見つめて、
皆さんリズムを取っている。

 鍛えたお腹から出た声が
束になって会場に広がる。

 少しずつ動きも出てきた。
 自分の月夜を思い浮かべて、
 アイラブユーの気持ちを込めて。

 先生の指揮にも力が入る。
中盤からステップや振りが加わる。
わー、盛り上がる!
会場からも歓声、そして大手拍子が。

皆さんノリノリ!
会場は一つ。
手拍子、スウィング、黄色い歓声。



 最後のアイ・ラブ・ユーを決めたところ。
キャー、パパかっこいい!
 会場から、割れんばかりの拍手。
皆さん、最高にかっこよく、
歌い切りました。
東先生もホッとして。

ポケットチーフを振りながらの退場。
あっという間のFly me to the moon.
ワタクシ、一瞬にして月に連れて行っていただきました。

あとの2チーム、
今井地区と寿地区の皆さんも、
Amagin Grace(アメージング・グレース)、My way(マイ・ウェイ)を
英語でしっとりと歌い上げ、
それはそれは美しかったです。


※この2チームは写真撮影および掲載の許可を取っていませんでした。残念。


それにしても、すごかった。
大人の男性の声の迫力、美しさ。
そして、力いっぱい、全力を振り絞った姿の
格好良いこと。
感動しました。
これは、プロの歌手の方には出せない
そして女性も持っていない
素人の大人の男性だけが持つ
武骨で純粋な美しさでした。

もうね。
皆さん、リタイアとか第二の人生とか、
ましてや○◇防止とか言うのはやめましょう。
皆さん、現役のオトナの男性道、まっしぐらです。

せっかく始めた、正しい発声法による合唱を
これからもぜひぜひ続けて頂きたいと思います。

すばらしい歌を、
皆様、本当に有難うございました。

。。。。。。。

その夜、
東京に戻り、バスから降りて家路を辿る道すがら、
♪ Fly me to the moon,
  la la la la la la la ♪
と口ずさみながら空を見上げると、
雲の間にまん丸い月が。


はい、今日私はそちらへ連れて行っていただきました。
美しかったです。



スポーツボイスは筋肉の正しい動かし方を身体に繰り返し覚えさせ、
歌える身体を作るトレーニングです。詳しくはこちらをご覧ください。 〉〉〉

スポーツボイスの開発者、東哲一郎氏の
アーティストとしての活動は、こちらをご覧ください。〉〉〉

お使い頂いたストールは、【ぼかし染シルクカシミヤストール Mini】。

高揚感 Ⅷ ~大人の男声に...~



2016年2月21日(日)

久々の『高揚感シリーズ』のブログ。
今回は、どこかの動画や写真を引っ張ってきて紹介するのではなく、
私が今日、この目と耳で体験したことです。

。。。。。。。。


昨日あった集まりで
「明日、いま話題の松本に行くんです」と話したら、
「おー、真田丸か」
と言われた。

そうか。
今は『真田丸』もあるのか。
「あ、真田丸は上田か」と先ほどの御仁。
そうか。
真田丸は上田なのか。

歴史にも大河ドラマにも疎いわたしにとって、
今、長野県松本市と言えば、
世界のセイジ・オザ~ワ!
アメリカのかの有名な音楽賞、グラミー賞の中で
最優秀オペラ・レコーディング賞を受賞した
小澤征爾司氏。
そして、そのオペラが上演されたのが、
2013年に開催された『サイトウ・キネン・フェスティバル松本』
なのである。

つい先日発表されたばかりのこのホットでハッピーなニュース。
俄かクラシックファンであるわたしにとって、
今松本、と言えば
何といっても、セイジ・オザ~ワ、なのである。

世界のオザ~ワとグラミー賞のニュースが駆け巡り沸き立つであろう松本市に
こんな旬なタイミングで行く用事があるとは、
何というシアワセ。
それも、その用事が男声合唱の発表会を聞きに行くというもの。
音楽、オンガク、ミュージック♪
こんな偶然、こんな幸運があるであろうか。

しかしなぜ東京から2時間かけて、
朝7:00新宿発のスーパーあずさに乗り、
車中駅弁まで平らげて、
松本の男声合唱の発表を見に、
いや聴きに行く必要があったか、、、。

それは、カクカクシカジカ、ウンヌンカンヌンで、
その発表会の一つのチームに
harukiiのスカーフを衣裳として貸し出すことになったためである。

そして今朝10時。
降り立ったのは、JR東日本大糸線の島内駅。
松本駅から二駅目。
おめかししたご婦人たちが数名一緒に降りていく。

会場は『ザ・ハーモニーホール』。
駅の目の前にある。
木立の中の文化的な建物。
この中の小ホールで行われる。

空は快晴。
遠くの山並みの稜線もはっきり見える。


油断した。
松本駅からタクシーで来ればよかったか。
会場はもうすでに人で溢れていた。
空いている椅子が見当たらない。
会場整理の人が、
「もう一列椅子を増やすか」と
相談している。

運よく、最前列から二列目。
関係者席の脇にちょうど二つ椅子が空いていた。
一緒に行ったコンサルタントの友人と
椅子取りゲームのように椅子を確保した。

ここからなら、充分に見られる。
そして、写真も撮れる。
安心して後ろを見回すと、
通路も入口も、
もう人が動けないほどになっていた。

これから始まる合唱は、
すごく楽しく温かなものになるに違いない。
それはこの観客の多さを見れば、
約束されている。

ところが、私が目にし、耳にしたものは、
想像を超えていた。
胸にズンと飛び込んで来たのは、
大人の男達が発する純粋で美しいエネルギーだった。





泣くことの効用



2016年2月3日(水)


「なぐごはいねが~!」 
「なぐごはいねが~!」

な、なんですか。 あなた、いったいなんですか。

「なぐごはいねが~!」
「なぐごはいねが~!」

泣く子なんていませんよ。
うちには子供はおりません。
泣く人間もおりません。

「泣がねのか?」

泣きません!

「ほんとに泣がねのか?」

泣きませんよ。
なんで泣くんですか?

「泣がねのか。泣ぐのはいいぞ。」

えぇ?

「泣ぐことの効用って、しってっか?」

泣くことの効用?

「泣ぐと血液中のACTH、つまり副腎皮質刺激ホルモンが減るんだ。」

はぁ?

「このACTHはストレスホルモンとも言われてな。」

はぁ。

「泣ぐと涙と一緒にストレスが外に出ていぐんだと。」

はぁ。

「泣がねのか?」

うーん、まあ、そうですねぇ。
あ、あくび!
あくびで泣きますよ。
あくびするときは、だらだらと涙が出ます。

「そうか。泣くか。」
「んだら、なくごはいねか~。」

ちょっとあなたねぇ、赤鬼さんでしょ?

「ん?」

赤鬼さんでしょ?
何をなまはげの真似してるんですか。

「あれ? ばれちゃった?」

ばれちゃったもなにも、今日は節分でしょ?
だから出てきたんでしょ?

「そうです。」

なまはげの真似しちゃダメでしょ。

「そう、、、ですか。」

そうですよ。だめですよ。

「寒くてねぇ。」

えぇ?

「ほら、裸でしょ?
 もう寒くて寒くて。
 寒いのに、豆ぶつけられて、外行けそと行けって追い出されて。。。」

、、、、。

「なまはげさんたちは、あったかい家庭に招き入れられて、
 うらやましいなぁと、常々思っていたんですよ。」

はぁ。なるほど。
そういえば、そうねぇ。それはつらいわよねぇ。
私も寒がりだから。
あ、もうちょっとこっちへ来ます?
ストーブ、買い替えたばかりなんですよ。
あったかいですよ~。

「え? いいですか? ありがとうございますっ!」
「はぁぁぁぁ。 あったかい~~。」

もっともっとこっちへ。ここへ座って。

「はぁぁぁぁ。すみません。もう冷え切っちゃって。」
「あ、これ、もしかして。」

え?

「これ、もしかして、おいしいおいしいお米のジュース。」

あ、赤鬼さん、その赤ら顔はもしかすると。

「えへへ。」

イケる口ですね?

「はぁ。目がなくて。」

どうぞ。いいですよ。
いっぱいやっていって下さい。あったまりますよ。

「んまい!」

純米吟醸です。
大吟醸じゃないけど、すっきりしておいしいですよ。

「んー! うまい!
 すっきりしてますね~。 新潟ですか?」

ええ。わかります?

「わかりますよ。新潟の酒ですよ。」

もういっぱいどうぞ。

「すいません。
 いやぁ、あったまりますね~。
 もう、いつも寒くて寒くて。
 仕事だから出てこなくちゃいけないですけどね。」

へぇ、どこから?

「鬼が島ですよ。鬼がうじゃうじゃいますよ。
 ボクは仲間の中でも、とりわけ寒がりで。
 総務にダウンの肉襦袢つくってくれって頼んでるんですけど。
 だめだって。
 肉体美が売りなんだから、裸じゃないとだめだって。」

「そもそも鬼になんて生まれたくなかったですよ。
 嫌われるし、寒いし。」

あれ? 赤鬼さん、絡み酒?

「絡みたくもなりますよ。
 なんで大寒のあたりが節分何ですか。
 一年で一番寒いじゃないですか。
 南半球で生まれたかったですよ。
 ハワイでもいいですけどね。」

、、、、、。

「今年は世田谷一円に行けって。
 東京も十分寒いですよ。
 こないだは沖縄にも雪が降ったっていうじゃないですか。
 もう、どうかしてますよ。」

そうですねぇ。赤鬼さんも、大変ですねぇ。

「わかってもらえます?
 わかってもらえますぅ?
 およよよよ。。。」

あれ、こんどは泣き上戸?

「だって、優しいことばなんてひさしぶりですもん。
 もう泣けて来て泣けて来て。」

ちょっとちょっと。

「お~ん、お~ん。」

もう、赤鬼さん!

「お~ん、お~ん。」

もう、赤鬼さん!
なぐごはいねがー!

「あれ?」

------------

その後赤鬼さんは、福豆ならぬミックスナッツをお土産にもらい、
すっきりした顔をして町の中へ戻っていきました。
めでたし、めでたし。

お。し。ま。い。

※方言監修はしてございません。あしからず。