2015秋 色を選ぶ Ⅰ



2015年7月18日(土)

今年の秋の初めに出そうと思っている、
薄いシルクウールのガーゼストール。

幸運なことに、こんな時期にまだサンプルつくりをしている。
今年の秋ものなら、
3月にはサンプルを作っているのが普通だろう。
わが社の規模では、
一般の企業のようなサイクルでまだ動いていないので、
シーズン直前まで企画生産ができる。

今年も、夏は猛暑になるという。
いつまで残暑が続くのだろう。
それでも、お盆を過ぎると、
どんなに暑くても、風は秋を運んでくる。

刷毛でさっと拭いたように、
秋風が通り過ぎたとき、
今年の人たちは、どんな色を身に纏いたいだろう。

これから来る猛暑を想像し、
そして、それに疲れた肌を想像し、
その肌を労わる肌触りと色を想像してみる。

熟したアケビのような色だろうか。
深く静かな湖の色だろうか。
それとも、色褪せた写真のような色だろうか。

だけれど、こんな連日の雨降り、曇り空では、
なかなか想像力が働かない。

だから、
今日のような梅雨の晴れ間を待っていた。
やっと晴れた。
今日は、一日晴れるらしい。
今日色を決めよう。
今日を逃したら、また数日あと延ばしになる。
今日色を掴まなければ。


目の前に、海のように広がる色。
その中から、今年の秋の色を掴み取る。
テーマは決まっている。
そのイメージをしっかりと持って、
陽が傾く前に、色を掴み取らなければ。

大切な時間は、あっという間に流れてしまう。
いそいで。
そして、慎重に。
そして、何より、楽しんで。






梅雨の景色



2015年7月9日(木)

梅雨は湿度が高くて、
案外寒くて、
決して好きとは言えないけれど、
こういう景色が目の前に広がっていると、
ああ、湿度の高い国に住んでいてよかった、と思う。


この真っ赤な花は、サルビア。

本当は、もっと鮮やで華やかな赤だけれど、
パソコン上ではうまくその色が出ない。
この花も、額の黒と花弁の青紫が、
もっと深くしっとりした色だった。
目の奥では、覚えている。

とりあえず、記録のために撮った写真。
いつか、何かの役に立つかしら。

でも、一番記録に収めたかったのは、
この空気の湿度かもしれない。

もうすぐ、梅雨明けだろう。