竹の花が咲いた。



2015年6月24日(火)

我家の玄関に、細い竹が植わっている。
生命力の強い植物なので、
手入れをしなくとも、よく繁る。

わっさりと繁るたびに、
母がバッサリと切る。
しかし、その後からあとから、
新しい葉が出てきて、
すぐにわっさりとなる。

今朝、母が
「カメラ持って来て」という。
「竹の花が咲いている」というのだ。

「60年に一度しか咲かないのよ。」

どれどれ。

ふ~ん、これが花かしら。
竹の花なんて、初めて見る。 
お米の花に似ているけれど。
竹に花が咲くことも、知らなかった。
花が咲くなんて、考えたこともなかった。
近付いてよく見ると、
細い細い竹のような茎(?)の節から
か細い花がつり下がっている。
咲いて、種を付けるのかしら。
ハチや蝶は寄ってくるのかしら。

この場所に植えられて、40年くらい経つ竹。
なぜ今年咲いたのだろうか。
生まれて60年経ったのだろうか。


奇しくも、かどうか分からないが、
今日は父の誕生日。
二年前の夏に身罷ったが、
生きていれば、八十八歳、米寿である。
父の米寿の誕生日に、
お米の花のような花を咲かせて、
我家の竹も、祝ってくれているのであろうか。

竹は、種類にも依るが、
60年に一度の花を咲かせて、
そのあと、株はすっかり枯れてしまうという。

我家の竹は、どうするのだろう。
この夏、またわっさりと繁るのだろうか。
それとも、これを最後に、逝ってしまうのだろうか。




今年も咲いてくれました。



2015年6月3日(水)

水の季節に入ってきた。

毎年この時期になると、
我家の狭小庭(隣家との隙間と言った方が正しいか)の
そのまた片隅に、
必ず咲いてくれるこの花。


今朝は早くから雨が降り出し、
水に濡れそぼっていた花を
無理やり引っこ抜いてきた。

ムラサキカタバミ

本当は、そのまま地面に植わっていたかっただろう。
その場で咲き切って、花びらを落し、その後たくさんの種を宿し、
来年のために新たな命を撒き散らしたかっただろう。

分かってはいるけれど、
どうしても毎年抜いて、身近に持って来てしまう。
毎朝毎晩、ちらりと目をやり、
そこにあることを確かめたくなる。

一生の中で、知る花の数は少なかろう。
そのなかで、「世界で一番好き」と言ってしまうのは
多少勇気が要るが、
それでも、それだからこそ、
この花と出会えたことの幸運に感謝する。

太陽の十分な光がないと、開かない花びら。
今日は全員下を向いている。





それぞれが、それぞれの方向を向いて、
何を考えているのだろう。

明日になると、太陽が出る。
そうしたら、皆一斉に光を求めて顔を上げる。

陽が出るとそちらを向き、
陰ると花びらを閉じて、安息の時間に入る。

そんな単純な、
そして、可憐で、力強いこの花が、
世界で一番好きだ。



(一昨年も、熱く語っていました。)