カサリ



20151年2月6日(金)

以前にも書いたかもしれないけれど、
冬に好きなことが一つだけある。

それは、紙の音。

空気が乾燥して、紙がカサリと軽い音を立てる。

幼いころ、テレビで見た外国映画。
手紙の封筒をペーパーナイフで開き、
中から取りだした便箋を開く時、

カサリ。

新聞紙をおもむろに開く。

カサリ。

その音が身の回りに無くて、
何度も家の新聞紙やノートや教科書を開いたりカサカサ触ったりしたが、
あの音は出ない。

あの乾いた、軽い音に憧れた。

どうして日本の私の生活では、
紙があの音を立てないのだろう。

きっと湿度が違う。
そして、録音状態が違う。
私は北陸で幼少期を過ごした。

後年、実際に外国に行って、あの音がしたかと言えば、
よく覚えていない。

でも、今、私は東京にいる。
そして東京の冬は乾ききっている。

あの洋画の音とは違っているが、
それでも、かなり紙の音は軽く乾いている。

カサリ。カサリ。
カサカサ。カサリ。

乾いて、軽くて、
そういうものに、心惹かれる。





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