小さい日本なのに、こんなに違う。



2015年2月15日(日)

急に用事ができて、金沢に行くことになった。

日本海側の連日の降雪のニュースで、
想像できないくらい寒いと想像する。
天気や気温を調べてみる。
午前中は雨または雪。
0℃から6℃。

いったいどれぐらいの防寒をしていけばよいのだろう。

雪国用の防寒具は持っていない。
そのため、考えたのが、
例のウールコートと例のロングダウンコートの重ね着。

実際やってみると、温かい。
なんとか着られる。
ちょっと肩のあたりが窮屈だが、
暖かさには代えられない。

身体全体がふかふかして、
動きも緩慢になり、
なんだか人気のベイマックスになった気分だ。

上越新幹線に乗り込む。

   国境の長いトンネルを抜けると、雪国であった。

越後湯沢に向かって清水トンネルに入る時、
多くの人がこのフレーズを心の中で暗誦するのではないだろうか。

本当に、誇張ではなく、トンネルを抜けると景色が一変する。
そのことは経験から分かっている。

ああ今日もこの数分後には、
目の前に雪景色が広がっているのだろうな。

経験と想像力を総動員して、雪景色を思い描く。
ところが、そんなものは一瞬のうちに冷凍保存されるほど、
今日の景色は圧巻だった。

こんなことって、あるのだろうか。
たった数分で、身も心も
真冬の豪雪地帯に引きずり込まれた。

越後湯沢の駅前。



小学校の時、よく窓の外を眺めていた。
空から落ちてくる雪が埃のように薄汚くて、
目の前を通り過ぎた瞬間、純白に穢れの無いものになっていく。
それが不思議で、いつまでも眺めていた。

この雪景色を目の前にして、
私は『春』の意味が、ここに住む人たちと私とでは、
圧倒的に違うことを思い知る。
私は東京で春が来るのを待っている気になっていたが、
実はとっくに来ていたのだ。
東京には花が咲いている。
太陽の光が輝いている。

この地に来る春はまだまだ先のようだ。
でもその時がきたら、すべてが濃く豊潤なのだろう。
お花見の本当の喜びは、厳しい冬を越した人々にしか
わからないのだろう。

所変わって金沢。
来てみると、この通り。
すでに南からの青空が広がっていた。
 駅は北陸新幹線一色。
 昨日の乗車券発売はすごかったらしい。
夕方、日本海側に沈む夕日を車窓に見ながら
帰途に就いた。

東京に着くと、こちらは一日暴風が吹き荒れたらしい。
ホームにはまだその名残りが吹いており、
思わずコートのボタンをすべて掛け、
ダウンコートのフードをかぶった。
金沢よりずっと寒かった。

数時間で、何か国もの旅をした
そんな一日だった。






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