実は、自己評価は高いのです



2013年4月20日(土)

Dove(ダヴ)という基礎化粧品のブランドが作った動画を見た。
132万人の人が見ているという。
タイトルは、『Dove Real Beauty Sketches』(ダヴ、本当の美しさのスケッチ)。

動画の中で、ある実験をしている。

熟練の犯罪捜査似顔絵師が、数人の被験者(女性)の顔を書く。
女性は一人ずつカーテンの向こう側に座り、彼はその女性の顔を全く見ない。
女性は、彼の質問に答え、自分の顔の各部を一つ一つ説明する。
彼は、その答えを頼りに、女性の顔を描いていく。
そして、絵が仕上がると、
彼らはお互いの顔を確認しないまま、女性はその場を去る。

次に、被験者の女性たちを、それぞれ赤の他人に会わせる。
彼らは、同じようにその似顔絵師に先ほど初めて会った被験者の顔を
説明する。
そして、似顔絵師は再びその証言に基づいて顔を描いていく。

つまり、一人の被験者について、二枚似顔絵が仕上がっていく。
本人が自分について説明したものと、他人が説明したもの。
最後に似顔絵師と本人が、その二枚を見比べる。

どの絵も、明らかに他人による説明に基づいた絵の方が、
魅力的に仕上がっている。
私は捻くれものなので、この実験をすべて信じてはいない。
私企業の広告のための作られたフィルムである以上、ストーリーと演出があるはずだ。
広告ではなかったとしても、
ドキュメンタリーフィルムと銘打っているものにも、
必ず演出が施されている。

そのことをすべて踏まえての感想だが、
私たちは、自分の顔について、否定的に説明する傾向がある。
『私たち』の範囲をどこまで広げていいのかは、よく分からないが、
『情報量の多い国に住む者』と言っていい気がする。

この動画の女性たちのように、
ただ目の形を説明するのに
「小さくてちょっと離れていて、、、。」
そこに「小さくて粒らで、可愛いんです」というような
肯定的な形容詞をいれる人はごく稀であろう。

そして動画の中では、赤の他人が同じ部位を説明するとき、ナイスだのキュートだの、
良い形容詞を頻発して説明している。

そして仕上がってきた似顔絵には、格段の差ができているのだ。
この実験(演出?)は、対象が女性限定で、それも顔の見た目についての認識を確認したものだ。
だが、もし対象を男性に広げ、性格を表現させても、
なおかつ純粋に、厳密に実験をしても、
似たような結果が出るのではないだろうか。

つまり、私たち(同上)は自己評価が低い。
他人は自分が思うほど、そんなに悪く思っていないぞ、というもの。


ここで、ちょっと思い出したことがある。
一年半ほど前、今の仕事を始める準備をしていたころ。
準備と言っても、まだ何も具体的ではなく、
何をどういう風にしたら、仕事が始められるのだろうと、
暗中模索していたころ。

自分に自信を持ちたいと思っていた。
そんな時に、
『自分のすきなところを50個挙げる』という課題に会った。
誰に見せるわけでもないそのリストを作れば、
自分への評価を見直すことができるという。
どんなことでも、起業のためにはやってみようと足掻いていた時だったので、
リストを作ってみた。

難しいだろうと思って始めたが、
やはり50個というのは多い。
ごくごく些細なことを含めても、なかなか埋まらない。
一年半ぶりにそのリストを見てみたが、
うーん、よくここまで挙げたな、と思う。
今見ると、いくつかは削除したくなるくらいだ。
そして、結局47個までで止まっている。
あと3つがどうしても埋まらなかったのだ。

しかし、これを見ると、実はなかなか自己評価は高いということが分かる。
普段の自己認識は、Doveの動画のように、
あまり高くない気がしているが、
実は心の奥の方では自分を認める自分が隠れている。
それも、そんなに深くないところに控えている。
意識をコントロールする訓練をすれば、常に自分を高く評価していられる気もする。
実際、この47個をやってみて、
自己評価は少し上がった。
だから、起業するエネルギーも出た。

そして、今あらためて考えてみると、
50個も良いところを知っているのは、自分自身しかいないと思う。
親兄弟姉妹、夫、妻、子供など、
どんなに近しい間柄の人間でも、
50個も挙げてくれないだろう。
私だって、自分以外の誰のことについても、
50個も良いところを挙げることはできない。

そして反対に、自分の気に入らないこと、悪いところを
50個挙げてみよと言われたら、どうするか。。。

私にはできません!
やらない、やらない。
3つ考えたところで、落ち込んで、塞ぎ込んで、 寝込んでしまう。
そんなことは、日常、ばらばらと考えたり思い知らされるだけで十分。
自分もだれも幸せにはならない。
だから、やらない。やりませんっ!


この良いところ50個(47個)のリスト。
時々見直してみることにしよう。

そして、コンピューターが使えない歳になったら、
きっちり削除して、誰の目にも触れないようにしよう。
リストはあの世に持っていく。
誰にも見せない。
削除して天国に持っていくその日まで、
あと3つ、いやあと50個でも、
これからどんどん増やしていこう。


Doveの動画は、こちらをご覧ください。 >>>

全編英語です。
演出臭たっぷりと思って見ても、
その演出意図には感謝できます。
見て損のない、良い動画だと思います。
日本のユニリーバさん、ぜひ字幕を付けて下さ〜い。





0 件のコメント: