4月1日の勇気




2013年4月2日(火)

昨日は、一年で一度、大手を振って嘘をつける日。
そんな貴重な日であるのに、
私は未だかつてそれを利用したことがない。
毎年気の利いた大法螺を吹きたいと思っているが、
気の利いた大法螺を思いつくセンスがない。
今年もダメだった。
来年こそと、今からネタを仕込むつもりだ。

もうずいぶん前になるが、
飛行機の国際線に搭乗中に読んだ、
新聞に載っていたコラムがとても面白く、
今でも印象深く記憶に残っている。
エイプリルフールとは関係のない内容だったが、
ジョーク、という点でとても感心した覚えがある。

どんな文章だったか、インターネットで調べてみると、あるある。
当時その文章を読んだ人が数名、原文をブログに載せていた。
インターネットは本当に便利だ。

2006年2月25日の朝日新聞の記事だったらしい。
今から7年も前。
もうそんなに経つのか。

書き手は、コメディアンのパックンこと
パトリック・ハーランさん。
全文を書き写したブログがあったので、
そこから拝借する。
(いくつかのブログの転載文章を比較し、
みな共通していたので、
おそらく朝日新聞の原文のままだと思います。)

**********
日本人は真面目だね。
行動は丁寧だけど、遊びがちょっと少ないかもしれない。
でも、大豆商品の食べ過ぎのせいか、
僕も最近日本人の感覚に近づいているらしい。
今は逆にアメリカに帰るとそのストライクゾーンの広さに
とてもびっくりする。

先日驚いたのは米国内線の機内アナウンス。
離陸前に副機長のアナウンスが普通に始まったが、途中で変な方向へ。

「ポン! シートベルトは緩まないようしっかり締めておいてください。
下っ腹のお肉に食い込むくらいでちょうどいいのです」と。
乗客がちょっとざわめきだした。
アナウンスは続く。

「荷物は前の座席の下、または頭上の棚にしまってください。
なお、上に入れるものは20キロまたは4歳までとなっています」。
この時点で、彼の冗談に気づいた乗客が上機嫌で笑う声が聞こえる。

さらに続く。
「まもなく離陸します。
携帯電話を持っている方は必ず電源をお切りください。
機長のペースメーカーが心配です」。
ここで、この飛行機はライブ会場と化した。

飛び立った後も
「機長がシートベルトサインを消しました。
どうぞご自由になさって下さい。
本日は空席もあるので、
近くの窓側の席が空いていたら、どうぞ移動して下さい。
ライバル会社から満席に見られるよう、ご協力お願いします」。

そして、「ご存知の通り、弊社は今、倒産中ですので、
こうした戦略をとっています。
もう一つ、赤字対策として、誰かクレジットカードを貸していただけますか?」と、
フリートークに発展していった。
着陸したら、僕も弟子入りを申し込もうかと思うぐらい面白かった。

でも笑いながら、「仕事でそんなにふざけちゃだめだろ」と
心の中の日本人がつぶやきだした。
やはり『出る杭は打たれる』精神になっているのだ。
外国人で芸人である僕が12年でこうなっているのだったら、
日本で育ったみんなはその何千倍もまじめだろう。

もちろんそのお陰でサービスも丁寧だし、
頼り甲斐もあり安心できるわけ。
でもちょっともったいないかもしれない。
仕事でも遊びでも、人生は楽しいものであるはず。
周りをそこまで気にせず、もっと気楽に、自由に、
自分ならではの生き方で生きられるともっと充実するのでは?
心の中のアメリカ人はそうつぶやく。
**********

こんな大胆なアナウンス、パックンが言う通り、
絶対に日本ではあり得ない。
もしあったら、大問題に発展する。
座席の上の手荷物入れに、4歳の子どもまで入れていいなんて。。。
それも、倒産中の会社の社員が言っているなんて。
本当にびっくりしちゃう。
ないない。
私にはこんなことを言う勇気はない。

でも、これくらい、大問題に発展させず、
ジョークで終わらせる寛容さが、
私たち日本人にもほしいなと思う。
これ、もっと軽く、ソフトにしたものを、
病院でやってくれたら、患者さんたちも楽しいのではないだろうか。



「ピンポンパンポーン♪
入院中の皆様、お食事中失礼いたします。
当病院の院長です。
いつも当病院にご入院下さり、まことにありがとうございます。

本日4月1日、午後3時より、当病院毎年恒例の
「美人ナース・コンテスト」を行います。
入院している皆様全員が審査員となりますので、
皆様ふるってご参加ください。

なお、ベッドから起きられない患者さまは、
ぜひナースコールで、ご推薦のナースの名前を
ナースセンターにお知らせくださいませ。

優勝したナースは、一年間、
各病棟の配膳係りとして、皆様にお食事をお配りいたします。

現在、当病院は老朽化による建て直しを計画しております。
耐震審査の結果、
「あらら、これはちょっと」と言われ、
早急な建て直しを迫られておりますところですが、
今少~し、資金が足りない状態でございます。
いえ、ほんの少~しでございます。

もし、窓側で空いているベッドがございましたら、
ぜひそちらにお移り下さい。
ベッドからお立ちになれる患者さまは、
ぜひ窓にお立ちになり、外に向かって手など振って下さい。
皆様の笑顔で、
目の前にございます大手投資会社から、
資金を調達できることでしょう。
なにとぞ、皆様のご協力をお願いいたします。


それから、明日より一か月間、
新たなキャンペーンをいたします。
お友達をご紹介くださった患者さまには、
ご夕食にビールを一本お付けいたします。
また、そのお友達がご入院された場合は、
抽選で五名様を、
医師用の食堂にご招待いたします。
塩分たっぷり、カロリー過多のお食事をお楽しみいただけます。
どうぞ皆様、この機会をお見逃しなく。
ピンポンパンポーン♪」


私が入院患者だったら、
こんな病院好きだなぁ。
でも、その時の体調によるかしら。

どこかの病院の院長先生。
どうぞ、来年は勇気をもって。
4月1日に上記のアナウンス、
ぜひお使いください。






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