神田古本まつり



2012年10月31日(水)

昨日、紙を選ぶ用があって、神保町に行った。
折しも、古本祭りの真っ最中。
平日だというのに、歩道は人でごった返していた。



老若男女様々な人がいて、思い思いの本を開き、
皆が皆、その中に没頭している。
お客も店主も、みな本の中に吸い込まれている。

この人たちの脳の中には、どれだけ大きな世界があるのだろう。
それはきっと、広くて深い世界。
色があるのかないのか、現在なのか過去なのか未来なのか。
どれだけ多くの文字や言語が踊り、
音や映像が映し出され、思考や感情が渦巻いているのか。
本を開く人は、皆その世界に入り込んでしまって、出てこない。

人の数だけ世界がある。
そう思うと、私が見ている世界はたった一つの世界。
他人はまったく違う世界の中に生きている。
そういう一人一人と共生するは、実は大変なことに違いない。
だが、その大変なことを大変と思わず、
当たり前に共同で生活したり、日常的に何かを生みだしている。
人間って、やはり計り知れない能力を持っていると思う。


これだけ多くの人がひしめいているのに、
神保町の古本祭りは、音のない静かなお祭りだ。
皆がそれぞれ、本と自分の一対一の関係の中で、
お祭りを楽しんでいる。
他人と共有しないお祭り。
脳みその中だけで楽しむお祭り。

私はその脳の海の中を、少し息苦しさを感じながら、
急ぎ足で通り抜けた。




東京の朝



2012年10月30日(火)

別府と福岡はたった三泊四日の旅だったが
カルチャーショックは、もしかすると外国を旅するよりも
大きかったかもしれない。

どんな旅だったをまとめることなんてできない。
多分、見たり聞いたり感じたことが
だんだん皮膚から浸透して
中の細胞と化学変化を起こして
それがいずれ脳に伝わり
何かが変わるのだろう。



福岡から羽田へ



2012年10月29日(月)

17:30発JAL326便。
この飛行機で戻ります。

いい旅でした。


ホテルの朝



2012年10月29日(月)

今日のスタートは一杯の冷えた牛乳から。




天神は花曇り。


福岡にて



2012年10月28日(日)

途中で少し渋滞があったものの、
無事に天神に着いた。
駅のまわりは原宿にいるよう。

こじんまりとしたホテルに収まって
水を一口。二口。もう一口。

今夜はこれからどんな美味しいものを食べに行くのだろう。
約束の時間まで、一休み。


別府から天神へ



2012年10月28日(日)

別府は私にとって外国だった。
別府に限らない。どこだってそうだ。
京都も大阪も名古屋も札幌も。
私の浸っている文化圏は小さいものだ。
少し離れれば、何もかもが少しずつ違う。
言葉は通じても、感じることが違っている。
空気が違う。気が違う。
だから時々旅に出るのは興味深い。

別府を離れ、高速バスで福岡市天神へ。
快晴。
福岡で私は何を感じるのだろうか。


湯布院



2012年10月28日(日)

今年は紅葉が見られないかもと思っていたが、もうここでは始まっていた。
幸運。

手作りウェディングケーキ



2012年10月27日(土)

イギリス人の新郎が白い紋付袴で通した結婚式と披露宴。
日本の流儀に則ってくれたお返しに、ウェディングケーキは、花嫁のご友人のお手製によるサプライズ。
英国のユニオン・フラッグ。
(船上の英国旗のみ『ユニオン・ジャック』と呼ぶように決まったそうです。)

笑いと涙と愛情溢れる披露宴でした。

セルフ ポートレート #2



2012年10月27日(土)

宴席まで90分。
何をしよう。

セルフ ポートレート #1



2012年10月27日(土)

準備完了。
宴席を待つ。

別府の街



2012年10月27日(土)

婚礼の日の朝は、町の散策で始まった。

ここは【鉄輪】と書いて「かんなわ」と読む場所。
あちこちから立ち昇る湯けむり。
古い郵便ポスト。
足湯。
写真を撮る花婿の父と兄。
街に溢れる硫黄の匂い。

あー、画像のアップロードの仕方がわからない。
みなさん、ゆで卵に鼻をくっつけて、
その匂いを嗅ぎながら、
大体を思い描いて下さい。




九州の旅



2012年10月26日(金)

今日から九州への旅に出る。

羽田→大分→福岡→羽田。
3泊4日の旅になる。

大分は別府にて若い友人の結婚式。
福岡は東京からの友人と合流し、市場調査。
可能なら、営業も少しする。

若い友人は、もっと彼女が若いころ、
空手の名手だった。
県の大会で優勝したこともある。
きっと、喧嘩をしない方が良い相手だろう。

でも、そんな心配はない。
彼女は明るく優しくいつも穏やか。
憤慨はすれど、怒ったところは見たことがない。

もちろん、体中にエネルギーが漲っていて、
ことあれば、すぐさまそれに対応する。
自分の思った通り、信じるとおりにまっすぐに行動する。
別府で生まれ育ち、イギリスで勉強し、東京で働き、大阪でまた勉強し、
そして今また別府に戻り、仕事を続けている。
目指すところはずっとぶれていない。

イギリス時代に知り合ったボーイフレンドと
ずっと何年も遠距離恋愛を続けた。
生活を共にするベストなタイミングが来るまで、
お互いに辛抱強く待った。
そして、自分を磨き続けた。

やっと二人が一緒になる時が来たのだろう。
結婚するという報告を受けたのが、8月の初め。
大好きな友人だ。
披露宴のご招待は、二つ返事でお受けした。

彼女はこうと決めたら、あきらめない。
そして、回り道せず、そこに行こうとする。
ただ、近道は選ばない。
一番上の到達点にたどり着くために
一番いい場所と方法を選んで、決めたらすぐに行動する。
きっと小さいころからそうやって来たのだろう。
そうして、空手も強くなったのだろう。

来年の春にはいよいよイギリスに行く。
そして、二人の生活をスタートさせる。
日本で磨いた技術と感性を、イギリスで更に磨き続けるのだろう。
そして、逞しいお母さんにもなるのだろう。

私は彼女のまっすぐさ、純粋さ、
そして愛情いっぱいの優しさに、いつも勇気づけられている。
一年に一度会うかどうかだが、
彼女を思うだけで、温かい気持ちになる。
別府がイギリスに変っても、その関係は変わらない。
会う機会はさらに減るだろうが、
彼女が私の友人であり続けることは、生涯変らない。

明日、私は彼女の晴れ姿を見る。
彼女のご両親にお会いする。
彼と彼のご家族にもお会いする。
彼女の周りの人たちも、きっと温かい空気に包まれているに違いない。
お会いするのが楽しみだ。

大分は今日明日と曇りらしい。
でも大丈夫。
きっと彼らの上空だけ
雲がぽっかりと開くに違いない。



※インターネット環境が整っていないため、
  27日、28日、29日のブログは、おそらくツイッターのような感じになります。





中村麻由美さんという本のデザイナー



2012年10月25日(木)

この前のブログにも書いたが、
harukiiのネームや下げ札をデザインして下さっている方は、
実は本のデザイナーだ。
名前を、中村麻由美さんとおっしゃる。
歳は、私と親子ほど違う。
私が親の方だ。

若いけれど、キャリアはしっかりしている。
そして、仕事ぶりも淡々と、きっちりと、手際よく。
とても気持ちがいい。

中村さんは本作りの専門家なので、紙の種類や性格、
そして様々な印刷方法にとても詳しい。
それで、最初は紙のアドバイスを受けるだけのつもりだったのだが
結局デザインまでして頂くことになった。

紙に詳しいだけなら、デザインまでお願いすることは無かったかもしれない。
ただ、彼女にならお願いしてみたい、と思ったのは、
その名刺が素晴らしかったのだ。

彼女の名刺を受け取ったとき、
その紙の厚さが新鮮だった。
今どき、こんなに厚い名刺を作るなんて、贅沢だな。
そして、家に帰って再びじっくり見ると、もっと贅沢なことに
一辺の側面だけ、金色にしてある。
側面といっても、ほんの0.何ミリのことだ。
気づかない人も多くいるだろう。
そこに、すっと金を入れる。
あぁ、おしゃれだな、と思った。

そして、また、空間の使い方も見事だった。
名刺は多くの情報を盛り込まなければならない。
そして、なおかつ、文字が読みやすくなければならない。

彼女の名刺は、それだけ多くの情報が印刷されている、
という印象が全くない。
すっきりと、風通しよく、
良い質の紙の白さが浮き立つようだ。

中村さんの仕事ぶりについて、判断する材料は
彼女のブログに乗せている作品の写真と、この名刺一枚だけだった。
多分、私はこの名刺の金の側面を見ただけで
もうすでに彼女にデザインまでお願いする気持ちになっていたのだと思う。

私の判断は、大正解だった。
その結果については、前のブログで紹介した通り

そして、今はギフト用のパッケージのデザインまでお願いしている。

先日、その打ち合わせを行った。
その際、彼女が鞄の中から取り出して見せて下さったものがある。
これだ。




「今日この後、納品するんです。」

これは、表紙に布を貼ってあるノート。
もちろん、中村さんの作品である。
【徹 tetsuzo】というネームが貼ってある。

「谷川徹三さんが生前に着ていらした着物の生地なんです。」

私は、その名前を知らなかった。

「詩人の谷川俊太郎さんのお父様で、哲学者の方なんです。
若いころは文化人として、とても有名だった方だそうなんですよ。」

へぇ。そんな有名な人の着物の生地なの?

「ご家族が、徹三さんが日常で着ていらした着物を
沢山残していらっしゃるんですけれど、
何かに使えないかって。
で、縁あって、私がノートを作ることになったんです。」

中村さんらしく、きっちりと作ってある。
そして、二種類の柄の布のバランスが、とてもいい。
おそらく普段着として着古された木綿の着物なのだろうが、
ノートに生まれ変わって、新鮮な表情を見せている。

「これはソフトカバーですけど、ハードカバーも作っているんです。」
「どこに納品するの?」
「ヒカリエです。」

ヒカリエというのは、今年4月に開業した、
渋谷の新しい商業ビル【渋谷ヒカリエ】。
工芸とアートに力を入れているようで、
8階にあるフロアには、47都道府県から集められた、
丁寧に作られた雑貨などを販売する、大きなお店がある。
d47 design travel store(デザイン・トラベル・ストア)】。
このノートは、そこで売られているそうだ。

「いつまで販売するの?」
「今月一杯なんですが、もし人気が出れば継続されるかもしれません。」

このノートの売り上げは、すべて東北支援のために寄付されるという。
ソフトカバーは、税込で1575円、ハードカバーは2100円だそうだ。
ハードカバーの方の写真は、中村さんのブログに載っている。


皆様、渋谷においでの際は、ぜひ【渋谷ヒカリエ】の8階、
【d47 design travel store】にお立ち寄りください。
下の図の、05 のところです。
  渋谷ヒカリエの8階のフロア案内図


それから、もう一つ。
上の図の 07 の中にある【aiiima(アイーマ) 1】というスペースで、
10月26日から11月4日まで、
『aiiima束見本帖』という展示会が開かれます。

束見本(つかみほん)というのは、本をデザインする段階で作る
本の模型のようなもの。
紙だけ現物と同じものを使って作り、中の文章や外の絵などは
全く印刷してない。
だから、すべて気持ちよいほど真っ白の状態。

それがたくさん展示され、
またそのスペースで、束見本作製の実演がされるそうだ。
中村麻由美さんは会期中毎日そこに詰めていて、
全く自分のオフィスにいるように仕事をするとか。

本の作り方、紙のいろいろにご興味のある方は、
こちらもぜひご覧ください。


中村麻由美さんのブログは、こちら >>>

d47 design travel stlore のサイトは、こちら >>>

aiiima のイベントのご案内は、こちら >>>

中村さんがデザインしたharukiiのパッケージは、こちら 〉〉〉



【お知らせ】 All About スタイルストアにて発売が始まります。



2012年10月24日(水)

本日、午前10時より、
情報サイト【All About】が運営する【スタイルストア】という
オンラインのセレクトショップで、
harukiiの『シルクカシミヤ平織ストール』の販売が開始されます。



先月9月に行われたギフトショーに、バイヤーの三角園さんが来場され、
harukiiの商品をピックアップして下さいました。
そして、いよいよ本日より、第一弾のシルクカシミヤのストールが
発売開始の運びとなりました。

当初この商品は、来年の春夏物のとして開発しておりましたが、
とても暖かいストールで、展示会でも大変人気がありました。
そこで、一足早くこの秋から発売できるよう、生産を早めました。
工場さんには、とても無理をお願いしましたが、
すばらしい協力体制を組んでくださいました。

商品名は『ぼかし染シルクカシミヤストール』に変更致しました。
サイズは、LとSの2サイズです。

そして、今回はスタイルストアさんのために、harukiiオリジナルの色に加えて、
特別に二つの色を新しく加えました。

オリジナル・カラー
 Pink ピンク
 Blue ブルー
 Green グリーン

スタイルストア 限定カラー
 Gray グレー
 Marron マロン
※ この2色は、スタイルストアさんのみでの限定販売です!

染め職人さんが一枚一枚丁寧に手で染めて下さった、自慢の一品です。
これからの季節にしっとりと街に溶け込む色に仕上がりました。
ぜひサイトを訪れて、その色をお確かめください。

【つくり手ブログ】というコーナーで、ブログも始めました。
こちらのブログと並行して、商品に関して様々なことを語って参ろうと思っております。
こちらもお読みいただけますと、幸いに存じます。

【All About スタイルストア】のサイトは、こちら >>>

つくり手ブログのサイトは、こちら >>>


この製品のこれまでの開発秘話、おもしろこぼれ話は、
ぜひこちらをお読みください。

2013春夏 シルクカシミヤ平織ストール #1

2013春夏 シルクカシミヤ平織ストール #2

2013春夏 シルクカシミヤ平織ストール #3

皆様のご来店を、心よりお待ちいたしております。


株式会社はる希
代表取締役 高橋裕子


続・FAX電話機



2012年10月23日(火)

先日新しいFAX付き電話機を購入してから、
張り切ってNTTの『ボイスワープ』というサービスを利用している。

『ボイスワープ』というのは、留守中にかかってきた外線電話を
携帯電話に転送してくれる、という有難いサービス。

携帯にかかってきた電話が転送されたものか、
それとも、最初から携帯にかかってきた電話なのかは、
残念ながら、分からない。
だから、知らない電話番号から掛かってきた場合は、
すべて固定電話からの転送だと思うことにしている。

で、これで一安心。
留守中の皆様からの電話に応えられる、と思っていた。
そうしたら、大きな問題を見つけた。

留守中のFAXが受けられない。

『ボイスワープは』電話なのかFAXなのかの判断ができないらしい。
だから、FAXも携帯電話にどんどん転送してくる。
「もしもし」と出ると、「ピー、ピー、ピー」。
あらら、これはFAXだわ。
受信しなくちゃ。
でも、携帯でFAXを受信するやり方が分からない。

自宅に戻って、早速インターネットで検索する。
多くの人が、同じ質問を投げかけていた。
便利な世の中だ。何でも答えがすぐに見つかる。

で、読んでいくと、あらら。
携帯電話に転送されたFAXを受信することはできない、ということだった。
どうしよう。
でも、そこは大丈夫。
インターネットには、その解決策も書いてある。

FAX専用番号を設けること。
あぁ、そうか。
電話とFAXを分けるのね。
そう。私はこれまで、同じ番号を使っていた。
でも、いよいよ分ける時が来たのだ。

本当のオフィスみたい。
ちょっとうれしい。
もちろん、コストアップになるだろう。
でも、仕事のためだ。仕方がない。
そういう大義名分があって、いろいろオフィス仕様になっていくのが
嬉しいのだ。

で、さっそくNTTさんに電話してみる。
「あのう、FAX専用番号が欲しいのですが、どうしたらよいでしょうか。」
いろいろこちらの状況を説明する。
「小さいオフィス様がご使用になる場合は、
FAX専用回線を引くより、今のADSL回線を光回線に変えて番号を増やした方が
ずっと経済的です。」
そう。私のインターネットはADSL回線だ。
春の引越しのタイミングで光に変えようかと思ったが、
時間がすごくかかるというので辞めた。

でも、いよいよ光に変える時が来たのだ。
これは、あまり感動しない。
光の方がオフィスらいしかどうか、よく分からないからだ。
まぁ、よい。
光りに変える必要があるなら、変えましょう。

で、今度は現在契約しているKDDIさんに電話する。
「回線を光に変えたいのですが。」
再び、こちらの状況をいろいろ説明する。
「では、申し込みをして下さい。
回線の工事には1.5ヶ月から2か月かかります。」

ひぇ~。
そんなにかかるの?
ということは、『ボイスワープ』を使っていたら、
工事完了まで1.5ヶ月から2ヶ月も、
FAXを受け取れないじゃないの。
そんなことはできない。
『ボイス』は『ワープ』できない。

果たして、光回線が開通するまで、
『ボイスワープ』は封印することになった。
そして、留守中の外線電話は、お客様に留守番録音して頂き、
私が帰宅してから、ご用件に対応することになった。
あぁ、口惜しや、『ボイスワープ』と『光の工事』。
どちらも目に見えないものを相手にしていて、
捉えどころがない。
もう、そちらのいうことを聞くしかない。

待つわよ。
待ちますよ。
でも、一日でも早く工事に来てね。
お願いだから。

あ、肝心なことを忘れていた。
光回線の工事の申し込みをしなければ。

全く、私という人は。
はいはい。
今日KDDIさんに電話します。



ということで。

皆様、大変ご迷惑をおかけいたしますが、
しばらくの間、留守中は留守番電話にさせて頂きます。
ご用件を録音して下さい。
お急ぎの方で、私の携帯電話番号をご存知の方は、
ぜひそちらにおかけ下さい。

なお、メールのメッセージは、携帯電話でも確認ができます。
随時確認しておりますので、ぜひそちらもご利用ください。


皆様のご協力、ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。


FAX電話機




備忘録 着物編



2012年10月22日(月)

27日に、若い友人の披露宴に招かれている。
和服の仕立師のご両親の元で育てられた娘さんである。
おそらく、花嫁衣裳は和装だろう。
ご列席の皆様も和服の方が多いだろう。
私もきもので参加することにした。

この歳になって、和服が自分で着られない。
それどころか、準備もできない。
和装の用語もよく知らない。
だけれど、母が「いつかお嫁に行くときに」と言って
揃えてくれた着物が、何枚かある。
今では、完全に披露宴列席用の衣裳となっている。

せめて、そんな晴れやかな場所で、
着物たちにも、出番を与えたい。
もちろん、着付けはプロにお願いする。
準備は、まだ母に頼りっぱなしだ。
それでも、手伝いをすることで、少しは覚えよう。

これは、今後のための備忘録。
今日そろえた、着付け道具一式。
10年前に、従妹の結婚式に出席した際、
式場の美容室から用意するようにリクエストされたもののリストを参考にした。

着物
長襦袢

帯揚げ
帯締め
帯枕
帯板
腰紐 3-4本
伊達巻 2本
肌着
裾よけ
足袋
バッグ
草履
扇子
補正用タオル これは私の場合、3枚ぐらい必要だ。


箪笥にしたためてあったのか。
着物や帯からお香の匂いがする。

披露宴など、晴れやかなパーティでは、
日常ではちょっと派手すぎる、というぐらいの色使いが必要とされる。
金糸や銀糸が使ってある着物や帯や、帯締めなどを目にして、
だんだん華やかな気分になってきた。

ブライダルエステ。
私には関係ないが、
ちょっと普段しないようなお肌の手入れでも、してみようか。
今週の土曜日に間に合うかしら。

花嫁さんそっちのけで、
私は一人で、盛り上がりつつある。
皆さんも、どんなお衣裳でいらっしゃるのかしら。
披露宴がとても楽しみだ。






下げ札、そして初荷



2012年10月21日(日)

少しずつ、商品の発売開始の準備が進んでいる。
本当に、一歩一歩、少しずつ。
でも着実に。

先日からデザイナーさん、メーカーさんと打ち合わせしてきた下げ札が
昨日出来あがってきた。

最初にデザイナーさんと打ち合わせをしたのが、9月20日。
あぁ、そうすると、ちょうど一か月で出来上がってきたことになる。

わぁ、すごい。
これは、かなり超特急なのではないか。
普通のスケジュールを組んでいたのでは、
こうは早く出来あがらなかったと思う。
関わった方々の素晴らしい集中力で、
すべて納期に間に合って出来上がってきた。

納期、とういのは、harukii第一号の卸先様への納品期日だ。
それが、当初より少し早まって、10月22日の午前中に、倉庫必着。
それは、絶対にずらせない。
だから、デザイナーさん、メーカーさんにかなり無理を言って
作業を早めて頂いた。

普通ならデザインが決まった後、
メーカーさんに現物と同じサンプルを作って下さる。
それをこちらでチェックしてから、修正があれば加え、
その後本発注となる。

しかし、今回はなんせ時間がない。
だから、サンプル作製を素っ飛ばして、いきなり本発注した。
デザインの最終判断は、デザイナーさんの、
そしてメーカーご担当者さんの経験と勘に任せた。
一か八かである。

昨日手元に届いた箱をドキドキしながら開けた。
思った通り、いやそれ以上に良い。


これが、ブランドの下げ札。
実は、かなり大きい。
名刺を二枚並べたぐらいの大きさ。

そして、ここがこだわったところ。
その一。
ピカピカしないタイプの銀色の箔押し。
上品な光り方をする。
光の当たり方によっては、少し金色にも見える。
ブランドに一つの色を固定したくないという気持ちから、
下げ札も白い色にした。
ロゴの色も、グレーが基本。
ただ、下げ札には、シルバーを使いたかった。
白い中にも、少しだけ光る文字。
それが、きっと私のブランドに対する期待なのだろう。

銀箔は、こんな薄い紙に押してもらった。
最初、メーカーのご担当者さんは、紙が薄すぎて、
箔押しに紙が耐えられないかもしれない、と仰った。
もう少し厚めの紙を選んだ方が安全だと。

でも、どうしてもこの紙にしたい理由があった。
それが、こだわりの二つ目。

harukiiの商品は柔らかさ、軽さを重んじているため、
生地が薄い。
その生地に札をいくつか下げるのだが、
なるべく生地にダメージを与えない方法や材質を選ばなければならない。
だから、紙はなるべく薄くする必要がある。

このブランドロゴの入っている札の他に、
これも下げる。

これには、ブランドのコンセプトなどが印刷してある。
多くの情報を盛り込み、かつ文字を読みやすくしたい。

その二つを考慮したら、この大きさ。
そして、2枚、4ページになった。

 まず最初のページには、harukiiのブランドコンセプト。

 内側には、ご家庭での洗濯方法が記してある。

最終ページには、品番や素材などの情報と、
原材料の産地、各工程の加工地が記されている。


そのほかに、『デメリット札』と呼ばれる、
お取扱いのご注意の札。
これは、小さめ。

更に、それらを一まとめにして下げる紐も、こだわった。
メーカーさんのサンプルの中から、一番軽くて、柔らかいものを選んだ。
それが、この糸ロックス。
素材は、和紙の糸でできている。
丈夫で細く、軽い。そしてしなやか。
生地にダメージを与える可能性が極めて少ない。
そして、なにしろ品が良い。
こんなに細く、小さい部品なのに、
他のロックスではどうしてもしっくりこなかった。


これだけのものを、薄いストールに付けなければならない。
だから、できるだけ各材料を軽くしたかった。
紙の薄さにこだわった理由は、そこにあった。


そして、最初に戻るが、
メーカーさんのご担当者さんの熱意、工場の職人さんの技術で、
この薄くて軽い紙に、美しく箔が押されて、出来上がってきたのだ。



さあ、これが、すべてのラインナップ。
harukiiの顔。

自己満足と分かっているが、
かなり感動している。


ブランドコンセプトのカードは、二つに折りたたんであるため、
自立する。
他の2枚も、これに立て掛けてみる。

おお、倒れない。
なんと頼りがいのある、ブランドコンセプトカード。
そうだ。
ブランドコンセプトは、しっかり立たなければならない。
すべての基礎なのだから。
こんなに薄い紙だけれども、しっかりと立っている。
そして、ロゴや取扱説明書を支えている。
頼もしい奴。ブランドコンセプトカード。

すべての重さを量ってみたら、3.5gだった。
これを軽いとするか、重いとするか。

今回出荷する2種類のストールのうち、サイズの小さいものは一枚50gである。
50gは、10円玉が11枚ぐらい。
首に巻いてしまえば、その重さは全く感じない。

対して札類の3.5gは、5円玉が1枚弱。
うーん、だとすると、やはり少し重いか。

今は、これが精いっぱいの軽さ。
もちろん、ブランドイメージや情報量も重視した結果、
この大きさ、紙質、量になった。

**********

商品をお買い上げの皆様にお願い。

商品を受け取られましたら、まず、札類を切り取る前に、
①商品に間違いがないか
②商品に傷がないか
をご確認下さい。
商品に問題がなければ、すみやかに札類の紐(糸ロックス)をお切りください。
そして、ゆっくりと商品の柔らかさ、温かさを
首に巻いてお楽しみください。

※商品の検品には万全を期しておりますが、
 万が一、商品が間違っていたり、傷の見落としたあった場合は、
 大変恐れ入りますが、札類は切らずに、付けたままにしておいて下さい。
 そして、購入したお店にその旨お伝えいただき、
 お店からの指示に従ってご返送下さい。
 ご協力、ご理解のほど、何卒宜しくお願い申し上げます。

**********

商品は、来週の水曜日から、卸先様のインターネットショップで販売が開始する。
今日は、この札たちを商品に付けて、
丁寧に梱包し、
卸先様の倉庫に出荷する。

商品の船出だ。
『初荷』というのとは意味が違うが、
初荷と同じように、のぼりや旗を付けて出荷したい気分だ。
やっとここまで来た、というじんわりした感動。
上の文章を読み返してみて、改めて本当に感動してきた。

harukiiのウェブサイトで商品が販売できるようになるまで、
あと一息。
このできたばかりの札たちを額に入れて、
毎日眺めながら、頑張ろう!


2012年10月21日15:30 ヤマト運輸にて初出荷完了。




秋の野草



2012年10月20日(土)

秋の草花を頂いた。

  ワレモコウ
  オトコエシ
  リンドウ

母が、お花と一緒に頂いた和菓子の入っていた籠に、
さっと活けてくれた。



 ワレモコウ。
漢字では吾亦紅。
「私だって紅いよ」ということらしい。
よく見ると、小さい花がたくさん集まっている。
吾木香という漢字も使われる。
ワレモコウの根が『木香(もっこう)』という漢方薬に使われる植物の根に
似ているらしい。

オトコエシ。
漢字は『男郎花』。
黄色い花をつける『女郎花(おみなえし)』の仲間。
それぞれ、オトコメシ、オミナメシ、という呼び名も持っている。

リンドウ。
漢字では『竜胆』。
音は可愛いのに、漢字にするとなかなかドスの効いた名前である。
根が食欲不振や消化不良などに効くと生薬に使われる。
熊の胆(クマノイ=クマの胆嚢)よりも苦いことから、
竜の胆嚢→竜胆、と呼ばれるようになったらしい。
生薬としては、『リュウタン』と呼ぶ。

秋の野の花は、それぞれがとても上品で味わい深い色をしている。
それを組み合わせると、お互いがしっくりと馴染みあう。
そして、風がさーっと抜けていく風情を醸し出す。

本当に、秋も深くなってきたんだなぁ。
もうすぐ紅葉狩りの声が聞こえるだろう。




感情



2012年10月19日(金)

先日、友人から面白いことを聞いた。
人間が一日のうちで持つ様々な感情のうち、
肯定的な感情が「1」で、否定的な感情が「3」だというのだ。
つまり、すべての感情のうち、
100%ハッピーだったり前向きだったりする感情が1/4だけ。
のこりすべての感情は、ネガティブ。
はっきり言えば、悪い感情。
一見肯定的だと思える感情でも、裏の裏、底の底まで突き詰めてみると、
悪い感情の裏付けがある、ということらしい。

ふーん。そうなのか。
そういうものか。
確かに、以前そういうふうに思った時期もあったが、
今現在は、そうでもないような気がする。
でも、人間わからない。
甘やかすと、低きに流れる。
これを聞いたのが良いチャンス。
もう一度、自分の気持ちを検証してみよう。

で、今度は別の角度から。
これは私の論であるが、
一日のうちで持つ様々な感情は、
すべて、楽しいか、楽しくないか、に二分される、と思う。
仕事や家庭生活を通して、すべての瞬間、一日86400秒、
程度の差こそあれ、
常にこのどちらかの感情を持ちながら行動していると思える。

その規準はその人それぞれ。
そして、割合も人それぞれ。

今の仕事を始めてから、
全体的には私は楽しい。
しかし、それを秒単位で見直すと、やはり楽しくないこともどっさりある。
楽しくない要因をつらつら思い出してみると、
どうも、一つの傾向がある。
『自信がない。不得意である。』
こういった事や物に直面して避けられないとき、
私は途端に楽しくない気持ちを持つ。
早くそれを終えてしまえば、楽しくない時間は短くて済むのに、
その否定的な感情が強ければ強いほど、
それをなかなか乗り越えることができない。

これまで、そういう不得意なことは、
できるだけ得意な人にお願いしてやってもらってきたが、
どうしても人に頼めないことがある。
いや、頼めないことはないが、経済的に無理、ということがある。
どうしても、私自信が解決しなければならない。

私にとってその筆頭が、『整理整頓』である。
もう、一人で会社を運営する人間にとって、
このことが致命的である事は分かっている。
でも、これはどうしても不得意である。
できることなら、お金を掛けて、人にやってもらいたい。
せめて、プロにコーチしてもらって、コツを伝授してもらいたい。

出したものを元に戻すということなら、頑張ればできる。
だが、その『元』という場所の作り方が、まったく下手なのである。

あらら。いけないいけない。
このまま書き続けると、
自分がいかにこれが不得意か、という言い訳をするだけで
それこそ、『悪い感情』に支配されてしまうので、
ここで止めよう。

元に戻って。
楽しい感情はどんな時に持つか。
それはもう、いろいろあるが、
筆頭は『色』に接するときである。

先日も、商品に付けるネームや札のことを打ち合わせしていて、
ロックスというプラスチックの紐の見本を見せて頂いて
本当にカラフルな種類があるのを目にした瞬間、
脳みそが「パーン」とリフレッシュした。

いろいろな色を見ると、とても楽しい。
好きな色は?と聞かれて、一つの色に絞るのは、なかなか難しい。
最近は、いろいろな灰色と付き合っていて、
これはこれで、本当に奥が深い。
さて、いよいよ、本格的に色の勉強をする季節に入ってきたか、
なーんて、頭の中で腕組みしている。


来週のある一日、カラフルな素材のことで頭をいっぱいにする予定がある。
あぁ、そのことを考えると、今からとても楽しい。
早く来ないかな、来週。
そして、できればその日を迎える前に、
この私の身の回りの乱雑な色の集合体を、
なんとかすっきりさせて、
完璧に幸せな一日にしたいな。

できるぞ、私。
やろうと思えば、できるぞ。
頑張れ。







FAX電話機



2012年10月18日(木)

昨日、新しい固定電話機を探しに出かけた。
FAX機能付き電話である。

新しくしたい理由は二つ。

① 留守中の携帯電話の転送が、うまくできない。
② FAX機が感熱紙使用だった。
  感熱紙の文字は、時間が経つと消えてしまう。
  それに、感熱紙は薄すぎて、その紙を使ってFAXの返信ができない。
③ コードが劣化して、一部の線がむき出しになってきた。

私の使っているFAX電話は、もう15年以上、
いや、20年ぐらい使っているかもしれない。

5万円ぐらい出せばあるかな、と思いながら、
新宿西口の家電量販店に行ってみた。

パソコンのプリンターぐらいの大きさの
黒く光っている『俺様が The FAXだ!』 という機械が、何台も並んでいる。
あー、A4の紙を入れるのだから、これくらいの大きさになるわよねぇ。

店員さんに聞いてみた。
「あのう、A4のコピー用紙が使えるFAXを探しているんですが。」
今使っているのは、感熱紙なので。。。」
「あ、それなら、これが全部そうですよ。」
「へ? これ?」
「今は、感熱紙対応のFAX機はごくわずかなんです。」

指差されたのは、黒い立派な『俺様』たちの向かいに並ぶ、
小さくて、白くて、ちんまりした電話機たちだった。
「これがFAXなんですか?」
「そうです、ここの蓋をこう開けて、A4の紙をここに立てておきます。」
あーそうか。なるほど。こうすれば、場所を取らない。
コンパクトでとてもいい。

「あの、もう一つ、今の電話で困っているのが、
留守中に携帯電話に転送するようにセットしたつもりなんですが、
転送されないんですよ。」
「え? それは電話機のセットじゃなくて、電話会社に登録したらできますよ。」
「へ? 電話機でセットするんじゃないんですか?」
「いえ、電話機は何もしなくてもいいんです。
NTTとか、ご契約されていえる電話会社に連絡して、
あっちで設定してもらうんですよ。
サービスの使用料がかかりますけどね。」

なーんだ、そうなのか。
だから、いままで転送されなかったのか。
おかしいなぁ。私が設定したのは、なんだったのだろう。

「今一番人気のあるFAX機は、どれですか?」
「よくお年寄りが、『一番シンプルで使いやすいのをくれ』と仰って探されますが、
シンプルで使いやすい、イコール安い、じゃないんですよ。
使いやすい機能にしてある、ということは、機能性が高いんです。
結局、このディスプレイ表示が大きくて、それも漢字で表示されるのが、
一番使いやすい、といって皆さん買っていかれますね。」

言われたFAXは、一連の商品群のなかで、一番高い。
ただ、高いといっても、1万円台だ。
それも、子機が一台ついての値段だ。
それに、ディスプレイに受信したFAXの内容が映し出される。
それを見て、必要な物だけ印字すればよい。
無駄な印字を省くことだ出来る。

5万円の予算で臨んでいる。
2万円もしないなら、御の字だ。
私は迷わず、「コレください」と言った。
在庫があったので、即座に購入し、持ち帰った。

へぇ、FAX電話って、すごく安くなっているんだ。
知らなかった。

家に戻って、新しい電話機を設置した。
一番したかった『転送』。
これの設定をしなければならない。
インターネットで【固定電話】【携帯電話】【転送】と入れてみた。
色々でてきたが、どうもNTTの『ボイスワープ』というサービスがそれらしい。
ネットで登録ができるようだ。

さっそく登録を開始する。
ふんふん。
名前ね。私のハシゴの高の文字は、登録できるのかしら。
転送先の電話番号ね。これは半角。
住所ね。あら、番地は全角なのね。
ふーん、どうしてかしらね。
ふんふん。
現在の料金の支払い方法?
たしか、請求書だったわね。
ええっと、請求書番号も入れる? 請求書番号っと。
昨日支払ってきたから、この辺にあるはず。
あったあった。
ええっと、請求書番号は、どこだ? どこに書いてある?
あれ、請求書番号って、どれ?

表にも裏にも『請求書番号』という文字はない。
どれだろう。
この請求書で間違いないわよね。
そうそう、この電話番号だし、
請求内容が、回線使用料○○円、ボイスワープ使用料○○円。。。

え? ボイスワープ使用料?
払ってる?
私、もう登録してあった?
いつから?

ということは、もう転送ができていて当たり前である。
なのに、なぜできない?

再びインターネットに戻る。
Q&A。
どれだ? どこを見たら分かる?

Q【ボイスワープ/INSボイスワープにおける転送先の電話番号変更方法を教えてください。】

これを見たら、何か分かるかもしれない。
クリックしてみる。

そうしたら、そこにはマニュアルを見ろ、という指示があった。
マニュアル? そんなものがあったのか。
ボイスワープを登録した際、なぜ窓口の人は教えてくれなかったのか?
いや、ボイスワープは、もしかしたらインターネットで登録したのだったか?
半年前だが、もう記憶は全くない。

マニュアルは分かりやすく、
サクサクと設定ができた。
やってみる。
両親の使っている電話機から、私の番号に掛けてみる。
「タダイマデンワヲヨビダシテオリマス。」
左耳に親の受話器、右にiPhone。
右のiPhoneで「もしもし」。
聞こえてくるのは、自分の声か、左の受話器なのか、わからない。
でも、きっとお互いに会話ができているはず。

やった! やっとできた。

そこでちょっと、青い気持ちになった。
もしかしたら、電話機、新しく交換する必要がなかったか。
感熱紙はまだ余っていたし、
電話機能にはまったく問題がなかった。
コードの劣化部分は、ビニールテープを巻いておけばまだ数年は持っただろう。
20年近くも付き合ってきた、この古い相棒に、
さっさと別れを告げてしまった。
なんだか、古女房から若いガールフレンドに乗り換えてしまったオジサンの気持ちになった。

この重くて大きい古いFAX電話。
もう二度と使わないだろう。
私は、いつ捨てるのだろう。
なるべく、早いほうが良いよ。
未練を残すと、古女房も困っちゃうし、
若いガールフレンドも怒っちゃうよ。

そうね。
残しておいた、ずーっと昔の両親の留守番電話の声をもう一度再生してから、
サヨナラすることに致しましょう。

私の古いFAX電話。
今までありがとね。
ホントに、お世話になりました。




続・FAX電話機







金木犀のある能力



2012年10月17日(水)

β-イオノン
リナロール
γ-デカラクトン
リナロールオキシド
cis-3-ヘキセノール

これはなんだかお分かりだろうか。

さっきウィキペディアで仕入れたばかりの情報。
金木犀の香りの主成分だそうだ。

ここ2~3日は、家の戸を閉め切っていても、
どこからか金木犀の香りが忍び込んで来る。
なぜこのような強い香りを出しているのだろう。

もちろん、植物にとって、香りは虫を引き寄せる大きな誘引剤。
金木犀はこれらの5つの成分を、見事な分量のバランスで
花粉から発している。

そして、これが面白いと思ったのだが、
γ-デカラクトンという成分は、モンシロチョウが近づくのを防いでいるらしい。
モンシロチョウが嫌いな匂い、というわけだ。
金木犀にとってモンシロチョウが来ると困る理由が良くわからないが、
なんだか、嫌らしい。

嫌な人が近づかないようにする匂いや物質を
人間も出すことができるのだろうか。
嫌いな人、苦手な人のそばに行くと、
無意識に身体が緊張したり、表情が暗くなったり、
ひどくなると、息苦しくなったり心臓がおかしくなる人もいる。

そう思っている相手は、どうなのだろうか。
こちらが避けていれば、同時にあちらも何だか居心地の悪い感情を持っている。
そういう場合がほとんどだと思う
人間は動けるので、近付かない、遠ざかる、という方法を取れる。
そうだ、『君子危うきに近寄らず』というではないか。
(危うきなのか、自分の欠点に目をつぶるというだけなのか、わからないが。)
私は極力近寄らないようにしている。

金木犀は動けないので、寄せ付けない何かを発しないといけない。
大変だなぁ。
金木犀に限らず、植物はじっとしていなければならないから。
だから、野菜など、不作があったり、全滅があったりするのだろうな。

私はとりあえず、まだ動ける。
だから、動く。離れる。
だが、もっと年を取って、動けなくなったときには
γ-デカラクトンみたいなのがシューッと出せるようになっているといいな。
そしたら、どこから出そうか。
指先か、目か、頭皮か。

考えたら、楽しくなってきた。
嫌な人にはγ-デカラクトンを噴射する老婆。
今から、何を練習すればいいだろう。

金木犀の花  ウィキペディアより

大橋純子さんのこと



2012年10月16日(火)

夕べ、テレビで久しぶりに歌手の大橋純子さんを見た。
残念ながら、歌っているところは見なかった。
他のチャンネルと、スイッチしながら見ていて、
たまたま大橋純子さんのその場面だけを見たのだ。

全くテレビを見ない生活をしているのだが、
夕べはなんとなく『ダブルフェイス』というドラマが見たかった。
私は元来スリルやサスペンス、暴力の映画やドラマは全く興味がない。
ドキドキ、ハラハラと怖いのと、痛いのが大嫌いなのである。

だけれども、このドラマを見たいと思ったのは、
出演俳優が良いのと、
映画の監督さんが演出しているというところに興味を持ったからだ。
実は、クオリティが高ければ、映画やドラマは大好きだ。
先日も、飛行機の中でライアン・ゴスリングの『ドライヴ』を見てしまった。
見た後で後悔した。
残虐さが、想像以上だったのだ。
でも、すごく上質の映画だった。
だから、演出と演技に惹かれて、最後まで見てしまった。

『ダブルフェイス』は、おそらく最近出色の出来ではないのだろうか。
普段テレビを見ないので、何ともいえないが。

しかし、全編ハラハラ、ドキドキ、暴力と血が満載のドラマなので、
「もうダメ!」「もう無理!」というところまで来ると、
他の番組にチャンネルを変えてしった。
その、ちょっとほっとする瞬間に、
たまたま大橋純子さんが昔を振り返っているところを見たのである。

大橋純子さんが大ヒットを飛ばしたとき、
私は高校生か大学生ぐらいだった。
娯楽の選択肢が今ほど多くなかったため、
音楽は、多くの若者に共通した趣味だった。
私もテレビの歌番組はよく見ていたし、
ラジオの深夜放送も熱心に聞いていた。
大橋純子さんはその歌のうまさが群を抜いていて、
他の歌手と一線を画していた。

夕べの番組で、大橋さんは
「大ヒットを飛ばした曲は、実は自分がやりたかった音楽とは全く違った。
すべてを辞めて、ニューヨークへ行った」
と告白していた。

あ、あの時のことだ、と思った。


大橋純子さんと言っているが、もちろん知り合いではない。
でも、ニアミス、かもしれないと思っている。

1987年に、一年ほどニューヨークに滞在したことがある。
その間、半年くらい、語学学校に通った。

入学して間もないころだったと思う。
クラスで自己紹介をしたとき、
金髪でショートカットの、快活な女性講師が言った。

「以前、このクラスに日本人の Junko Ohashi という女性がいたのよ。
有名な歌手らしいわね。」
「はい、もちろん知っています!
とっても有名で、歌もすごくうまいんです。」
「そう、知っているわ。みんなの前で歌ってもらったけど、
とても上手かった。」

わぁ、彼女の歌を、クラスのみんなが生で聞いたのだ。
なんという贅沢。

でも、そういえば、しばらくテレビで見ていないと思っていたけど、
ニューヨークにいたのか。

その時は、それぐらいにしか思っていなかった。
でも、大橋純子さんと同じ学校で、同じ講師に習ったということで、
なんとなく親近感を持っていた。

夕べの話では、ヒット曲を歌っている時は、いやでいやでしょうがなく、
NYに渡った後は、ヴォイストレーニングをしていたらしい。
超有名人から、名もなき一般の女性に戻って、
ニューヨークの人込みに紛れて、
普通の生活をしていたのだろう。
それは、どんなに開放的で楽しい毎日だったろうか。
それと同時に、今まで蓄積したものをゼロに戻し、
過去を否定し、将来の行くべき道も定まらず、
それは、どんなに暗澹とした辛い日々だったろうか。

彼女は日本に帰ってきた後、
過去のヒット曲を封印してしまった。
過去を否定したまま、日本に帰ってきたのだ。
自分に正直に、人に伝えたいと思った歌だけを歌う。
ニューヨークでそう決めて、日本でまた歌手を再開したのだろう。

彼女はその後、ポールマッカートニーのコンサートで、
彼がアンコールに、ビートルズ時代の大ヒット曲、
『イエスタディ』を歌うのを聞いて、
聴衆として鳥肌が立つほど感動し、
それまで自分が封印してきた歌は、自分だけの物ではない、
その歌をその時代に愛した人すべてのものなのだ、と気が付き、
それ以降、また歌いだしたということだ。

歌手によって歌は育ち、歌によって人が育ち、
またその歌い手自身も育てられる。
物や事、そしておそらく人や動物も、一旦生まれて社会に出れば、
それは、もはや個人の所有物ではなく、
社会全体の所有物になるのだろう。

それに気が付かず、いろいろなことを、自分だけの判断で
どれだけ無駄にしている人が多いことか。
もちろん、私を含めてである。

自分自身の存在も含めて、私が生み出すあらゆることは、
私を離れて膨らみ、育って行く。
それをいつも忘れずにいよう。
私から離れたものが、いつまでも膨らみ続けるよう、
生み出す、ということに、もっと慎重になってみようと思う。

世の中には、物や情報が溢れている。
もうこれ以上新しいものがなくても、十分に満ち足りた生活ができる。
なのに、そこへ新たに物や事を生み出すのだから、
それは、人々を幸せにするものでなければならない。
必ずしも大勢の人である必要はないと思う。
でも、それに触れた人が、ほっこり幸せな気分になるように、
そして、長くそれを愛して自分で育ててもらえるように。
それが小さな小さな柔らかい芽のような物や事、言葉だったら
それは生まれる必要があるものだと思う。

一瞬見た番組で、大橋純子さんのこのエピソードが聞けて、良かった。
きっとこれは、私に必要なメッセージだったのだと思う。

クリックすると、大橋純子さんの公式サイトに飛びます。




続・へちま 2012



2012年10月15日(月)

もうほかのお宅では、とっくにヘチマやゴーヤの棚は整理してしまっている。
10月も半ばになれば、当たり前である。
ヘチマのあとは、すっかりコスモス畑に変身、という季節である。

それなのに、我が家では、ヘチマもゴーヤもまだ植えたままだ。
大きく育った葉は、夏の強い日差しを遮る、という大仕事を終えて、
すっかり枯れて、茶色くしなだれている。
一階の和室から見る景色は、それはそれは、みすぼらしいものである。

なのに、なぜまだ抜かずに植えてあるのか。
それは、ヘチマの新たな魅力を知ったからである。

それは、食べること♪

ある日、ヘチマの小さいのを素揚げにした。

うわっ! 柔らかい! 甘い! オイシイ!
ズッキーニに似ているが、それよりも柔らかく甘い。

なぜ今までこの味を知らずに来たのだろう。
なぜヘチマ料理をテレビでやっていないのだろう。

インターネットで調べてみると、沖縄では当たり前の食材だ。
煮たり焼いたり揚げたり。
あぁ、もっと早く知っていれば、あんなに大きくしなかったのに。

今年、我が家では大きなヘチマが4本できた。

去年と同じように、カラカラに乾くまで干しておき、
そのあと、皮と種を取って、ヘチマたわしにする。

ところが、今年はまだ大きくならないヘチマを採って、
ズッキーニのように、薄い輪切りにして素揚げにしてみたのだ。
そうしたら、予想もしなかった美味しさ。
思わず、声を上げた。

一階から見える枝や葉は、もう役目を終えて休息に入っているが、
その枯れたような茎から吸い上げる水で、
二階のベランダのヘチマは最盛期を迎えている。

これは、今朝収穫したヘチマ。
長さは12cm。
最初に食べたのは、これよりもっと小さかった。
あんなに美味しいなら、もう少し大きなヘチマを食べたい。
ここまで大きくしても、柔らかさと甘さは残っているのか。
実験だ。

ヘチマだけではない。ゴーヤももう少し行けそうだ。
これも、12cm。
このくらいが、お浸しにすると、柔らかくて美味しい。

 ヘチマはどんどん花を付け、身を太らせている。
こんなベビーちゃんも、たくさんいる。

母は、「もうヘチマ、抜きましょうよ」という。
私は、「いや、まだまだ」と粘っている。

季節は、食欲の秋。
ヘチマの味を知ったからには、とことん楽しみたい。

ヘチマよヘチマよヘチマさん。
大きく大きく大きくなーれ。
大きくなって、天まで届け~♪


へちま 2012


日野啓三さんのこと



2012年10月14日(日)

インターネットで、今日生まれた人のことを調べてみた。
知っている人の数が、とても少ない。

では、と、反対にこの日が命日の人を調べてみた。

あ。

2002年10月14日。
日野啓三没。

もう、今から10年も前になるのか。
日野さんが亡くなって。

日野さんと言っているが、知り合いではない。
ただの一人のファンである。

ただ、一度だけ、日野さんが住まわれていた
近隣の方だけの路上パーティに呼ばれて、
日野さんをお見かけしたことがある。

久しぶりに道でばったり会ったカナダ出身の知人と話をしていて、
彼が日野邸の隣に住んでいることが分かった。
「隣に、Keizo Hinoという作家が住んでいるんだよ。」
「えーーっ! あの日野啓三?」
「知ってるの?」
「知ってるも何も、大好きなの。日野啓三の文。」
「へー。Keizo Hinoを知っている人、君が初めてだ。
他の人に言っても、誰も知らなかったよ。」
「えーーっ、日野さんは、すごい作家なのよ。」
「今度、住人達で持ちよりパーティーするんだけど、来る?」
「いくいく! もちろん、行く!」
「でも、Mr.Hinoは、参加できるかどうか、分からないよ。
病気で、あまり外に出られないみたいなんだ。」
「うん、それでもいいよ。行く。」

日野啓三さんが、私の近くに住んでいたなんて。
なんという偶然。
それも、その隣に住む、特に親しいわけでもない知人と
久しぶりに会うなんて。

彼が住んでいるところは、私道を囲んで数件の家が建っている。
その近くを通っても、そこに私道が伸びているとは分からない、
ちょっと隠れ家的な場所。
そこの住人達が、皆仲が良く、
時々道に出て、パーティーをするらしい。

その日は、日野さんの奥さん、そして息子さんが参加されていた。
日野啓三さんの姿は見えなかった。
パーティに何をおみやげに持って行ったかとか、
誰とどんな話をしたかは、全く覚えていない。
きっと、全身で日野さんの登場を待っていたのだと思う。
そして、そこに日野さんがふらりと現れた。
(あ、日野啓三だ。)
私は興奮した。
痩身で少し猫背。
無口だが穏やか。
想像通り、The インテリ作家、という風貌だった。
隣人たちのたわいもない会話を聞きに、
病身を押して降りてこられたのだと思う。

日野さんと会話をしたかどうかは、覚えていない。
私のことだから、声を掛けられなかったかもしれない。
髪を金色に染めた息子さんが、ドラムを叩いている、ということだけ、
妙に覚えている。

実は、日野さんが亡くなったことは、最近まで知らなかった。
というより、長らく日野啓三の本に触れなかった。
時代小説、それも藤沢周平一本だった。
難解な、ちょっと哲学的、そして抽象絵画のような日野啓三の文体は、
最近の私には重すぎた。

昨年の2月に、それまで勤めていた会社を辞め、
自由な時間ができ始めた。
それを機に、また日野啓三の本を読み返してみた。
その時、もうすでに亡くなられたことを知った。
未読の新しい本も図書館で数冊借りて読んだ。
闘病中のいろいろな思いが書きつづられていた。
それもすべて、日野流だ。

やっぱり好きだ。
この乾いた感じ。
皮膚と心がかさりと馴染まないような感じの、物の見方。
そして、文体。
無駄なものが一切ない。
それでいて、情緒がある。
近寄りがたいが、温かい。
勝手にそんな風に思っている。

図書館の行き帰り、日野さんの家の脇をよく通った。
闘病生活中によく通ったという近くの公園を探して、行ってみた。
自宅の寝室からよく眺めていた樹はあれなのだろうかと、
電車の踏切から見える大きな樹を見て、思った。

日野さんは、いまごろあの世で何をしているのだろう。
今もいろいろ物事を深くつきつめて考えているのだろうか。
次に生まれ変わるときも、ぜひまた作家になってほしい。
その時、私も生まれ変わって、同じ言語を共有する人でいたい。

合掌。




秋祭り



2012年10月13日(土)

どこからともなく匂ってくる、この香り。
金木犀の香りである。
まだあの橙色の花は見えないけれど、
どこかで蕾が膨らみ始めたのだろう。

植物の正確さには、本当に驚かされる。
ついこのあいだまで、残暑が長引いていたのに、
やはり10月もこの時期になると、
金木犀は忘れずに香りを放ち始める。

今日と明日は、近所のお祭り。
子供神輿が出たらしい。
太鼓の音と、子供の嬌声が近くを通り過ぎてゆく。
そのうち、並んだ屋台から、
焼けたソースやお醤油の匂いが漂い始めるだろう。

幼いころから、お祭りが好きな子供ではなかった。
人が多いし、騒がしい。
今までどこにいたのだろう。
馴染みのない文化の匂いをまとった大人たちが急に増え、
子供の平和がかき乱されるような気がした。

笛や太鼓の音も、大きく人を驚かすような音色だ。
ごった返した人込みの中で、一生懸命場に馴染もうとしている時に、
急に傍でドンドン、ピーピーとやられる。
私はぼんやりしている子供だったので、
そういう『威勢がよい』『景気がいい』という気配には、
すっかり萎縮してしまった。

私を連れて歩く親に
「何が欲しい? 何か買ってあげる」と言われても、
すぐには何が欲しいかわからない。
何があるかも、じっくり見ないとわからない。
それなのに
「ナニ? 何が欲しいの?」と急き立てられる。
結局、「はっきりしない子ねぇ」と言われて、
いつも同じ、水風船と綿菓子を買って帰ることになる。
やれやれ、やっと帰れる。
帰り道は、決まってホッとした。
いつもと同じ水風船と綿菓子でも、一向に構わない。
静かな家で、ゆっくりと綿菓子を頬張るのが、楽しかった。

今もどこかで笛の音がしている。
昔から変わらない笛や太鼓の調べ。
お祭りだけは、ロックやJポップの出番はない。
なぜなんだろう。
このメロディも、若い人は聞くとワクワクするのだろうか。









数字とシアワセ



2012年10月12日(金)

今日は、「0 」と「1 」と「2」だけが並ぶ日。
べつに、それがどうしたというわけでもないけれど、
そういう数字の並びを見ると、なんとなく美しいと思う。

ふと見たデジタル時計の時刻が、22:22だったりすると、
いいことがありそうな気がする。

15:00とか、23:00とか、ちょうどの時も気持ちいい。

12:12とか、17:17も、仲間に入れる。

10:01なんか、厳かな感じがする。

00:00とか、12:00などは、もう、えも言われぬ幸福感に包まれる。

あ、いまは9:19。
これなんかも、嫌いじゃない。

自分の誕生日と時刻が同じだと、とってもラッキー。
で、その一分前に時計を見たりすると、じっと誕生日時刻がくるのを
息をひそめて待っていたりする。

家族の誕生日の時もある。

亡くなった祖父と私は、誕生日が一日違い。
だから、自分の誕生日を一分間眺めて、
その次に来る祖父の誕生日も一分眺める。

それをしたからといって、何がどうなるわけでもないのだが、
なんだか気になる。

コンピュータで仕事をしていると、
モニター右下の時刻に、つい目をやってしまう。
見る頻度が高いのだろうか。
割と‘いい並び’を目撃することが多い。

私はそうやって、一日に何度も幸福感を味わっている。
あ。あと一時間で、また私の誕生日時刻だ。

いえいえ、まさか一時間もじっと時計を見ることはしませんよ。
ただ、もしかしたら一時間後に、無意識に時計を見るかも。
そしたら、その時またちょっと幸せに浸れるな。