富士吉田の旅



2012年7月15日(日)

昨日は、朝早くに雨が上がり、
空にひろがる雲は、三層に分かれ、
低層部の雲は、サーっと走っていた。

富士山の麓で、NY展示会前の最後の打ち合わせ。
富士山、見えるかな~。
7時に家を出た。


打ち合わせでは、多くのことを話し合い、
その場で決定していった。
準備作業も、サクサク進んだ。
富士山を気にしている暇はなかった。

日がとっぷりと暮れ、
お腹もすき、疲れが溜まってきたころ、
「さ、そろそろ、これ」と
機屋さんの親指と人差し指が、輪を作る。

作っていたエクセルの表を超特急で終わらせ、
店じまい。
久しぶりに、美味しいものを食べに連れて行ってもらえる。
これこれ、これが楽しみだった。

車からお店に予約を入れる。
「あ、そう。いいよ。カウンターで。」
もう、お店はお客様でいっぱいの模様。

「あ、あそこのビルの上に、小っちゃい光がぽつぽつと並んで見えるでしょう」
「はい。なんですか、あれ。」
「あれ、富士山。」
「?」
「あれが、富士山。」
「?????」
「あれ、登山している人のライト」
「へぇ!」
そういえば、今日から三連休。
明日の朝のご来光を拝みに、
多くの人がこの時間、頂上を目指して上っているのだ。

ほぼ一直線に上に伸びる光。
それもすごく高くまで続いている。
あれが登山者のカンテラなら、
富士山は、すぐ目の前に迫っているはず。
ああそうか。
ここは富士の麓だったんだ。
こんな形で、富士山が見えた。

お店に付くと、もうすでに頬を紅潮させたお客さまでいっぱい。
私たちがカウンターに席に座ると、満席になった。

「大将、魚何のこってる?」
「なんにもねえよ」
大将はお刺身づくりに大わらわ。
「みんな刺身頼んでくるからよ。」
注文聞をいてる暇もないようだった。

「鰯あるよ」
「お、いいじゃん。それそれ、それくんな」
しばらくして出てきたお皿が、これ。
うわぁ。なにこれ。
大きいお魚の鱗みたい。
脂も乗って、きれい。
美味しそう!
こんな仕事するから、みんなお刺身頼むんだなぁ。
わさびをちょっとつけ、2~3切れすくって、口に入れる。
あー、トロケル。。。

イシダイもシコシコ、ピッカピカ。
箸が止まらない。
さっきまでのドラッカーの話なんて、
もうどうでもいい。
至福の時間とは、このことだと思った。

そこから東京の自宅まで、たっぷり3時間かかる。
この電車を逃すと、今日は戻れない。
美味しいお酒を、水のように飲み干し、
代行さんが運転する車に乗り込んだ。

最寄りの駅は、富士急行大月線の「下吉田」。
新しい駅舎で、なぜかお風呂屋さんのような風情。



昔懐かしい、駅員さんが切符を切る改札。
レトロ。
駅員さんは、この時間はもういなく、
切符の販売機もない。
改札を素通りした。

ホームは緑色の街頭に照らされていた。

電車が入ってきた。



うわっ。なにこれ。
木の床。
寄木細工のよう。
土足で歩くのが申し訳ない気がする。

車掌さんが近づいてきた。
料金を支払う。
受け取ったのは、この切符。
「自動改札機はとおれませんから、窓口を通って下さい」

どこまでもレトロな雰囲気に包まれて、
私の意識は遠のいて行った。
振り返ると、昨日は極上の旅だったんだなぁ。
シ・ア・ワ・セ。
ありがとうございました。





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