あかちゃん Ⅰ



2012年6月17日(日)

天気の良い日に、いつも室内に置いている花を外に出しておいた。
いつも日当たりが良い場所に置いてはいるが、
やはり、時には直射日光が必要だろうと思って。

一日ベランダに出しっぱなしにしておき、次の朝見てみると、
花の色が完全に変わっていた。

室内に置いてあったときは、薄い桜色だった。
どちらかというと、桜貝のように、儚い感じのピンクだった
それが、まったく濃い色に変わっているのだ。



よく見ると、日光が当たっているところだけが赤くなっている。
まるで、日焼けのように。
更によく見ると、茎や葉までうっすら赤みを帯びている。
こんな風に花の色が変わるのは、初めて見た。
体内に持っていた赤い色素が、太陽を浴びたことによって
表面に滲み出てきたかのようである。

どんな植物でも、必ず赤い色素をもっているような気がする。
特に樹木が芽吹くときとき、エネルギーを持った新芽の先から
赤い色がほとばしり出ているのを見る。
生きようとしているのだと、強い意志を感じる。

人間も、生まれたての嬰児は赤い。
文字通り、赤ちゃんだ。
その赤ちゃんが、自分の要求を満たそうと必死になって泣き叫ぶとき、
顔や体はいっそう赤くなる。
赤というのは、始まりの色、誕生の色、そして生きるエネルギーの色なのだ。

いつか赤いストールを作ってみようか。
何かを始める時、それをさっそうと羽織ってみたい。





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